「異性愛者への12の質問」についての女性学MLでの議論

2009年4月18日 - 9:29 PM by admin

id:nodada さんのところで、「異性愛者へ12の質問」の日本版を見かけたので、それに便乗。「あなたの異性愛の原因はなんだと思いますか?」にはじまるこの質問票は、同性愛者(やその他のクィア)に対して繰り返し投げかけられるたくさんの質問をひっくりかえして異性愛者に問うことで、軽いセクシュアル・ディスオリエンテーションを起こすとともに、自らのあり方について問いかけられることから免除された、異性愛者の特権を明らかにすることが目的だ。で、それにどのように便乗しようというのかというと、英語圏における女性学メーリングリスト WMST-L において、昨年11月にこの質問票をめぐって興味深い議論があったから、それを紹介しようかと。 Read the rest of this entry »

山形浩生さんのサイトからお越しの方へ(クメール・ルージュの「ジェンダー犯罪」に関連して)

2009年4月13日 - 10:42 PM by admin

アクセスログを見ていて、山形浩生さんの最近の噂と題するページからこのブログへのアクセスがかなりあることに気付いた。以前、カンボジアのトランスセクシュアル女性がクメール・ルージュ時代に受けた迫害について告発している、というニュースに関連して、山形さんがその「最近の噂」ページで書いていることがおかしいと感じたので、別ブログ(*minx*)の方でコメントしたのだけれど、そのためか「クメール・ルージュのジェンダー犯罪とやらを重要だと思う人もいるみたいだが」と(英語で)書いてある部分がこのブログ、つまり macska.org へのリンクになっている。
でもわたしがその話を取り上げたのは別ブログにおいてであり、macska.org のどこにもクメール・ルージュの話は書いていないから、事情を知らない人がこのブログに来て関連した話を探しても見つけようがない。それじゃあんまり不親切だと思うので、山形さんのサイトからこちらに来た人が議論を見つけられるように、以下に関連エントリへのリンクを示しておく。 Read the rest of this entry »

一般化する「成長抑制」医療−−子ども1000人に一人が対象?

2009年1月28日 - 3:33 PM by admin

年末以来、続けて病気になったり関わっている団体のグラント書きを突然任されたり(もともと担当だった人の家族が入院してしまったので仕方なく手伝った)、いろいろ忙しくて書きたいネタはあるのにブログを更新できなかったのだけれど、これだけは重要なので書いておく。というのは、先週金曜日(1月23日)にシアトルのワシントン大学において開かれた、成長抑制療法についてのシンポジウムについての報告。
成長抑制療法については、ワシントン大学(シアトル子ども病院)で行なわれたケース(アシュリー症例)がきっかけとなって2007年に大きな議論を巻き起こした経緯があり、わたしは当時同大学で開かれたシンポジウムにも参加してその報告を以前にも前編後編にわけて書いた。今月のシンポジウムでは、その前回のイベント以来、シアトル子ども病院が招集したワーキンググループで進めた議論について医者らから報告がなされた。 Read the rest of this entry »

ミネソタ上院再集計は「負けるが勝ち」−−ネイト・シルバーの「馬鹿げた」ゲーム理論的考察

2008年12月9日 - 3:41 PM by admin

少しまえにもその緻密な選挙予測を亡命先ブログ(*minx*)のエントリ「選挙結果予測について」で紹介した「絶対計算者」ネイト・シルバー氏が、「おそらくは馬鹿げた理論」と言いつつ、興味深い考察をしている。かれがそう呼ぶ「理論」とは、米国上院選挙ではまだミネソタの議席(共和党中道派の現職ノーム・コールマンに、SNLで有名になったコメディアンでリベラルラジオホストのアル・フランケンが挑戦している)の再集計に決着がついていないけれども、民主党はここで勝つよりも負けた方が議会運営には都合が良いのではないか、というものだ。 Read the rest of this entry »

経済学S2/失業−−メカニズム解釈を経由して、共生にたどり着く

2008年11月28日 - 9:22 PM by admin

前エントリではじめた「経済学シリーズ」、だいたい月一回くらいのペースを考えていたのだけれど、とりあえず最初はどういう狙いの連載なのかを知ってもらうために、最初だけ短いインターバルで書いてみる。また、既にブログやブクマコメントで批判的なコメントやツッコミをいただいているが、それらについても応えていきたいと思う。このシリーズ、とにかくリベラルあるいは左翼の側の人たちのあいだの経済学フォビアをなんとかしようというのが狙いなので、わたし自身も普段書いている内容に比べてあまり自分の知識や認識が確かではない領域に踏み入れて、間違いは指摘してもらいつつ学んでいこうというつもりでいる。
前置きはさておき、今回取り上げたいのは、失業について。失業が起きる原因を一言で言ってしまうと、労働市場が不完全競争だからということに尽きる。もちろん景気の上げ下げや技術革新、政府の政策などさまざまな要素が関わっているけれども、それでも究極的には「労働力」という商品の(あるいはある特定の技術や知識を持った「労働力」の)需要と供給がマッチせずに(供給過多になって)売れ残っているわけで、単純に言えばそれは市場が不完全だからということになる。 Read the rest of this entry »

経済学S1/自由貿易−−「現状をよりマシにすること」と「正しさ」の違い

2008年11月27日 - 1:38 PM by admin

前からやろうと思っていたことなのだけれど、今回から「経済学シリーズ」として、当ブログで不定期連載をはじめてみたい。ここで「経済学シリーズ」と書いたけれども、わたしは経済学についてきちんとした勉強をしてきたわけではないので、読者のみなさんに経済学についてレクチャーしようというわけではない。この連載は、トマス・ソーウェルの言うところの「束縛的世界観」(エントリ「わたしは左翼であるのかないのか、あるいは経済学をこのブログで取り上げる理由」参照)を持ちつつも、社会的公正に強い関心を抱くリベラルであるわたしが、その「束縛的世界観」を前提とする(主流派)経済学の知見、そしてその延長にあるネオリベラリズムの論理をどのように受け止め、そのうえで何を主張していくか、という問題意識を元としている。
このような連載をはじめようと思ったのは、すこし前にブログ界の一部で繰り広げられたネオリベ系論者とサヨク系論者の論争を読んでいて、どうも議論が成り立っていないと感じたことがきっかけだ。また、少しまえにわたしと同じ歳の経済学者の飯田泰之さんが、メールマガジン「αシノドス」や鈴木謙介さんがメインパーソナリティを務める「文化系トークラジオ Life」に登場して、精力的に「経済学に基づいたリベラリズム」を主張をしていたのに、どうもそれがうまく通じていない印象が残ったことも、経済学の理解においてプロである飯田さんにはるかに及ばないことを承知のうえで、わたしが口を出そうと思った要因の一つだ。 Read the rest of this entry »

マケイン陣営の ACORN に関するデマについて、カカシさんに返答

2008年11月20日 - 6:13 AM by admin

わたしが大統領選挙前に書いたエントリ「大統領選挙終盤にもなって、ACORNとビル・エアーズのデマを中心に据えるマケインに失望」について、苺畑カカシさんが反論を書いている。彼女の言うとおり、既に選挙も終わって ACORN なんて話題にもならなくなっているし、日本の読者にとってはどうでもいい話だと思うので、あんまり続ける気はないのだけれど、せっかくお応えいただいたのでとりあえず今回はお返事します。 Read the rest of this entry »

自動車業界ビッグスリーの救済論議は、ニューディール完成への契機に

2008年11月16日 - 11:11 PM by admin

前エントリ「2008年米国大統領選挙を一応ふりかえっておく」でちらっと触れた自動車業界救済の話の続き。どうやらオバマが就任するまでGMが持たないということで、議会で救済が議論されているのだけれど、これこそ本当に旧来政治のやり方で嫌な感じ。民主党は労組の活躍で選挙で勝たせてもらった見返りに救済を主張し、共和党はというと政治思想的には自由市場擁護の立場から反対するべきところを、一部の(主に西部の)議員を除いては、工業地帯の票を今後ずっと失うことを恐れてはっきり反対できないでいる。この件については、わたしは西部出身の共和党議員の意見に基本的に賛成。自動車会社の経営が行き詰まったなら、多数の航空会社が行き詰まった時と同じくチャプター11(連邦倒産法第11章)に従って、事業を続けながら再建させればいい。 Read the rest of this entry »

2008年米国大統領選挙を一応ふりかえっておく

2008年11月12日 - 12:53 AM by admin

先週の大統領選挙の前後にフィラデルフィアに出かけていたこともあり、しばらくブログを更新してこなかったために、また病気で寝込んでいるんじゃないかとか、オバマ政権への任官運動でもしているんじゃないかとか(笑)、いろいろ想像している人もいるようなので、今年の選挙についてまとめを書いておこうと思う。はっきり言って、たいしたことは書いてません。 Read the rest of this entry »

大統領選挙終盤にもなって、ACORNとビル・エアーズのデマを中心に据えるマケインに失望

2008年10月20日 - 4:57 PM by admin

米国大統領選挙もあと少しとなり、オバマの当選が9割決まったと言われている中、「苺畑より」のカカシさんが保守過激派ブログや FOX News にしか流れていないようなスピンを必死になって紹介している。共和党のマケインを支持するカカシさんがそうしたいと思うのは理解できるので、「うげっ、ここまで信じ込むかよ普通?」とか思いつつ生暖かく見守ろうと思っていたのだけれど、ちょっと無視できない方向に行っている。 Read the rest of this entry »