economicsArchive for the Category

HIV/AIDSの検査を呼びかける啓蒙活動が「暴力」になるとき

2016/04/18 月曜日 - 20:58:09 by admin

今日4月18日は、シアトルで、National Transgender HIV Testing Dayというのに関連したパネルがあったので参加してきた。これはカリフォルニア大学サンフランシスコ校のCenter of Ex […]

「性産業の需要を減らすアプローチ」に関する記事へのコメントに、いっせいお応え

2012/08/06 月曜日 - 20:32:38 by admin

前エントリ「『性産業の需要を減らす』アプローチが、性労働に従事している人にとって有害でしかない理由」への反響にお応えする、恒例の「はてなブックマークコメント(やツイートやその他のコメント)にコメント」のお時間です。ちなみにこのブログは、ふだんの一日の閲覧数がだいたい100〜200程度しかないサイトなのに、この記事が発表された途端に大量のアクセスが集中し、半日のうちに1万ヒットを大きく超える反応がありました。ソーシャルメディアってこわいです、はい。
とはいえ、ツイッターやはてなブックマークで記事についての感想や意見を書いている人は、いつもとそれほど変わらない人数でしかなく、よく見たらいつもコメントをくださっている人が多かったりするので、アクセスが増えただけで、最後までちゃんと読んで、考えてくれた人は、ふだんとそれほど変わっていない気もする。でも、せっかくコメントをいただいたので、いろいろお応えしつつ、わたしの意見や関連情報を追加していきたいと思います。

「性産業の需要を減らす」アプローチが、性労働に従事している人にとって有害でしかない理由

2012/08/05 日曜日 - 23:29:33 by admin

米国の反人身取引・反売買春運動において、ここ数年「性産業の需要を減らす」アプローチを主張する人や団体が影響力を得ている。すなわち、これまでよくあったように供給側(売春者)を処罰するのではなく、需要側(客)の取り締まりを強化したり、厳罰化したり、あるいは規範化による社会的制裁を行うことによって、需要側のインセンティヴにはたらきかけ、性的サービスに対する需要を減らすべきだという考えだ。かれらは、需要を減らすことによって、人身取引の被害者や、やむを得ない理由によって売春に従事する人たちを減らすことができる、と主張している。わたしは米国のフェミニズムや性労働者運動において、「需要を減らす」アプローチがいかに無効であり、人身取引の被害者や、やむを得ない理由によって売春に従事している人たちのような、かれらが救おうとしている人たちをさらに苦しめるものであるか、再三主張してきたが、最近になって日本でも(おそらく米国の運動の影響を受けて)同様の主張をする人を見かけるようになったので、「需要をなくす」アプローチがどうして間違っているのか、以下にまとめる。

障害者向けシャトル・サービスによる社会参加――郊外に住むおばあちゃんのスタバ通いの例から

2011/11/11 金曜日 - 08:13:34 by admin

今月発売された『アシュリー事件 メディカル・コントロールと新・優生思想の時代』(生活書院)の著者であり、自身も知的・身体的に重い障害のある娘を持つ翻訳者・著述家の児玉真美さんが、八月にブログに掲載した記事において、米国での「障害者向けシャトル・サービス」について驚きとともに紹介している。そのブログ記事をきっかけとして、障害学研究ネットワークではこのシャトル・サービスについての議論が起こった。実はわたしもそのシャトル・サービスの一利用者かつ障害学関係者であり、議論を通していくつか考えをまとめることができたので、ここで報告したい。

Facebookの普及に見る米国の社会階層性と、『米国=実名文化論』の間違い

2010/06/08 火曜日 - 08:49:31 by admin

世界最大のソーシャルネットワーキングサービス、Facebookが日本(語圏)に進出してから二年がたった。よく知られているように、Facebookは実名での登録を前提としていることが特徴であり、「米国で人気の実名SNSが日本社会において受け入れられるか」と話題になった。日本語版開始から二年たったいま、日本在住のFacebookユーザ数も二〇〇九年だけで約三倍に増えたものの、国別ランキングでは上位三十位にすら遠く及ばず、米国の1%前後に留まっている。

米国トンデモ保守ブロガーその2によるオレゴン公的保険制度へのバッシングについて

2009/08/04 火曜日 - 20:34:33 by admin

MikeRossTkyさんのブログは、苺畑カカシさんのブログと並んで「日本では滅多に聞けないような、米国のトンデモ保守の主張をそのまま日本語で読める」貴重な情報源だと思うのだけれど、昨日付けでオレゴンの健康保険制度についての記事があったのでこれだけ反応しておく。

クレタ島でのバケーションが超うらやましいカカシさんへ

2009/06/01 月曜日 - 18:56:52 by admin

エントリ「米国トンデモ保守の主張を日本語で読んで楽して痩せる」に対して、さっそくカカシさんから反論があった。わざわざクレタ島でバケーション中にわたしの相手なんてしなくていいのになぁ。クレタ島で過ごせる貴重な時間がもったいないでしょ? わたしがもしクレタ島に滞在できたなら、絶対ブログでの議論なんてやらないな。まぁそれは人それぞれだけど。でもわたしは実際にはポートランドの自宅で暑い夏を過ごしているので、以下にぐだぐだ議論を続けてしまったりする。

ミネソタ上院再集計は「負けるが勝ち」−−ネイト・シルバーの「馬鹿げた」ゲーム理論的考察

2008/12/09 火曜日 - 15:41:06 by admin

少しまえにもその緻密な選挙予測を別ブログで紹介した「絶対計算者」ネイト・シルバー氏が、「おそらくは馬鹿げた理論」と言いつつ、興味深い考察をしている。かれがそう呼ぶ「理論」とは、米国上院選挙ではまだミネソタの議席の再集計に決着がついていないけれども、民主党はここで勝つよりも負けた方が議会運営には都合が良いのではないか、というものだ。

経済学S2/失業−−メカニズム解釈を経由して、共生にたどり着く

2008/11/28 金曜日 - 21:22:57 by admin

前エントリではじめた「経済学シリーズ」、だいたい月一回くらいのペースを考えていたのだけれど、とりあえず最初はどういう狙いの連載なのかを知ってもらうために、最初だけ短いインターバルで書いてみる。今回取り上げたいのは、失業について。

経済学S1/自由貿易−−「現状をよりマシにすること」と「正しさ」の違い

2008/11/27 木曜日 - 13:38:14 by admin

前からやろうと思っていたことなのだけれど、今回から「経済学シリーズ」として、当ブログで不定期連載をはじめてみたい。ここで「経済学シリーズ」と書いたけれども、わたしは経済学についてきちんとした勉強をしてきたわけではないので、読者のみなさんに経済学についてレクチャーしようというわけではない。この連載は、トマス・ソーウェルの言うところの「束縛的世界観」を持ちつつも、社会的公正に強い関心を抱くリベラルであるわたしが、その「束縛的世界観」を前提とする(主流派)経済学の知見、そしてその延長にあるネオリベラリズムの論理をどのように受け止め、そのうえで何を主張していくか、という問題意識を元としている。