大統領選挙終盤にもなって、ACORNとビル・エアーズのデマを中心に据えるマケインに失望

10/20/2008 - 4:57 pm | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

米国大統領選挙もあと少しとなり、オバマの当選が9割決まったと言われている中、「苺畑より」のカカシさんが保守過激派ブログや FOX News にしか流れていないようなスピンを必死になって紹介している。共和党のマケインを支持するカカシさんがそうしたいと思うのは理解できるので、「うげっ、ここまで信じ込むかよ普通?」とか思いつつ生暖かく見守ろうと思っていたのだけれど、ちょっと無視できない方向に行っている。

無視できない問題とは、マケイン陣営が「史上最大の選挙違反を組織的に行なっている」とばかりに非難している、ACORN という市民団体についての記述。カカシさんは、こう書いている。

しかもオバマには選挙違反連続で警察沙汰になっているACORNという市民団体がくっついている。このグループは選挙権があろうとなかろうと移民や犯罪者に金を払って選挙登録をさせ、その名前を使って投票権を自分らで埋めて郵送するという違反で何人もそのメンバーが逮捕されている。
http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2008/10/post_775.html

一応解説しておくと、米国では有権者が選挙で投票するには、住んでいる地域で選挙登録をしなくてはいけない。簡単な用紙に記入して選挙管理委員会に送るか持ち込むかするだけなのだけれど、選挙より数週間前に締め切りがあるので登録を忘れていたら投票できない。

一般に、所得が高い層ほど登録を済ませている人が多く、貧しい人は仕事で忙しくて政治に関心を払う余裕がなかったり、そもそも政治に何の期待も持っていなかったり、役所にいい感情を持っていないから近づきたくなかったりで、登録している割合が低い。

それではいくら民主主義といっても、貧しい人たちの意見が政治に反映されないので、特に貧困地域において、多くの人たちが有権者登録を呼びかける活動を行なっている。 ACORN もそうした団体の一つで、登録用紙を持参して街頭などで登録を呼びかけ、その場で記入・署名してもらってそれを持ち帰り、まとめて選挙管理委員会に提出している。

こうした活動をする団体は、党派的には中立の立場にあり、登録呼びかけ活動中にその立場を利用してどの候補や政党に投票すべきかという話をすることは認められていない。けれども、貧しい人がよりたくさん投票すれば、自然と貧困層、そしてその多くを占める非白人層の支持を多く集めている民主党が有利になる。だから、民主党は有権者登録の呼びかけに好意的であり、共和党はなにかにつけて文句をつけようとしている。

今回の騒動の前兆として、2006年に起きた九人の連邦検事更迭事件がある。ブッシュ政権は、ACORN やその他のこうした活動を行なう団体に対して、不正な有権者登録をしていないか調査するように全国各地の連邦検事に圧力をかけ、それに抵抗した九人−−全体の約一割に相当−−の連邦検事を更迭した。連邦検事の任命権は全面的に大統領にあるので、気に入らない連邦検事を更迭するのは構わないのだけれど、かれらはそもそもブッシュ大統領によって任命された人たちであり、またその功績を評価され政権によって表彰された人も含まれていた。有権者登録を呼びかける活動を萎縮させ、民主党の支持者をできるだけ多く投票所から遠ざけようという目的であることが明らかで、議会の追及を受けてゴンサレス司法長官が辞任に追い込まれた。ちなみに、ACORN をはじめとする団体は、政権の意向に従った連邦検事や九人の後任によってさんざん調査されたけれども、何ら組織的な不正は見つからなかった。

ACORN の各支部は、登録呼びかけ活動をするために合計すると何万人もの人を時給いくらで雇い、きちんと登録させるための講習を受けさせ、各地に配置している。何万人ものアルバイトがいると、中にはさぼって楽をしようとする人も出てくるもので、一人で偽名を使ってたくさんの登録用紙を記入したり、既に登録している人に何枚も登録させたりという人は出てくる。たくさん登録させたからといってボーナスが出るわけでもないけれども、できるだけ楽に仕事をしているフリをしたいという人はそういうことをしたりする。そうした不正は、民主党側の団体にも共和党側の団体にもある。

そうした不正に ACORN がどう対処するかというと、集められた有権者登録を丁寧に調べたうえで、三つのカテゴリに分類する。一つは、過去に登録していた人が住所を変えただけのように、おそらく正当なものだと判別できるもの。二つ目は、特に不正を疑わせるような要素はないけれども、確認ができないもの。そして三つ目に、名前が「ミッキー・マウス」みたいなふざけたものだったり(本名でいたらごめんなさい)、同じ筆跡のものが複数あったりで、不正が疑われるもの。

ACORN は、集められた登録用紙をそのように分類した上で(つまり、怪しげな登録用紙は「これは怪しいですよ」とはっきり伝える形で)選挙管理委員会に提出し、委員会が不正と判断したものについてはその登録を行なったアルバイトを判定し、もし法的追求があれば警察に協力する。なぜなら、そうした行為は ACORN の評判に傷をつけるものだし、それ以前に ACORN はその件において詐欺の被害者だから。かれらは、できるだけ多くの貧しい人に投票に行ってもらうためにこのような活動を行なっているのであって、不正な登録がいくら行なわれても投票率向上にはまったく寄与しないもの。

今回の騒動において、マケイン陣営は「こんなに多数の不正が疑われる登録が行なわれている」と大々的に宣伝しているけれども、その数字は ACORN 自身が報告している、上の分類における二番目と三番目を足した数にすぎない。二番目のカテゴリには、これまで有権者登録を行なってこなかった貧困層の人や新成人が多く含まれているけれども、その大多数はまったく正当な有権者によるもの。貧困層や非白人の有権者に加えて、若い人の圧倒的多数がオバマを支持していることを考えれば、かれらの参政権を取り上げたいというのがマケイン陣営の本音だ。

同様に、いくつかの州で ACORN が不正を行なっていないかどうかという捜査が行なわれているけれども、これも過去の捜査と同様に何の結果ももたらしていない。一部のアルバイトによる不正はあるだろうけれども、ACORN 自体がそれを組織的に推進しているという証拠は何もない。そればかりか、ACORN はそうした不正によって被害を受けていて、それを止めるために選挙管理委員会と協力してできる限りの体制を取っている。ACORN が提出した何十万もの登録用紙のうち不正が確認されたのは1%にもならない数だし、その多くが ACORN 自身によって「これは怪しいので調査してください」と指定されたものだ。(そんなに怪しいのにどうして提出するのかというと、どんなに怪しい登録用紙であっても、集めた以上は提出しなければ違法になる。そうでないと、間違って「これは怪しい」と判断されて用紙を提出されなかった人が、選挙当日に投票できなくなる。)

カカシさんの書いたものをもう一度見て欲しいのだけれど、

しかもオバマには選挙違反連続で警察沙汰になっているACORNという市民団体がくっついている。このグループは選挙権があろうとなかろうと移民や犯罪者に金を払って選挙登録をさせ、その名前を使って投票権を自分らで埋めて郵送するという違反で何人もそのメンバーが逮捕されている。
http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2008/10/post_775.html

ACORN に組織的ではないけれども一部のアルバイトによる選挙違反があることは事実であり、それが調査を受けていることも−−政治的な動機の調査を拒否した連邦検事は更迭されたので−−事実だ。でもその後がまったく事実に反する。だいいち、「移民や犯罪者に金を払って選挙登録をさせ」というけれども、わざわざお金を払って移民や犯罪者に有権者登録させる理由がどこにあるわけ? 移民や(参政権停止中の)犯罪者を「間違って」登録させてしまうことならあるだろうけれど、要するに有権者でない人を登録させるというのであれば、架空の名前で十分でしょ。名前が思いつかなければ、電話帳にいくらでも載ってるし。そしてそんなことしても、アルバイトの人は楽に給料が貰えて得するかもしれないけど、ACORN には何の利益もない。

「その名前を使って投票権を自分らで埋めて郵送する」というのはさらに訳が分からないのだけれど、有権者登録って投票用紙じゃないのね。たくさん名前を登録したって、同じ人がそう何度も投票所に現れたら、そりゃばれるでしょ。辛うじてありうる想定として、選挙権のない移民や犯罪者に有権者と登録させて、さらにその人たちに投票所に行かせれば、なんとか不正は成立するかもしれない。でも実際にそういう不正投票は、事後の調査によってもまったくと言っていいほど報告されていない。だいたい、全国規模の選挙に影響を与えるほどの不正投票をするには、ものすごい数の移民や犯罪者が必要になるはずで、そんな大規模な不正をすればばれないはずがない。

結局、不正な有権者登録(偽名で何枚も記入するなど)によって逮捕されたアルバイトはいても、不正に投票したとして逮捕された人は一人もいない。結局、個別の選挙違反や勘違いによる過ちはあっても−−これは、民主党側にも共和党側にもある−−組織だった不正は、少なくとも ACORN や同種の団体に関連しては、まったく存在しない。カカシさんは、不正行為の被害者であるはずの ACORN を加害者と名指しして糾弾していることになる。

さらに、カカシさんの言うオバマと ACORN の関係というのは以下のとおり。

オバマはこのグループは自分には関係がないと言い張っているが、オバマはかつてこのグループに所属していたことがあり、しかもこのグループはオバマ選挙運動に多額の献金をしているのである。よくも白々しく自分には関係がないなどと言えたものだ。

ACORN がオバマに献金しているという話は FOX News や過激保守ブログですら見たことがないのだけれど(ていうか、ACORN そのものは非営利団体なので、候補や政党への献金はできない)、おそらくマケイン陣営が「オバマが ACORN に八十万ドル払った」と宣伝していることの聞き間違えだと思う。八十万ドルという話がどこから出てくるかというと、今年の春に民主党内でヒラリー・クリントンと激しい指名獲得競争をしていた時に、ACORN と関連のある団体に対して、より多くの人に投票を呼びかけるための活動の資金としてそれだけの額を提供したというのが元。この活動は Get Out the Vote (GOTV) と呼ばれていて、選挙前に集めておいた支持者のリストに選挙当日に電話をかけ、「今日が投票日ですよ、忘れずに投票にいきましょう」と呼びかけたりするもの。米国では選挙のたびにどの陣営も行なっていることであり、何の不正も報告されていない。

オバマが ACORN に所属していたというのははっきりした間違い。オバマは政治家になる前に ACORN と似たような活動をする別の団体に所属していたし、ACORN が州政府を訴えたときに弁護士として ACORN を代弁したことはあるけれども、ACORN のメンバーだったことはない。FOX News などでは「ACORN のスタッフを対象に講習会を開いていた」という話も出ているけれども、年に一度のイベントに講師として呼ばれていたというだけ。どこが悪いというのか。

あと、ついでなのでマケインが ACORN と並んでオバマとの関係を問題としている人に、元過激派活動家のビル・エアーズという人物がいる。カカシさんも、次のように紹介している。

もうひとつは、1970年代の国内テロリスト、ビル・アヤースとの関係を追及する内容。オバマはこの男の家を選挙の際に会議に使ったりして仲良くしていたことがあるからで、オバマはアヤースが元テロリストであったことを知っていながらかなり親しい間柄だった。オバマはこの男との関係をまだはっきりとは説明していない。
http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2008/08/post_758.html

エアーズの綴りは Ayers で、これは『その数学が戦略を決める』の著者イアン・エアーズと同じ姓だけれど、アヤースでなくエアーズが正しい。それはともかく、このビル・エアーズは1960年代末期から1970年代にかけて活動していたウェザーマンという左翼学生団体の主要メンバーの一人。ウェザーマン(天気予報係)という名前はボブ・ディランの「風がどちらに吹くのかは天気予報に聞くまでもない」という歌詞からの引用で、ディランがここで「風がどちらに吹くのかは」と比喩的に言うのは、「社会がどちらへ向かうのかは」、すなわち「革命が起きる」ということ。つまりウェザーマンは、自分たちこそが革命を先導しようという考えの団体だった。それが先鋭化して地下に潜り、ウェザー・アンダーグラウンドと呼ばれるようになる。

ウェザーマンは米国の侵略に抵抗するヴェトナム人や、黒人解放運動をしていたブラック・パンサーズに同調し、「戦争をわれらに (bring the war home)」というスローガンを掲げた。すなわち、米国帝国主義との闘いはヴェトナムではなく、米国本土で米国人自身によって闘われるべきだという考えを主張した。日本で言うなら、「東アジア反日武装戦線」に近い。いまよりはるかに反政府運動がさかんだった当時の社会でも、ラブ&ピースを掲げた一般の平和運動に比べてウェザーマンは明らかに異質で、当たり前のごとく弾圧を受け、地下に潜ってからは政府機関を対象とした爆破テロ(ただし、爆破前に通報して予告することで人的被害を防いだ)などの活動を続けた。

ウェザーマンの活動は1970年代中盤には行き詰まり、エアーズら幹部は1980年までに自首した。しかし警察の側にあまりに多くの違法捜査があったためエアーズは無罪となり、釈放される。その後かれは大学院に進み、教育学の学位を得てイリノイ大学シカゴ校の教授となる。教育学者としてのエアーズは、シカゴ市の教育改革に関わるなどして表彰を受けた。シカゴの貧困地区でコミュニティ・オーガナイザーの仕事をしていたオバマとの接点ができるのはそのあとで、教育関係の基金の理事同士となって知り合い、オバマがはじめて州議会に立候補した時にはエアーズの自宅でオバマを応援するためのパーティが開かれた。

もしエアーズと同じ基金で理事をしていたというのが問題なら、シカゴの教育界関係者や市当局関係者は大勢が「テロリストの仲間」ということになってしまう。オバマがシカゴに来たときには、既にエアーズはウェザーマンの過激派活動家ではなく、地元の教育問題に取り組む教育学者だったのだから、何が問題なのかまったく分からない。しかもその後エアーズが特にオバマと深い関係を持っているという事実もなく、大統領選挙にも関与していないし、オバマの側近というわけでもない。それなのに、「オバマはテロリストと仲良くしている」と宣伝するマケインや、それにコロッと騙されてしまうカカシさんのような人がいるのは、困ったことだ。

さて、わたしはもちろんオバマを支持しているのだけれど、同じようにオバマを支持している周囲の人にはずっと「マケインでもオバマでも、少なくとも今のブッシュ政権よりはずっとマシになる」と(少なくとも、ペイリンを副大統領候補に指名するまでは)言ってきたし、オバマよりマケインが優れている点(農業政策、自由貿易、政治資金改革、軍需産業の監視、など)についても指摘してきた。ときに政治的な計算を度外視して思ったままのことを口にするマケインは、計算され尽くしたパフォーマンスを得意とするオバマにはない人間的な魅力があるとも思っていた。

でも ACORN に対する中傷は、そして ACORN やエアーズとオバマを強引に結びつけて叩こうとする最近の戦略は、いくら激しい選挙戦の最終局面における、負けかけている側の必死の行為とはいえ、度が過ぎていると思う。共和党員でありブッシュ政権の国務長官だったコリン・パウエルがいまの時期にオバマ支持を表明した理由の一つも、そしてマケインを支持している現職の共和党上院議員の何人かがマケインの宣伝に苦情を言い出しているのも、マケイン陣営がこのような恥ずべき戦略に出ていることに失望したからだ。

ブッシュ現大統領やクリントン前大統領のような軽薄な政治家ならともかく、マケインがそうまでして大統領になりたいと考える人間だとは思わなかった。これまであれだけ計算を度外視する活動をしておいて、最後のチャンスだからとここまで品格を落とすとはね。今回大統領になれない場合、おそらく2010年の上院改選でマケインは政界を引退すると思われるだけに、あれだけ偉大だった政治家が晩年にこれだけの醜さをさらけ出したのは、非常に残念な気がする。(まぁカカシさんについては、もともとマケインほど期待していないから仕方がないけど。)

3 Responses - “大統領選挙終盤にもなって、ACORNとビル・エアーズのデマを中心に据えるマケインに失望”

  1. fruitswines Says:

    macskaさん、始めまして。今までROMしていたけどコメントしてみました。コメントした理由は、macskaさんは現実認識や個人的な思想や政治的な意見が異なる人とも、対話による現実認識の整合や意見の調整や合意の形成ができる人ではないかと期待したからです。macskaさんに異存がなければ、アメリカ合衆国や世界の過去・現在・未来について対話できればと思ってます。

    余談ですが、私がmacskaさんに期待した理由と正反対の認識・思考パターンなのが苺畑カカシさんで、自分の認識や意見だけが唯一的な真実・正義で、それに反する認識や意見の人は真実がわからない愚者、正義に反する非国民と侮蔑的なレッテル貼りして、それ以外の認識や評価は一切受け入れないという硬直的な思考パターンで対話不可能な人、自分と同じ認識や意見の人の間では対話できるけど、自分と認識や意見が異なる人とは対話できない人だと思ってます。そういう人はどのような思想や意見の立場にかかわらず存在し、インターネットが普及して以来、掲示板、QAサイト、ブログやニュースのコメント欄で、自分の感情を発散し意見を表明し、認識や意見が異なる他者を罵倒・侮蔑することはできても、社会を変革することは出来ない生産性がない人なので相手をするだけ時間の無駄だと思います。

    私はmacskaさんと異なり、特定の支持政党はありません。○○党の政治的実績や主張だから全面的に支持、××党の政策だから全面的に反対と、形式的・画一的には考えず、個々の政策が自由・平和・共生・人権保護・環境保護の実現や進展になるなら支持するし、自由の抑圧・自衛以外の戦争や武力行使・覇権主義・排外主義・人権侵害・環境破壊の実現や進展になるなら反対します。

    過去ログで疑問に思ったことでmacskaさんに質問したいのですが、議会が日本軍の慰安婦問題と日本政府の姿勢について非難決議した時に、macskaさんが議会の決議を支持し日本軍の慰安婦問題と日本政府の姿勢を非難した記事に対してコメントした人が、アメリカ合衆国が過去から現在まで繰り返してきた戦争と、クラスター爆弾、焼夷弾、原子爆弾、枯葉剤、劣化ウラン弾などを使用した空爆による民間人殺傷に対して、反省も謝罪も賠償も一切せず全て正当化していることを指摘し、アメリカ合衆国の議会や政府、報道機関や国民の独善的・国粋主義的な認識や評価を指摘し、アメリカ合衆国も過去の戦争と民間人殺傷・環境破壊を反省し謝罪し、覇権主義的な外交姿勢や自衛以外の武力行使を止めるべきだと指摘していたが、macskaさんはその指摘に対して、アメリカ合衆国も戦争・民間人殺傷・環境破壊をしていると指摘して、慰安婦問題から話題をそらして、慰安婦問題を相対化・矮小化しようとする発言であると否定的(発言者への蔑視のこもった)な回答でした(記憶に頼って書いているので誤認や誤解だったら指摘してください)。

    日本の慰安婦問題を相対化・矮小化する手段として、自分の嫌米感情を満足させ排米運動を推進する手段として、アメリカ合衆国の戦争・民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交・開発途上国からの経済的収奪の責任を指摘するという方法を行使する人が存在しても、アメリカ合衆国の戦争・民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交・開発途上国からの経済的収奪の責任を指摘すること自体の本質は、日本の慰安婦問題を相対化・矮小化することではなく、自分の嫌米感情を満足させ排米運動を推進することでもなく、純粋に自由・平和・人権・環境・共生を追求するものである。日本に慰安婦問題の責任があるということを論拠に、ゆえに、アメリカ合衆国に戦争・民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交・開発途上国からの経済的収奪の責任がないという論理は、詭弁の方法として使用する人はいても、論理的・数学的には成り立たない。

    つまり、共和党政権が遂行したグレナダ侵攻、リビア空爆、パナマ侵攻、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争と民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交政策は非難するけど、民主党政権が遂行した第一次世界大戦、第二次世界対戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、ボスニア・へルェゴビナ空爆、コソボ空爆、スーダン空爆、アフガニスタン空爆、イラク空爆と民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交政策については、問題とは認識してない、反省も謝罪も必要ない、正当化ですか。つまり、行為とその影響や結果に対する賛否ではなく、同種の行為でも行為者が誰であるかによって賛否を使い分けるのですかということです(アメリカ合衆国が遂行した戦争、武力行使、民間人殺傷・環境破壊・政権転覆、傀儡政権の樹立と間接支配、被支配国からの経済的収奪は上記以外にも大量にあるが、全てを例示すると大量になるので、20世紀以後の著名な事例に限定して例示した)。

    私は、アメリカ合衆国が過去から現在まで繰り返してきた戦争と民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交政策・開発途上国からの経済的収奪に対して、反省も謝罪も賠償も一切せず全て正当化していること、アメリカ合衆国の議会や政府、報道機関や国民の独善的・国粋主義的な認識や自己評価、アメリカ合衆国も過去の戦争と民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交・開発途上国からの経済的収奪を反省し謝罪し、自衛以外の武力行使と覇権主義的な外交姿勢と開発途上国からの経済的収奪を破棄し、諸外国との対話による相互理解と他国への配慮を怠らず、世界の諸国民と自由・平和・人権・環境を共有し、世界の諸国との共生と利益の共有を追求する政策に転換しなければ、アメリカ合衆国にとっても世界にとっても不利益しかもたらさないと認識してますがmacskaさんはどう考えますか。

  2. macska Says:

    なんかすごいコメントが来てしまった。ざっと眺めるだけで漢字の比率がやたらと多いし。でもがんばってお応えしてみます。

    macskaさんに異存がなければ、アメリカ合衆国や世界の過去・現在・未来について対話できればと思ってます。

    範囲広! まぁぼちぼちやっていきましょう。

    私はmacskaさんと異なり、特定の支持政党はありません。

    わたしも、別に特定の政党を支持しているわけじゃないんですが、二大政党制があってどっちがマシかというと(米国の)民主党になってしまうんですよ。前回の大統領選挙に出ていたジョン・ケリーとか、2000年のアル・ゴアみたいな政治家はどちらかというと嫌いなんですけど(2002年以降の再生ゴアならOK)、大統領の政党がどっちだというだけで、政府機関のトップが全部入れ替わるんで、やっぱり政党にはこだわってしまいます。

    たとえばわたしは、クリントン政権中の1999年頃から司法省の「女性に対する暴力」対策室のスタッフといろいろ話をしていて、オープン・ソサエティ財団あたりの支援であるプロジェクトを立ち上げようとしていたんですけれど、ブッシュが当選した途端に対策室そのものが組織内で二段階も下位に落とされ(つまり、クリントン政権では対策室の室長が直接ジャネット・リノ司法長官に報告していたのが、ブッシュ政権になってからは室長からジョン・アッシュクロフト司法長官までの間に中間管理職が2人入った)、スタッフの3/4は辞めさせられ、室長には「女性に対する暴力」法に反対の立場でロビー活動をしていたアンチ・フェミ活動家が就任しました。当然、プロジェクトは立ち消え。それと同じことが、全ての部署で起きていたわけで、2004年の選挙では「たとえケリーが嫌いでも、民主党政権を作るためにはケリーに勝ってもらわなければ困る」と思うようになりました。

    過去ログで疑問に思ったことでmacskaさんに質問したいのですが、議会が日本軍の慰安婦問題と日本政府の姿勢について非難決議した時に、macskaさんが議会の決議を支持し日本軍の慰安婦問題と日本政府の姿勢を非難した記事に対してコメントした人が、アメリカ合衆国が過去から現在まで繰り返してきた戦争と、クラスター爆弾、焼夷弾、原子爆弾、枯葉剤、劣化ウラン弾などを使用した空爆による民間人殺傷に対して、反省も謝罪も賠償も一切せず全て正当化していることを指摘し、アメリカ合衆国の議会や政府、報道機関や国民の独善的・国粋主義的な認識や評価を指摘し、アメリカ合衆国も過去の戦争と民間人殺傷・環境破壊を反省し謝罪し、覇権主義的な外交姿勢や自衛以外の武力行使を止めるべきだと指摘していたが、macskaさんはその指摘に対して、アメリカ合衆国も戦争・民間人殺傷・環境破壊をしていると指摘して、慰安婦問題から話題をそらして、慰安婦問題を相対化・矮小化しようとする発言であると否定的(発言者への蔑視のこもった)な回答でした(記憶に頼って書いているので誤認や誤解だったら指摘してください)。

    文が長過ぎて、どこからどこまでがどこにかかるのか分かりにくいです。もしかしたら文意を誤読しているかもしれませんが、念のために言っておくと、わたしは米国下院の慰安婦決議なんて支持してないですよ。日本の左翼や平和主義者で決議を支持あるいは歓迎している人がいれば、それは恥知らずだとすら思います。わたし自身、積極的に反対もしていませんが。

    別な言い方をすると、元慰安婦の人たちや在米コリアンの人たちなどが米国議会の決議を要求し、またそれを歓迎するのは理解できるので、あえてそれに反対しようとは思いません。それは、かれらが日本政府や日本の世論にいくら訴えても成果が得られないので、わらをつかむ思いで米国議会に期待を寄せているのがよく分かるからです。しかし、日本の左翼や平和主義者が自国の議会や世論を説得できないからといって、米国の外圧に期待するのは明らかにおかしいでしょう。慰安婦問題の解決を望む日本人にとって、ただ自分たちのふがいなさと、よりによって米国に期待を寄せざるを得ないところまで元慰安婦の人たちを追いやったことを恥じることしかできないと思います。

    日本の慰安婦問題を相対化・矮小化する手段として、自分の嫌米感情を満足させ排米運動を推進する手段として、アメリカ合衆国の戦争・民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交・開発途上国からの経済的収奪の責任を指摘するという方法を行使する人が存在しても、アメリカ合衆国の戦争・民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交・開発途上国からの経済的収奪の責任を指摘すること自体の本質は、日本の慰安婦問題を相対化・矮小化することではなく、自分の嫌米感情を満足させ排米運動を推進することでもなく、純粋に自由・平和・人権・環境・共生を追求するものである。

     わたしの議論をきちんと追って欲しいのですが、わたしは米国の責任を指摘してはいけないとは言っていません。本文中ではわたし自身が米国がイラクにおいて慰安婦問題と同類の犯罪を現在積み重ねていることを指摘しています。ではわたしがコメントした方の何を批判しているのかというと、その人が自らの立つ位置を忘却して、「普遍」の高みから抽象的な「正しさ」の基準を決めようとしていることです。

    また、よく読めばその人の議論が相殺論とそれほど違わないことが分かります。たとえば、欧米諸国が慰安婦問題において日本に対する決議をしたことを受けて、「もうすでに欧米は一応の基準を出しているわけです。であるならば、それを各国に当てはめていけばよいではないですか?」と書いています。そこでは、基準そのものの妥当性は一切問題とされておらず、「各国に同じ基準が適用されること」だけが主張されています。それは、自国の過去の犯罪と真摯に向き合おうという態度ではありません。

    つまり、共和党政権が遂行したグレナダ侵攻、リビア空爆、パナマ侵攻、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争と民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交政策は非難するけど、民主党政権が遂行した第一次世界大戦、第二次世界対戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、ボスニア・へルェゴビナ空爆、コソボ空爆、スーダン空爆、アフガニスタン空爆、イラク空爆と民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交政策については、問題とは認識してない、反省も謝罪も必要ない、正当化ですか

    問題に決まってるじゃないですか。一体どこをどう読めば「問題ない、反省も謝罪も必要ない」と主張しているように読めるのやら。でも、なんで慰安婦の話題が出た時だけ唐突にそういう話をする人がいるのかというのは、興味深い問題だとは思いませんか?

    私は、アメリカ合衆国が過去から現在まで繰り返してきた戦争と民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交政策・開発途上国からの経済的収奪に対して、反省も謝罪も賠償も一切せず全て正当化していること、アメリカ合衆国の議会や政府、報道機関や国民の独善的・国粋主義的な認識や自己評価、アメリカ合衆国も過去の戦争と民間人殺傷・環境破壊・覇権主義外交・開発途上国からの経済的収奪を反省し謝罪し、自衛以外の武力行使と覇権主義的な外交姿勢と開発途上国からの経済的収奪を破棄し、諸外国との対話による相互理解と他国への配慮を怠らず、世界の諸国民と自由・平和・人権・環境を共有し、世界の諸国との共生と利益の共有を追求する政策に転換しなければ、アメリカ合衆国にとっても世界にとっても不利益しかもたらさないと認識してますがmacskaさんはどう考えますか。

    アメリカを含む、世界の多くの人々にとって不利益だと思いますが、「アメリカにとって」不利益かどうかというような事は論じることができません。なぜなら、アメリカというのは一つの主体ではないからです。「国益」なんてものは、国の中の誰か特定の人たちにとっての利害でしかないと思います。

  3. ライオン Says:

    ACORNに関する議論について、既視感があるなあと思っていたら、従軍慰安婦に関する議論でした。

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