HIV/AIDSの検査を呼びかける啓蒙活動が「暴力」になるとき
2016/04/18 月曜日 - 20:58:09 by admin今日4月18日は、シアトルで、National Transgender HIV Testing Dayというのに関連したパネルがあったので参加してきた。これはカリフォルニア大学サンフランシスコ校のCenter of Ex […]
今日4月18日は、シアトルで、National Transgender HIV Testing Dayというのに関連したパネルがあったので参加してきた。これはカリフォルニア大学サンフランシスコ校のCenter of Ex […]
慰安婦問題についてある保守派の方とメールでお話をしていて、いろいろ質問していたのですが、聞くだけではフェアではないと思い、長々と自分の考えを説明しました。内容はいつもツイッターで書いていることと同じですが、せっかくまとま […]
前エントリ「『性産業の需要を減らす』アプローチが、性労働に従事している人にとって有害でしかない理由」への反響にお応えする、恒例の「はてなブックマークコメント(やツイートやその他のコメント)にコメント」のお時間です。ちなみにこのブログは、ふだんの一日の閲覧数がだいたい100〜200程度しかないサイトなのに、この記事が発表された途端に大量のアクセスが集中し、半日のうちに1万ヒットを大きく超える反応がありました。ソーシャルメディアってこわいです、はい。
とはいえ、ツイッターやはてなブックマークで記事についての感想や意見を書いている人は、いつもとそれほど変わらない人数でしかなく、よく見たらいつもコメントをくださっている人が多かったりするので、アクセスが増えただけで、最後までちゃんと読んで、考えてくれた人は、ふだんとそれほど変わっていない気もする。でも、せっかくコメントをいただいたので、いろいろお応えしつつ、わたしの意見や関連情報を追加していきたいと思います。
米国の反人身取引・反売買春運動において、ここ数年「性産業の需要を減らす」アプローチを主張する人や団体が影響力を得ている。すなわち、これまでよくあったように供給側(売春者)を処罰するのではなく、需要側(客)の取り締まりを強化したり、厳罰化したり、あるいは規範化による社会的制裁を行うことによって、需要側のインセンティヴにはたらきかけ、性的サービスに対する需要を減らすべきだという考えだ。かれらは、需要を減らすことによって、人身取引の被害者や、やむを得ない理由によって売春に従事する人たちを減らすことができる、と主張している。わたしは米国のフェミニズムや性労働者運動において、「需要を減らす」アプローチがいかに無効であり、人身取引の被害者や、やむを得ない理由によって売春に従事している人たちのような、かれらが救おうとしている人たちをさらに苦しめるものであるか、再三主張してきたが、最近になって日本でも(おそらく米国の運動の影響を受けて)同様の主張をする人を見かけるようになったので、「需要をなくす」アプローチがどうして間違っているのか、以下にまとめる。
七月一日、米国系の化粧品店ザ・ボディショップと、子どもの権利を守る活動をしている民間団体が、文部科学省や国会議員などを訪れ、児童ポルノの個人所有を処罰することを含めた法改正を求める二十一万人分の署名を提出した。ところがそれが報道されたるとインターネットでは、ザ・ボディショップの店頭などにおいて署名に参加した人たちのあいだから、自分たちは「子どもの人身売買に対する法整備を求める」という声明に署名したのであって、児童ポルノ禁止法の改正を求める署名だったとは知らなかった、という声があがった。しかし、問題を「不誠実な署名集めの手法が用いられた」だけだと認識してしまうと、その背後にあるより大きな問題が覆い隠されてしまう。ここでは「人身売買」(ヒューマン・トラフィッキング)という言葉が広まった背景や、その社会的な影響を解説してみたい。
前エントリ「反ポルノ・売買春団体『エスケープ』十年前の方向転換と、暴力をふるう『反暴力』活動家たち」への反応のなかで、ほとんど唯一(ほかにいるかもしれないけど、見ていない)記事に批判的なことをツイッターで書いてくれたのは、@g_kinokoさんという人だった。マッキノンの反ポルノ論に好意的な人はたいていわたしの話を聞いてくれないし、まともに反応してくれないので、批判を書いたうえで、それへの反論にも応対してくれたのは嬉しかった。そうした直接の応答はツイッター上で書いているのだけれど、ちょっと気になった表現があったので、ここでもとりあげてみる。
最近、反ポルノ・売買春運動をしている人や、そういった人たちに反発している人たちの発言がよく目に入ってくる。反ポルノ・売買春派のなかでもやっぱり一番充実しているのは、老舗の反ポルノ・反売買春団体「反ポルノ・買春問題研究会」のサイト。今回エントリを書こうと思ったのは、その「反ポルノ・買春問題研究会」の活動報告に掲載されたある記事を読んで、気になった点があったから。あ、いや、気になる点はほかにもたくさんあるんだけど、とくに気になったのが、反ポルノ・反売買春派のフェミニスト法学者として有名なキャサリン・マッキノンを「研究会」メンバーが訪れた、というこの記事。
政府や大企業の持つ機密文書を広く一般に公開するために設立されたウィキリークスが、米国外交文書などをそれまでなかった規模で暴露し、国際的に大きな注目を集めたのは、昨年の夏から秋にかけての頃だった。当初、それらの文書が公開さ […]
ここのところ記事を書かせてもらっている「シノドスジャーナル」執筆者の一人でもあり、わたしと守備範囲がかなりかぶっている(経済学よりの社会思想)橋本努さん(北海道大学大学院経済学研究科准教授)が、新著『自由の社会学』に関連して、「気鋭の社会学者が提案する『売春業のライセンス化』と『自由な社会』とは?」と題するインタビューを受けている。『自由の社会学』そのものは読んでいないのだけれど(紀伊國屋書店ビーバートン店でみかけたら買おうと思っている)、このインタビュー記事を読んで気になった点をいくつか。
シノドスに寄稿させていただいた「『テロ戦争』化しつつある、反『セックス・トラフィッキング=性的人身売買』運動」という記事において、米国の政治論議やメディアなどで広く流布しているある数値について書いた。それは「売春をしている人が、はじめて売春を行った時点での平均年齢は一三歳である」というものであり、同記事中で明快に指摘した通り、事実に反する。
ところがシノドスとの提携により記事の提供を受けたライブドアニュースは、この記事へのリンクに「少女を誘拐し性奴隷として売り飛ばす」という扇動的な見出しを付け、逆にパニックを煽ってしまった。そしてさらに2ちゃんねるにおいてそのライブドアニュースの記事を紹介するスレッドが立てられた。そのスレッドのタイトルは、さらに扇動的なトーンを増した「少女を誘拐し性奴隷として売り飛ばす……初めて売春を行う時点の平均年齢は13歳」というもの。結果として、まるでわたしが記事において「初めて売春を行う時点の平均年齢は13歳」と主張しているかのようになってしまった。