10/17/2010 - 9:28 pm by macska
前回このブログでインターセックス(性分化疾患)の話題を全力で取り上げてから、四年以上がたった。米国で「インターセックス」に変わる医学的な用語として「Disorder of Sex Development(より以前はDisorder of Sex Differentiation)」という言葉が提案されたのがその前年。当時まだ日本語としての定訳がなかったので、「性分化・発達障害」(英語における正式名称がdevelopmentになるのかdifferentiationになるのか、その時点でははっきりしなかった)として紹介したが、その後日本でも「性分化疾患」という用語が決まり、社会的認知が進みつつある。
そういう中、ある記者の方からメールで取材の申し込みを受けたが、最初に出てきた質問は、次のようなものだった(ややいい加減な要約)。「インターセックス当事者の運動は医療のありかたを批判してきたと言うが、日本の医者に取材したところ、いまでは米国の当事者の意見も変化してきていて、それほど医療に対して批判的ではなくなっているらしい。そうした指摘についてどう思うか?」(なお、この文中で「医者」というとき、それは一般の医者ではなく、性分化疾患のマネージメントについて指導的な役割を担っている大学病院勤務の専門医のことだとお考えください。)
当事者の意見が変化している、以前ほど批判的な声が聞かれなくなってきていると感じているのは、日本の医者だけではない。米国の医者だっておそらく同じ印象をいだいているだろう。というより、おそらく米国の医者がそのように思っているということが、国際学会などを通じて日本の専門医にも伝わっているのではないかと思う。しかしそれは、医者という立場から見える、ごく限られた地平の話でしかない。 Read the rest of this entry »
Posted in medicine | Comments (3) |
|
6/8/2010 - 8:49 am by macska
世界最大のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、Facebookが日本(語圏)に進出してから二年がたった。よく知られているように、Facebookは実名での登録を前提としていることが特徴であり、「米国で人気の実名SNSが日本社会において受け入れられるか」と話題になった。日本で最も利用されているSNS・ミクシィも、かつては実名での登録を推奨していたが、個人情報や個人的な写真が流出するという騒ぎを経て、実名で利用されることはあまりない。日本語版開始から二年たったいま、日本在住のFacebookユーザ数も二〇〇九年だけで約三倍に増えたものの、国別ランキングでは上位三十位にすら遠く及ばず、米国の1%前後に留まっている。
Facebookが日本で広まらないのは、当初から言われていたように、実名登録制が日本のネット文化に合わないからである、という説明がよく聞かれる。なるほど、匿名を前提とする2ちゃんねるや、ハンドルを使って繋がるミクシィ、さらには歌や踊りを見せても実名はなかなか出さないニコニコ動画も含め、日本のネット文化においては、会社や学校の人間関係から切り離されたところに、匿名だからこそ普段は出せない自分を出したいというニーズが反映されているかもしれない。
また、米国で人気のSNSは、流動的な労働市場において自分を売り込むために使う人が多いから実名なのだという人もいる。この説明は、個人が実名ばかりか学歴や職歴を公開するなど、主にホワイトカラーの求職・求人を目的に使われるLinkedInには当てはまる。しかしFacebookにおいてそれが一般的な利用法であるようには見えない。そもそも、実名登録制によって浸透したSNSは、米国においてもFacebookとLinkedInのほかにはない。すなわち、単純に「日本人は実名制に抵抗を持つが、米国人は持たない」という話ではないことになる。 Read the rest of this entry »
Posted in economics, pop culture, synodos | Comments (9) |
|
4/29/2010 - 9:54 pm by macska
いつみても「キリンが逆立ちしたピアス」っていいブログ名だよなあと思ってしまうのだけれど、その id:font-da さんが、山口佐和子著『アメリカ発 DV再発防止・予防プログラム』を紹介している。わたしもこの本については「某秘密主義ML」(検索キーワード)で知り、気になっていたので、信頼できるレビューが出てきて助かる。いずれ入手するつもりだけれど、いつになることやら。
それにしても、「アメリカ発」の報告なら、なんでわたしに取材に来なかったんだ!という自意識過剰はともかくとして、どれくらい米国の反DV運動の中におけるさまざまな視点や主張を集めているのかという点は気になる。肝心なところは、大手団体に連絡して紹介してもらう先を取材していては全然見えてこないはずなので、著者自身が運動内部の状況をよく理解しているか、そうした状況がわかっている内部協力者が必要なはず。いやわたしに声がかからなかったから文句言ってるわけじゃなくて。
以下、本は読んでいないので山口さんの記述についてはコメントできないけど、font-da さんのコメントに追加コメントしてみる。 Read the rest of this entry »
Posted in violence | Comments (0) |
|