世界の日本研究者ら187名による「日本の歴史家を支持する声明」の背景と狙い

2015年5月9日 - 1:04 AM by admin

米国をはじめとする海外の日本研究者ら187名が、連名で「日本の歴史家を支持する声明」を発表した。

内容よりもまず注目すべきは、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』のエズラ・ヴォーゲル氏、『敗北を抱きしめて』のジョン・ダワー氏、『歴史としての戦後日本』のアンドリュー・ゴードン氏、『歴史で考える』のキャロル・グラック氏、『国民の天皇』のケネス・ルオフ氏、『天皇の逝く国で』のノーマ・フィールド氏ら、学問的にトップクラスであるばかりか米国のアジア政策にまで影響を与えるような名を知られた大物が、ほぼ全員名を連ねていること。わたし自身も署名したが、あとになってリストを見ると、わたしなんかが入って本当にすみません、と謝りたくなる気分だ。権威主義的だと言われるかも知れないが、これだけ有名人が揃うと壮観。そして、この声明が発表されたことが、尋常ならぬ事態だということが分かる。

声明は、安倍首相が日本の総理としては史上初となる米国議会の両議院総会での演説を行った一週間後に発表された。その中で表明されているのは、首相がこれまで日本軍「慰安婦」問題の解決を求める声を無視してきたばかりか、その史実を覆そうとする歴史修正主義的な動きを明白に後押しするような一連の行動への失望だ。 Read the rest of this entry »

「バックラッシュ!」(2006)収録『「ブレンダと呼ばれた少年」をめぐるバックラッシュ言説の迷走』全文公開

2015年4月17日 - 9:37 PM by admin

昨日に続いて、ハードドライブで眠っている古い原稿を公開します。以下に掲載するのは、双風舎から2006年に出版された「バックラッシュ!なぜジェンダーフリーは叩かれたのか」に収録された『「ブレンダと呼ばれた少年」をめぐるバックラッシュ言説の迷走』の全文です。掲載にあたり久しぶりに読んだけど、八木秀次さんをはじめとする保守論者の文献引用がいい加減すぎて改めて呆れました。なお、文中で「性分化障害」と書かれている部分は、現在では「性分化疾患」という言葉が使われているので、読み替えてください。 Read the rest of this entry »

「同性パートナー」(2004)収録『同性婚騒動をめぐる米国LGBTコミュニティのポリティクス』原稿公開

2015年4月16日 - 11:17 PM by admin

以下は、二〇〇四年に社会批評社から出版された「同性パートナー/同性婚・DP法を知るために」(赤杉康伸・土屋ゆき・筒井真樹子編著)に「エミ・コヤマ」名義で寄稿した記事『同性婚騒動をめぐる米国LGBTコミュニティのポリティクス』の原稿です。再掲についてとくに編集者や出版社の許可はもらっていませんが、十年以上前のものなので、いいでしょう(ダメでしたら連絡してください)。

当時からはいろいろ情勢も変わり、わたし自身の考えも付き合っているパートナーも変わってしまったけど(あ、でもいまでもおともだちです)、ここのところ日本でも同性間パートナーシップの公的認知をめぐり議論がはじまっていることもあり、参考になる、という声がいくつか(二つだけど)あったので、記事を掲載することにしました。あくまで現在の論点ではなく「歴史的資料である」ことを頭の中に入れたうえで、読んでください。 Read the rest of this entry »

グレンデール慰安婦像訴訟で、在米日本人ら再び敗訴/カリフォルニア

2015年3月20日 - 7:21 PM by admin

米国カリフォルニア州グレンデール市が市立図書館横の公園に設置した日本軍「慰安婦」被害者の像が、州憲法や州法に違反するとして在米日本人数名とその団体(GAHT)が訴えていた裁判で、ロスアンゼルス先週一審判決が下された。結果は、昨年一審判決があった連邦裁判所における訴訟と同じく、原告の訴えを棄却する内容。昨年11月末にはじまった裁判がこれほど早く決着したのは、被告グレンデール市の請求にこたえ、裁判所が今回の訴訟をSLAPP(strategic lawsuit against public participation 直訳すると「市民参加を妨害するための戦略的訴訟」)と認定したからだ。 Read the rest of this entry »

「テキサス親父日本事務局」の藤木俊一氏がわたしについて間違ったことを書いている件。

2014年12月13日 - 3:19 PM by admin

『週刊金曜日』の記事においてテキサス親父ことトニー・マラーノ氏との不毛なやりとりについて発表したせいか、このところ、「テキサス親父日本事務局」を運営するShun Fergusonこと藤木俊一氏がFacebookページで立て続けにわたしを誹謗中傷する内容を書いている。

わたしだけならともかく、わたしと「在米日系・日本人フェミニスト」という共通項があり、『週刊金曜日』にも寄稿しているモンタナ州立大学の山口智美さんまで「左翼のスパイ」として「極秘調査」の対象とされてしまっているみたいで、山口さんには本当に迷惑をかけてしまったとも思うのだけれど、彼女が(日本の主流派フェミニストから反発を受けるほど)保守の人たちと真摯に向き合っていることは、彼女の共著書『社会運動の戸惑い フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』を読めばわかると思うので、読んでください。そして会って話を聞いてみてください。ていうか、調査するならそれくらいするべきw Read the rest of this entry »

恒例「日本の保守勢力が群がる頼りない『親日』アメリカ人たち」へのブクマコメントにお応え。

- 12:11 PM by admin

恒例、いただいたブックマークコメントに一斉お応え特集ー!

というわけで、前記事「日本の保守勢力が群がる頼りない「親日」アメリカ人たち——「テキサス親父」トニー・マラーノとマイケル・ヨンへのはてなブックマークコメントにお応えしちゃいます。自慢じゃないですが、内容ショボイです。 Read the rest of this entry »

日本の保守勢力が群がる頼りない「親日」アメリカ人たち——「テキサス親父」トニー・マラーノとマイケル・ヨン

2014年12月11日 - 11:31 AM by admin

以下は、『週刊金曜日』2014年12月5日号に掲載された記事「お粗末じゃないか“テキサス親父”」の元原稿です。この原稿を書いたとき、事情によりコンピュータにアクセスできず、iPadで文章を書いたのですが、普段使っている文書作成ソフトを使えなかったため文字数を確認できず、予定されていた文字数を大幅にオーバーしてしまいました。

その後、編集者の方と一緒に分量を削りに削って最終稿を仕上げたのですが、その際いつもより多めに編集者の方の手を借りてしまったので、100%自分の記事だとは言いづらい状態になってしまったので、今回は出版された原稿ではなく、元原稿(にあとから少し手を入れたもの)をここに公開します。「お粗末じゃないか〜」というタイトルも、短いスペースに工夫して編集者の方が考えてくださったものなのですが、自分のスタイルと少し違うので、ブログ公開版のタイトルは別につけさせていただきました。 Read the rest of this entry »

慰安婦問題についての自分の認識や考えをせっかくまとめたので掲載しておく。

2014年10月19日 - 10:39 PM by admin

慰安婦問題についてある保守派の方とメールでお話をしていて、いろいろ質問していたのですが、聞くだけではフェアではないと思い、長々と自分の考えを説明しました。内容はいつもツイッターで書いていることと同じですが、せっかくまとまった考えを書いたので、ブログにも掲載することにします。 Read the rest of this entry »

産経新聞「米国の司法が慰安婦問題は法的にはもう終わったとする審判」は誤報

2014年9月17日 - 12:12 AM by admin

慰安婦問題は国際法上すでに解決済みである、と主張する論者が、その論証の一部として、韓国・台湾・中国・フィリピン各国の元慰安婦が日本政府をアメリカ連邦裁判所に訴えた裁判の判決を挙げることがよくある。たとえば産経新聞は今月一日、次のように報じた。 Read the rest of this entry »

「グレンデール市に慰安婦像が設置されたことによって日本人の子どもがいじめられている」というデマについて

2014年9月1日 - 9:57 PM by admin

ここに書くことは、ふつうに論理がわかる人なら当たり前すぎる話なのだけれど、いつまでたっても変なことを言う人が多いので、今後同じパターンの詭弁が出てきたときに「ここ見ろや」的に参照できるように書いておこうと思う。変なことというのは、グレンデール市に慰安婦像が設置されたことによって「在米日本人や日系人の子どもがいじめられている」というデマが右翼系メディアでさかんに宣伝されている件について。 Read the rest of this entry »