女性を阻む「ガラスの天井」をテニスのトーナメントから説明しようとする経済学者

2007年6月27日 - 6:13 PM by admin

Marginal Revolution にヘブライ・エルサレム大学経済学講師 Marco Daniele Paserman による、自身の論文を元としたコラム「Gender-linked performance differences in competitive environments: evidence from pro tennis」が紹介されていた。女性の社会進出が進むなか、経済界・学界などのトップエリートはいまだに男性が大多数を占めていること(いわゆる「ガラスの天井」)について、プロテニス選手のデータから説明しようとした壮絶な論文。 Read the rest of this entry »

社会運動におけるネット利用と「運動マニュアル」

2007年6月19日 - 12:49 PM by admin

自衛隊内部において性暴力を受けたと主張する現役自衛官が国を提訴した件に関連して、kallikles さんが支援運動によるネット利用のあり方を論じている(その1その2)。その中で「macskaさんが運動マニュアル書くべきだ」という記述があり、トラックバックされたので、いまちょっと忙しいのだけれど(明日サンフランシスコに行く準備しなくちゃー)指名を受けたと思ってちょっとだけ書いてみる。 kallikles さんがサイトのあり方を添削している某「ファイトバックの会」とも無関係ではないわけだし。 Read the rest of this entry »

「アシュリーに法定代理人は不要」と判断した弁護士の倫理的問題

2007年5月24日 - 2:28 PM by admin

前編後編とわけてお届けした「重度障害児に対する『成長停止』をめぐるワシントン大学シンポジウム報告」の番外編。今回はアシュリーの両親が雇った弁護士の書いた文書を読み解き、どこで弁護士は発達障害者の不妊手術の際には必須とされている裁判所の許可を得なくても良いと誤った判断をしてしまったのか、そして他に問題はなかったのかを論じる。文書の原文は Washington Protection & Advocacy Systemのサイト(6月に Disability Rights Washington と改称されるのに先駆けてウェブサイトは既に新しい名前が使われている)で公開されている資料集に Exhibit O として収録されている。 Read the rest of this entry »

重度障害児に対する「成長停止」をめぐるワシントン大学シンポジウム報告(後編)

2007年5月23日 - 12:54 PM by admin

お待たせしました、「重度障害児に対する『成長停止』をめぐるワシントン大学シンポジウム報告」の後編です。以下を読む前に、必ず前編を先にお読みください。また、別ブログ *minx* [macska dot org in exile] の方にもいくつか関連したコメントを載せています。さらに、この問題について詳しく取り上げている別の日本語リソースとして名川勝さんのサイト及びブログも参考になります。 Read the rest of this entry »

LGBT映画祭での「フェミニズムによる反トランス映画」上映計画、中止

2007年5月22日 - 9:56 PM by admin

「重度障害児に対する『成長停止』をめぐるワシントン大学シンポジウム報告」の続きをお待ちのみなさま、すみませんがまだ時間がかかりそうなので別の話題。サンフランシスコで来月催される Frameline というLGBT映画祭において、反トランス的とされる映画の上映が計画され、それが全国のセクシュアルマイノリティ・コミュニティからの猛烈な批判を受けて撤回されたという話。 Read the rest of this entry »

重度障害児に対する「成長停止」をめぐるワシントン大学シンポジウム報告(前編)

2007年5月21日 - 8:14 PM by admin

今回報告するのは、今月16日にシアトルのワシントン大学において行なわれた「重度障害児に対する『成長停止』療法」についてのシンポジウムについて。ていうか無茶苦茶長いので取りあえず前半だけ。論争の発端となったのは、アシュリーと呼ばれる女の子をめぐる一つの症例。彼女は生まれつき重度の知能障害を持っており、生後3ヶ月の赤ちゃんと同程度の知能しか持たないとされるばかりか身体的にも手を挙げたり足で歩いたりは不可能な状態だが、それ以外は健康だったとされている。両親は彼女を一生自宅で介護していくつもりでいるが、彼女の身体が年齢相応に成長すると介護や外出のために彼女を持ち上げたり移動させることが困難になり、またベッドの上で身動きのできない彼女自身にとっても身体的に大きく成長することは負担であると考え、一時的なホルモン投与と外科手術によって彼女の成長を抑止するよう医師に求めた。ワシントン大学付属のシアトル小児病院は倫理委員会を開いてこの要求について審議したうえで、40人の委員全員の賛同のもとに、彼女が6歳の時点(3年前)でホルモン投与と子宮・乳腺の摘出を行なった。 Read the rest of this entry »

議会調査局「慰安婦」報告書について追記

2007年4月27日 - 7:05 PM by admin

昨年、米国議会調査局がはじめて作成した「日本軍の慰安婦問題」報告を他のサイトにさきがけてわたしのブログで公開し、またその解説も書いた。その後、議会の支配権が共和党から民主党に移り、また日本でも安倍政権になってより過激な歴史修正主義的発言が聞かれるようになるなどこの問題がさらに注目を集める中、今月はじめには報告書の増強版が Japan Focus のサイトにおいて公開された。それに関連して、当ブログの昨年のエントリのコメント欄にある質問が書き込まれた。陰謀論が広まってしまうのは困るので、追記しておく。(だけど、「多くの人の目に触れて欲しいから」と、まったく話題違いのエントリに同じコメントをいくつも書き込むのはやめてね。トップで追記することで目立つようにしておくから。) Read the rest of this entry »

「蔑視」と「偏見」/自衛的行為を装う「合理的な差別」に対抗するための倫理

2007年3月26日 - 12:02 AM by admin

前回に引き続き、差別について。ただし今回は、別ブログで予告した通り「蔑視による差別行為」と「偏見による差別行為」の区別についての説明が主題。この区別はスティーヴン・レヴィット&スティーヴ・ダブナーの『ヤバい経済学』では「選好による差別 taste-based discrimination」「情報による差別 information-based discrimination」として紹介されているけれど、なぜそんな区別が必要なのか全然説明されていないので、まずはその辺りから。なお、「情報による差別」はわたしの経験だと「統計的差別 statistical discrimination」と呼ばれることの方が多いので、経済学の文献をあたるときはそちらで探すと吉。 Read the rest of this entry »

差別についての、ごく基本的な考え

2007年3月25日 - 4:36 PM by admin

最近別ブログ *minx* のほうで関わった論争に関連して、差別についてのわたしの基本的な考えを明らかにしておく必要があると思ったので簡単にまとめてみます。ていうか、以下に書くことはほとんど以前某掲示板で書いたことの再掲なので、お馴染みの読者もいるはず。ただし、最近の論争もそうなのだけれど、差別について議論する際に常にわたしがここで書く通りの意味で「差別」という言葉を使っているわけではない(相手がある議論では、相手に定義を合わせることもある)ので、そのあたりは分かってね。 Read the rest of this entry »

「産む機械」シャツ騒動についての『週刊文春』ボツインタビュー公開

2007年3月4日 - 1:47 PM by admin

1月の柳澤厚労相の「産む機械」発言はブロゴスフィアでも実社会でも予想を上回る騒動になったけれども、中でもわたしがデザインした「産む機械」バッジ及び「産む機械」アパレルは「アホくさいのに無駄にカッコイイ」などとご好評いただいた。特にシャツの方は大手ブログの「きっこのブログ」(のちに彼女の読者層をからかったら削除された)および「にゅーあきばどっとこむ」で紹介されたこともあり、単純に笑えるネタとして消費されるとともに、こういう政治風刺の方法もあるんだと知ってもらえたんじゃないかと思う。
で、きっこのブログならマスコミの関係者も見ているはずなので、もしかしたら一般メディアでも紹介されるんじゃないかなぁと思ってたら、結局取材してきたのは『週刊文春』だけだった。「文春に取材されるのってこわないん」という人もいるけれど、『世界日報』の一面で堂々名指しで批判されるのに比べれば怖くもなんともない。で、取材受けたんだけど、どうやらボツになったみたいなので、せっかくだからここにそのインタビューを公開する。 Read the rest of this entry »