同性間DVの取り組みから学んだ「公共的想像力」(ミーガン法 Part 6)

2005年1月3日 - 7:40 PM by admin

まえのエントリでわたしが「本当に性暴力を無くすためには、『自分も加害者になっていたかもしれない』という想像力を持つことが必要である」と書いたのに対し、なんばさんから個人的あるいはリベラリズムという観念的なレベルでは同意するとしつつも、現実に小児性愛やサディスティックな欲望とも無縁な「一般の善良な人」にそういう想像力を求めるのは無理ではないかというコメントがある。さらに、そのなんばさんの発言を読んだ matuwa さんも、もとからリベラリズムの立場に共感している人以外の人たちに納得させるのは難しいというコメントをしている。なんばさんの発言については先にレイ・ワイヤ&ティム・テイト著「なぜ少女ばかりねらったのか」の話題の方にコメントしてしまったけど、この話題も重要なのでもう少し考えをまとめてみる。 Read the rest of this entry »

「なぜ少女ばかりねらったのか」著者 Ray Wyre & Tim Tate について注意

2005年1月2日 - 11:03 PM by admin

なんばりょうすけさんが最近紹介していたレイ・ワイア&ティム・テイト著「なぜ少女ばかりねらったのか」をわたしも読んでみようかなと思いつつ著者の名前を検索してみたところ、意外な発見。こちらのサイトの記述によると、1988年にイギリスのイーストミッドランズのある一族内の複数の大人による複数の子どもたちに対する性的虐待が発覚し、男女10人が有罪判決を受けた事件があったのだが、その当時、事件の裏側には子どもを「生け贄」として捧げる儀式をはじめとした大規模な悪魔崇拝ネットワークがあり、政治的な圧力を受けて警察はそれを隠蔽しているのだと宣伝してまわったのが、このレイ・ワイアとティム・テイトの両者らしい。
もちろん、そんな悪魔崇拝なんて実際には無かったことは複数の調査グループが検証して確認しているし、警察による隠蔽については名指しされた警察の担当者がテイトを名誉毀損で裁判に訴えた結果、テイトが全面謝罪して多額の賠償金も払っている。なんばさんの紹介を読む限り「なぜ少女ばかりねらったのか」の内容には(わたしと意見が違う部分も含めて)特におかしい所はないように感じたし、ある問題でおかしな発言をしたからといって他の問題での発言もおかしいと決めつけるつもりはないけれど、信頼性に関わる問題だからもうちょっと掘り下げてみよう。 Read the rest of this entry »

性犯罪者更生プログラムの是非、および小児性愛者との共生の可能性(ミーガン法 Part 5)

2004年12月31日 - 9:50 PM by admin

最近、ミーガン法の話題が多くなっているこのサイトだが、メーリングリストやなんばさんのエントリのコメント欄などでいろいろ議論していることをこちらでもまとめておこうと思う。話題があちこちに飛んでいますが、メモ代わりという事でご了承ください。 Read the rest of this entry »

トラックバック受け取り実験中 (WordPress ME 1.2.3)

- 9:27 PM by admin

ここのサイト、(3年間無料の条件で借りているので文句が言いにくい)サーバの Apache のバージョンが古過ぎるためにこれまでトラックバックを受け取る事ができなかったのだけれど、今日 WordPress ME のスクリプトを少しだけ書き換えてみたところ、ついに「はてなダイアリ」からのトラックバック記録に成功しました(このコメント欄参照)。でも、本当にこれで良いのかあんまり自信ないので、うまくいっているかどうか実験手伝ってください。このエントリにトラックバックするのも良いですし、過去にここのサイトにリンクして下さった方は、以前の記事からのトラックバックを送り直してくださってもOKです。
スクリプト修正方法については、WordPress の全体像が良く分かってないし PHP 自体あまり使ったことがないので自信がないのですが、もしかしたら誰かの参考になるかも知れないので以下に載せておきます。わたしの言う通りにプログラムを修正した結果何か問題が起きても知りませんよっと。また、その方面に詳しい人から「この修正法は危険だ」という指摘があればすぐに消しますので、そちらの方の連絡もお願いします。とはいえ、エラそうに言うほど大きな変更ではないですが… Read the rest of this entry »

ネオリベラリスティックな衝動に抗して(ミーガン法 Part 4)

- 12:11 AM by admin

以前からここのサイトではいわゆる「ミーガン法」について反対論というか慎重論の立場から様々な資料を紹介してきたのだが、先日奈良で起きた小学一年生誘拐殺害事件に関連して容疑者が昨日逮捕され、その容疑者が過去にも女児に対する強制わいせつ容疑で逮捕された経歴のある人物であると判明したことで、過去に子どもへの性犯罪を犯した人の再犯を防止するための対策が社会的に議論されるのは避けられない情勢になった。なんばりょうすけ氏による大手新聞各社の社説のまとめを見ても分かる通り、ミーガン法に類するものを要求する世論が強まるのは確実。ところがいくらミーガン法に問題が多いとはいえ、「現状のまま何もしない」という主張では、「子どもを守れ」という口実で吹き上がるネオリベラリスティックな衝動に対抗できるはずもない。ではどうやって対抗するか。 Read the rest of this entry »

オバマ議員への過剰な期待はやめよう

2004年12月23日 - 2:30 PM by admin

今週号の表紙において毎年恒例の「Man of the Year」にブッシュ大統領を選んだタイム誌に対抗してか、ニューズウィークは最新号で「次に来るのは誰か」と題して表紙にイリノイ州選出の新人上院議員にして「政界のタイガー・ウッズ」とも呼ばれるバラック・オバマ議員を登場させた。スーパーの雑誌スタンドにブッシュ大統領の顔とオバマ議員の顔が並んでいたら、大半の人は若くてハンサムなオバマ議員の方に手を伸ばしてしまうはずで、ニューズウィークはうまくやったものだと思った。 Read the rest of this entry »

ミーガン法にトドメをさす

2004年12月20日 - 6:31 PM by admin

これだから、もうフェミって嫌。何が嫌って、某フェミ系メーリングリスト上の議論で小児性愛の社会的扱いについてわたしと意見を対立させている人が、わたしがその ML に投稿した記事をここのサイトに転載しているのを見つけたらしくて、「ML の内容が無断転載されている」「倫理的にもとる」って大騒ぎしてるの。アホらし。確かに先にわたしが掲載した記事には他人の発言も引用されてるけど、それは引用って言うんであって無断転載とは言わないの。公の問題を議論するために公に公開されたメーリングリストの内容を、そのメーリングリストの外で議論したからといってどこが悪いわけ? むしろ、そうやって議論の輪がどんどん広まって行くことは歓迎するべきでしょ。もちろん、他者の発言の趣旨を曲げるような形で引用したりするのはフェアじゃないけど、今回の場合そういう問題でもないし。 Read the rest of this entry »

ヒラリー・ローゼンの人間性

2004年12月18日 - 4:02 PM by admin

少し前の話になるけれど、先の選挙における同性結婚支持派の大敗の責任を取らされるようにして、ゲイ&レズビアン市民権団体として最大手であるヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)の代表が辞任した。HRCと言えば、他の性的少数者のための全国団体に比べてより保守的あるいは(異性愛文化に)同化主義的なことで知られていて、わたしの周囲では圧倒的に評判が悪いのだが(そういえば今年の Creating Change ではHRCと GenderPAC が揃って欠席してたけれど、どうしたんだろう?)、保守的であるからこそ他の性的少数者よりずっと「結婚の権利」に執着しているメンバーが多く、選挙での同性婚の敗北を受けて責任を問う声が強くなっていた。でも、わたしがここで取り上げたいのはそんな話じゃない。 Read the rest of this entry »

「ポリガミー」と「ノン・モノガミー」の違い

2004年12月16日 - 6:10 PM by admin

いつきさんの掲示板経由でたどり着いた「OPEN-EYES ジェンダーとセクシュアリティを考える」ブログの最新記事、「ポリガミー」というセクシュアリティを読む。著者である eyes さんが紹介する通り、もともとモノガミーとかポリガミーというのは社会における家族形態を表す言葉なんだけれど、現代的な意味としては「恋愛や家族形成において、一対一の関係だけでなく、複数の人と同時に付き合ってもいいじゃないか」という考え方の人たちによって「ポリガミー」概念が肯定的に使われている。それに対して、このコンテクストにおいてモノガミーとは、一対一の排他的な関係を持つことを言う。 Read the rest of this entry »

ミーガン法ふたたび

2004年12月12日 - 3:10 PM by admin

最近参加した fem-general メーリングリストの方で、先日奈良県で起きた小学生誘拐・殺害事件に関連していわゆる「ミーガン法」の制定を求める声が挙がっていたので、それに対するお返事。ミーガン法については過去にも一度扱っていて、そこでだいたいの問題点は指摘しているのだけれど、最近書いている国家の問題だとか「性的指向」としての小児性愛の問題だとかに絡めて追加している部分もあるので以下に収録します。 Read the rest of this entry »