「ポリガミー」と「ノン・モノガミー」の違い

2004年12月16日 - 6:10 PM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

いつきさんの掲示板経由でたどり着いた「OPEN-EYES ジェンダーとセクシュアリティを考える」ブログの最新記事、「ポリガミー」というセクシュアリティを読む。著者である eyes さんが紹介する通り、もともとモノガミーとかポリガミーというのは社会における家族形態を表す言葉なんだけれど、現代的な意味としては「恋愛や家族形成において、一対一の関係だけでなく、複数の人と同時に付き合ってもいいじゃないか」という考え方の人たちによって「ポリガミー」概念が肯定的に使われている。それに対して、このコンテクストにおいてモノガミーとは、一対一の排他的な関係を持つことを言う。
さて、eyes さんの論考では、ポリガミーをセクシュアリティの「志向」として扱っている。どういう理由か分からないけれど、もともと世の中にはポリガミーに向いた人とモノガミーに向いた人がいて、それぞれ自分に合った形態を自覚して選択するのがよろしい。なぜなら、例えば本来ポリガミーに向いている人が「モノガミーが正しい」と思い込んで自分の性の有り様を押さえつけると、パートナーに隠れて浮気したり風俗通いしたりと大変なことになるし(まあ、わたし的には良いお客さんなので大歓迎なんだけど)、あるいはモノガミー志向の強い人が「ポリガミーの方がラディカルで素晴らしいから」と思い込んでポリガミーな関係を追求しても、「持ってはいけない」嫉妬心を持ってしまい苦しむだけだからだ。
ところで、わたし自身はノン・モノガミーを自称している。文字通り、「モノガミーではない」という意味だ。ポリガミーとノン・モノガミーの違いは何かというと、動機における重点の違いと言って良いと思う。つまり、わたしはモノガミーにおける相互拘束が苦手なのでモノガミー的な関係を否定するけれど、かといって複数の相手と同時に恋愛したいという欲求は特に持たないし、自分のパートナーが他の人といちゃついていると、はっきり言って人並みに嫉妬はする。そうであっても、嫉妬に耐える方が拘束に耐えるよりマシだと主観的に判断しているからこそノン・モノガミーを自称するのだ。
eyes さんの分類だと、わたしは「モノガミーの枠を超えられない」のに無理して「ポリガミーのようにふるまっている」ように見えるかも知れない。だって、わたしは嫉妬もするし独占欲もあるんだもの。でも、それ以上にパートナーとの間に拘束関係を作りたくないという欲求がわたしにはある。「自分だけを見て欲しい」という欲求はあっても、客観的に言って自分だけが世界で一番素晴らしいわけがないんだし、相手を拘束することで「自分だけ見てもらおう」とは思わない。わたしだって拘束されたくない。
わたしにとっては「拘束しない、されない」という事が大事なのであって、現実に複数の相手と付き合うかどうかは別問題。というか、実際にわたしがそうしたオープンな関係において複数の相手と付き合ったことはないし、これからもないんじゃないかと思う。外見上、限りなくモノガミーに近いのだけれど、拘束によって守られるモノガミーと、拘束なしで偶然成立する疑似モノガミーとでは、全然違った関係であるようにわたしには感じられる。

9 Responses - “「ポリガミー」と「ノン・モノガミー」の違い”

  1. eyes Says:

    こんにちは! eyesです。トラックバックをたどってやってきました。
    >eyes さんの分類だと、わたしは「モノガミーの枠を超えられない」のに無理して「ポリガミーのようにふるまっている」ように見えるかも知れない。
    いや、そうでもないと思いますよ。
    モノガミーとポリガミーの間に何段階もグラデーションがあるはずで、バリバリのモノガミーじゃなくても、「拘束は嫌いだけど相手は一人がいい」とか、ときどき浮気しちゃうとか、友達と彼氏彼女の区別があいまいとか、いろんな場合があると思います。その人の中で変わることもあるだろうし…。
    今回「モノガミーの枠を超えられない人」って書いたのは、モノガミーのワクの中にいた方が本人もまわりもしあわせだったはずの人がポリガミー願望(ファンタジー)をもってしまい行動化すると、かなりバランスを崩してしまうだろうってことで、かなり行動化にウェイトを置いて書いたものなんです。
    それにポリガミーっていっても、真正ポリガミー(?)が成立するのはお互いがお互いに複数とのつきあいを認め合うカップル(複数可)ってことになるでしょうから、かなりレアなケースかも。
    僕などは「ポリガミー志向」と言ってます。
    >わたしはモノガミーにおける相互拘束が苦手なのでモノガミー的な関係を否定するけれど、かといって複数の相手と同時に恋愛したいという欲求は特に持たないし、自分のパートナーが他の人といちゃついていると、はっきり言って人並みに嫉妬はする。そうであっても、嫉妬に耐える方が拘束に耐えるよりマシだと主観的に判断しているからこそノン・モノガミーを自称するのだ。
    生々しい文章。素敵です。(^^)
    結局どんなセクシュアリティでも他を否定したり、否定されたりするべきではないってことを大事にしたいです。ときにそれは非常に困難かもしれないけれど。
    セクシュアリティって人の思いの数だけ存在するのかもしれません。
    つたないコメントですいません。

  2. Macska Says:

    コメントありがとうございますです。
    わたしの周囲だと、ポリガミーというかポリアモリーの人はかなり多いです。「真正ポリガミー」の成立率もかなり高そうですが… ま、これはサンフランシスこのクィア業界とかその辺りを念頭に入れているわけで、普通の基準じゃないですが。
    生々しい部分は、本当はもっと生々しい事書こうかと思ったのですが、当の相手に見られたら恥ずかしいのでやめときました(笑)

  3. Yoko Says:

    >わたしの周囲だと、ポリガミーというかポリアモリーの人はかなり多いです。
    えっと、ポリアモリーてなんですか?polyandryなら知ってるけど(^_^;)

  4. rna Says:

    ポリさんとモノさんが恋に落ちると大変です。相手を拘束したくないモノさんが嫉妬で苦しまないようにポリさんは浮気するときはばれないようにやる、という約束をとりつけるものの、まあバレちゃうし、そうでなくても疑心暗鬼でいろんなとこに浮気の兆候を見て苦しんでしまうしで、結局別れてしまうという例がありました。

  5. Macska Says:

    > えっと、ポリアモリーてなんですか?
    ポリガミーというのはもともと「多重婚」ですよね。それで、結婚したり家族を築きたいわけじゃないけど複数の相手と恋愛したいという意味で使われるのがポリアモリー

  6. eyes Says:

    >Macskaさん
    わたしの周囲だと、ポリガミーというかポリアモリーの人はかなり多いです。「真正ポリガミー」の成立率もかなり高そうですが… ま、これはサンフランシスこのクィア業界とかその辺りを念頭に入れているわけで、普通の基準じゃないですが。
    サンフランシスコにおられるんですね。
    研究職をされているんですか?
    生々しい部分は、本当はもっと生々しい事書こうかと思ったのですが、当の相手に見られたら恥ずかしいのでやめときました(笑)
    はは。残念。
    ポリアモリーって知らなかったですが、ポリ=複数 アモール=愛ってことみたいですね。

  7. 閑中忙有り〜RYOKOのへなちょこサバイバー日記〜 Says:

    恋のお話 (オマケ)
    うだうだと 恋バナ・えろバナをしてたんですが  その中で 出た話。
     
    友人「私が前住んでたアパートは壁が薄くって、隣の声が良く聞こえたんだけど
    隣はどうも、ゲイが3人…

  8. RYOKO Says:

    初めまして。eyes さんのブログからトラックバックを辿って来ました。私のブログでもこちらの記事を参考にさせていただきました。大変考えさせられました。ありがとうございます。ところで、私のブログからこちらにトラックバックをさせていただいたのですが、操作を失敗してしまい、2重にトラックバックしてしまいました。申し訳ありません。削除していただいても結構です。(お手数ですが……。)最初のご挨拶がこんな風でお恥ずかしいですが、これからも読ませていただきます。よろしく。

  9. 出会いがない Says:

    はじめまして。ブログ拝見しました。
    私も恋の話に関するホームページを作っています。出会う機会がない男の人へ恋愛レクチャーする内容です。
    特にこれから恋活したいという30代の社会人向けに書いていますので、今スグ恋人が欲しいという方はぜひ見てください。

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