queerArchive for the Category

「異性愛者への12の質問」についての女性学MLでの議論

2009/04/18 土曜日 - 21:29:23 by admin

id:nodada さんのところで、「異性愛者へ12の質問」の日本版を見かけたので、それに便乗。「あなたの異性愛の原因はなんだと思いますか?」にはじまるこの質問票は、同性愛者に対して繰り返し投げかけられるたくさんの質問をひっくりかえして異性愛者に問うことで、軽いセクシュアル・ディスオリエンテーションを起こすとともに、自らのあり方について問いかけられることから免除された、異性愛者の特権を明らかにすることが目的だ。で、英語圏における女性学メーリングリスト WMST-L において、昨年11月にこの質問票をめぐって興味深い議論があったから、それを紹介しようかと。

山形浩生さんのサイトからお越しの方へ(クメール・ルージュの「ジェンダー犯罪」に関連して)

2009/04/13 月曜日 - 22:42:30 by admin

アクセスログを見ていて、山形浩生さんの最近の噂と題するページからこのブログへのアクセスがかなりあることに気付いた。以前、カンボジアのトランスセクシュアル女性がクメール・ルージュ時代に受けた迫害について告発している、というニュースに関連して、山形さんが書いていることがおかしいと感じたので、別ブログの方でコメントしたのだけれど、そのためか「クメール・ルージュのジェンダー犯罪とやらを重要だと思う人もいるみたいだが」と(英語で)書いてある部分がこのブログ、つまり macska.org へのリンクになっている。

北米社会哲学学会報告6/同性婚論争と「トランスジェンダーの結婚」の合法性

2008/10/02 木曜日 - 19:55:05 by admin

学会でさまざまな発表を聞きながらとった35ページのメモを元に二ヶ月に渡って続けてきた「北米社会哲学学会」報告も、今回でついに最終回。連載を最後まで書き上げたこともそうだけど、二ヶ月後になっても自分が理解でき内容を思い出せるようなメモを書いた自分を褒めてあげたい。ていうか誰か褒めてよ! というのはともかく、今回は「同性婚」をめぐる論争に「トランスジェンダーの結婚」がどう関わるかを取り上げた発表を紹介する。

北米社会哲学学会報告1/性的指向、ホモフォビアと、ディスオリエンテーションの可能性

2008/07/28 月曜日 - 22:52:21 by admin

先週わたしは、ポートランド大学(わたしが以前講師をやっていたポートランド州立大学ではなく、カトリック系の私立大学)で開催された North American Society for Social Philosophy(北米社会哲学学会)の年次総会に参加した。たまたま今年のテーマが「ジェンダー、平等、社会的公正」でありわたしが関心を持つ話題が多かったので、何回かに分けてそこで聞いた発表をいろいろ紹介したい。

宗教者によるいいかげんな教典解釈と、自己保身的なご都合主義

2008/07/26 土曜日 - 20:33:04 by admin

デルタGのサイト(いつも読んでます頑張ってください)において、レズビアン&ゲイのイスラム教徒の姿を映したドキュメンタリ映画『愛のジハード』の評論を読んでいて、気になった部分があった。向こうのコメント欄ではじめた議論だけど、長くなってしまったのでこちらに書いてトラックバックすることにする。

『レミーのおいしいレストラン』の場合/「ゲイな映画」と「クィアな映画」のあいだ

2008/03/21 金曜日 - 10:40:02 by admin

「子ども向け劇場アニメが描く『マルチチュード的革命』」エントリでは、ジュディス・ハルバースタムの講演を要約するかたちで彼女が言うところの「ピクサーヴォルト」について解説した。その中で、ピクサーヴォルトに当てはまらない映画として『Mr. インクレディブル』は復古主義的な映画だという指摘を紹介した。しかし『Mr. インクレディブル』は「本来の自分」を隠して生きることを強いられたマイノリティが自分を肯定する映画なのではないかという評価もある。今回はそのあたりを「クィアな映画」と「ゲイな映画」という区分によって再解釈するとともに、ピクサーの最新作『レミーのおいしいレストラン』についても分析してみたい。

子ども向け劇場アニメが描く「マルチチュード的革命」/ジュディス・ハルバースタム講演報告

2008/03/17 月曜日 - 10:57:34 by admin

前回に引き続き、Lewis & Clark College にて開催されたジェンダー学シンポジウムの報告。今回紹介するのは、クィア理論家として有名な南カリフォルニア大学のジュディス・ハルバースタムさんによる基調講演の内容、すなわち近年多く作られるようになった子ども向け 3DCG アニメーション映画における「革命」的ナラティヴについて。先月5歳になった友人の子どもの「エンターテインメント係」を担当(?)しているわたしはこの種のアニメ映画をほぼ一通り見ていていろいろ思うところがあるので、ハルバースタムの発表は非常に興味深く感じられた。

ジェンダー学シンポジウム報告あれこれ

2008/03/16 日曜日 - 18:28:37 by admin

先週、Lewis & Clark College という大学で、三日間に渡ってジェンダー学シンポジウムというコンファレンスが開かれた。これは毎年恒例で開かれるもので、今年でなんと27年目になる。今回も基調講演者として「女性の男性性」の研究で日本にも紹介されている南カリフォルニア大学のジュディス・ハルバースタムさんが登場するなど興味深いセッションがたくさんあったけれども、ハルバースタムの話(超面白かった!)は次のエントリに譲るとして、以下にはわたしが聞いた中で特に印象に残ったプレゼンテーションについていくつか簡単に報告する。

トランスジェンダー追悼イベントの不愉快

2007/11/21 水曜日 - 20:52:47 by admin

11月20日、ポートランドステート大学においてヘイト・クライム(人種やセクシュアリティなど被害者の属する社会集団への憎悪によって動機づけられた犯罪)によって殺害されたトランスジェンダーの人たちを追悼するイベントに参加。このイベントは毎年各地で同じ日に行なわれている。

「直線的程度の差としてイメージされている」伊田広行氏の「中間派」解釈

2007/10/13 土曜日 - 14:48:55 by admin

山口知美さん(わざと誤記)が「『ようやく名指し批判が!』と思ったらぬか喜び」で伊田広行さんの論文における山口さんへの批判(のようなもの)に対応してるけど、それに関連して。といっても伊田さんの文章はダラダラと締まりがなく唐突に話題がズレるなど論文としての体を成していないし、ちょっと長過ぎて全体を批評していられないので、山口さんが参照している伊田氏による「性における多数派と少数派」についてだけコメント。