トランスジェンダーを含まない「性的少数者雇用差別禁止法案」は撤回せよ

2004年8月5日 - 12:03 AM by admin

翻訳シリーズ第2回、今度は National Gay and Lesbian Task Force の代表 Matt Foreman 氏の声明の翻訳。LGBTの運動がゲイやレズビアンの権利に比べてトランスジェンダーの権利を下に置いている傾向があるという問題があるけれど、それについて過去に間違いをおかしたゲイの指導者がそれを反省した上で、どこが間違っていたのかを書いた文章です。 Read the rest of this entry »

姜尚中編著「ポストコロニアリズム」を読んで反省したこと

2004年8月4日 - 11:17 PM by admin

サンフランシスコで買ってきた「ポストコロニアリズム 知の攻略」(姜尚中編著)を少しずつ読んでいるところ。わたしはアメリカの女性学で一応ポストコロニアリズムについての英語文献は読んでいるし、それなりに理解したつもりでいろいろ発言したこともあるのだけれど(わたしが関わる分野だと、文化的盗用とか国際養子縁組などの問題の関連ですが)、アイヌモシリ・琉球を含めたアジア各地における日本植民地主義とその傷跡(というか、現在でも血が流れているのだけれど)としてのポストコロニアリティというのについてよく読んだことがなかったので、とっても勉強になっています。欧米で発表された理論が当てはまるところもあれば、かなり独自なところもいろいろあるようでおもしろいです。 Read the rest of this entry »

民主党党大会でのバラック・オバマ州議員演説

2004年7月30日 - 12:09 PM by admin

以下に紹介するのは、イリノイ州議会の上院議員であり、今年の連邦上院選挙に出ているバラック・オバマ氏による民主党党大会での演説。オバマ議員は民主党若手黒人政治家のホープ的存在だけど、全国的にはまだあまり知られていない。わたし自身、オバマ氏について知ったのはほんの数ヶ月前。でも、その彼の演説こそが今回の党大会で最高の演説だったという評判なので、軽く訳して以下に載せときます。あんまり名演説に見えないとしたら、多分わたしの訳のせいなので、CSPAN のサイトでビデオを見ましょう(民主党のページにも掲載されているけど、実際のとは少し違っています)。 Read the rest of this entry »

旅行&いろいろ

- 11:35 AM by admin

しばらく更新してませんでした。ごめんなさい。日本から来た知り合いと一緒に西海岸を下から上まで旅行して、ポートランドに帰ってからはいろいろな所に一緒に行ったりしてたので、忙しくて書けませんでした。というか、日本語で一日中話しをしていると、もう日本語で何か書く気力がなくなるというか… 普段日本語で会話する機会がないので、日本語で話をするのはかなり疲れるのね。
それはともかく、日本語が一応ちゃんと通じるようで良かった(爆) 文章読んでると分からないだろうけど、日本語会話はこの10年くらいほとんどした事がなかったので、会話のテンポに付いていくのが大変なのね。話が詰まるとキーボードをタイプするふりをしなければ言葉が出なかったり… あと、わたしが作った親子丼とかカレーライスとか、あと1つ名称不詳な日本風料理なんだけど、ちゃんと一応日本の味だと認めてもらえたのは嬉しかったり。今どき、レシピはネットでいくらでも見つかるのだから、もっとどんどん作るべきですね、はい。

ケリー、エドワーズ上院議員を副大統領候補に指名

2004年7月7日 - 4:56 AM by admin

今日は民主党の副大統領候補に選ばれたエドワーズ議員について。この人は民主党の予備選挙でケリーと最後まで大統領候補の座を争った事になっているけど、最初から大統領候補になる見込みがなかったのははっきりしてた。だって、上院議員になって一期目でしかなくて、ほとんど政治経験がないんだもの。あの明らかに経験不足だったブッシュだって、2000年の時点で州知事として8年目だった事を考えると、政治歴6年目のエドワーズがいきなり大統領の座を目指すというのは明らかに無謀。他の候補に対する攻撃や辛辣な批判を一切しない超クリーンな選挙戦略を取っていたのも、はじめから副大統領候補狙いだった証拠。よく「わたしはネガティヴ・キャンペーンはやらない」とか言うのは普通ウソなんだけど、エドワーズに限っては本当にやらなかった。そりゃ、自分を副大統領候補として売り込むつもりであれば、大統領を目指す他候補に対してあんまり厳しくは批判できない。 Read the rest of this entry »

「DVに反対する全国連盟」(NCADV) 会員への公開書簡(邦訳)

2004年7月4日 - 5:28 AM by admin

NCADV のメンバーのみなさんへ
フロリダ州オーランドで開かれた前回の NCADV 全国大会において、「ドメスティックバイレンス(DV)とホームレスについての公開フォーラム」と題された会合が持たれました。ところが、何人かの元ホームレスのDVサバイバーたちがこの「公開フォーラム」に行ったところ、この会合は彼らが思っていたほど「公開」されていはいませんでした。
もちろん、彼らが物理的に排除されたという意味ではありません。しかし、この「公開フォーラム」の意図に彼らの存在が考慮されていなかったことは明らかでした。主催者がこの「公開フォーラム」に意図したことは、DVに関係した団体などで働く専門家同士で、「どうしてDV被害者の一部はDV専門のシェルターではなくホームレスのシェルターに行くのか?」といった、実際の被害者やホームレスの人たちの経験とはかけ離れた議題について意見を交換するための会合だったのです。地元のホームレスの人たち(DVが原因でホームレスになった人は多い)はこのせっかくの機会に意見を述べるよう招かれはしませんでしたし、彼らを呼び入れるための広報すらされていませんでした。 Read the rest of this entry »

「正しい目的」を掲げた言論萎縮

2004年7月3日 - 3:37 AM by admin

マイケル・ムーアの「Fahrenheit 9/11」(邦題:華氏911)に対するさまざまな批判について、町山智浩さんがこのように反論している:

「華氏911」の細かい間違いや論理の整合性の甘さを批判している人も多いし、日本でもそういう批判は出てくると思うが、そんなこと言ってる場合か。
このままだと批評とか表現という行為そのものができなくなるんだよ。
[…]
自由を守るためなら手段などなんだと言うのだ。
もし、ここで何としてでも止めておかないと、もう取り返しがつかないのだ。
マイケル・ムーアはまさにスティーブン・キングの「デッドゾーン」の主人公と同じ気分なのに違いない。
「華氏911」を「映画的な視点において」「政治的な論理において」批判する連中は、「デッドゾーン」の主人公に「君のやろうとしていることは犯罪だ」と言うのと同じである。

わたしの知る限り、イデオロギー的あるいは揚げ足取り的にではなく、「論理の整合性の甘さ」だとか「映画的な視点において」ムーアの作品を批判している人って、日本語で意見を発表している人の中では今のところわたしだけだと思う。プロの映画評論家がわたしの評価に対して直接反論してきたと思い挙がっているわけじゃないけど「そうかもしれない」程度には勝手に想像して、応えてみる。 Read the rest of this entry »

最高裁と平等権としてのアクセシビリティ

2004年7月2日 - 9:56 AM by admin

車椅子を使う3人のオレゴンの女性が、映画館のアーキテクチャによって画面がよく見えない位置に座らされたのは差別だとして映画館チェーンを訴えた裁判で、米最高裁はブッシュ政権の求めに応じて審議を棄却、映画館に是正を求めた控訴裁の判決が取りあえず確定した。問題となっているのは最近増えている「スタジアム型」と呼ばれる新しい形式の建築で、観客席のある部分が緩やかな坂ではなく段々になっていて、部屋の中を車椅子を使う人が自由に移動できない。大抵のスタジアム型映画館では、客席の前の一番低い部分を車椅子の「指定席」にしているけど、もともと座席として設計された部分ではないので不自然な確度で画面を見上げることになる。 Read the rest of this entry »

社会学教科書を社会学せよ

2004年7月1日 - 12:20 PM by admin

Sociology Textbook cover女性学メーリングリスト経由で、教科書出版社 Oxford University Press のカナダ支部が発売した新しい社会学の教科書についての話題。ここに載せている画像がその教科書の表紙。アルバータ州レスブリッジ大学の Claudia Malacrida 助教授がこれに気づいて「どうして社会学の教科書の表紙に胸の谷間を見せてるタンクトップ姿の若い女性が出るわけ?」って言っていて、それなりに面白いデザインの表紙だとは思うし、まぁこれくらい別にいーんじゃないのって気がするけど、社会学との繋がりを問われると確かに意味不明。 Malacrida さんによると、表紙だけじゃなくてそれぞれの章で同じ写真が使われていて、「ジェンダー」とか「グローバリゼーション」みたいなそれぞれの章のタイトルが女性の手の中から飛び出すようにデザインされているらしい。
これだけなら別にわざわざ紹介するほどの事じゃないんだけど、面白いのがこの先。 Malacrida さんが自分が教えているジェンダー社会学のクラスにこの表紙の写真を持ち込んで学生の意見を聞いたところ、男子学生と女子学生の意見の違いが予想とは正反対だったということ。彼女によると、この画像が「性的」であり、こうした使われ方が社会学の教科書として相応しくないとはっきり指摘したのは男子生徒たちであり。女子生徒たちは、「モデル風じゃなくて、普通っぽい」「意志が強そうな女性」として好意的(共感的)にこの画像を評価したとか。 Read the rest of this entry »

ムーア監督への愛情を込めた(?)注文

- 5:19 AM by admin

わたしが書いた「Fahrenheit 9/11」への批判的な感想を読んだなんばりょうすけ氏がマイケル・ムーア擁護を書かれているので、それにお返事。…の前に、わたしの「Fahrenheit 9/11」批判について確認しておく。単に「こいつはムーアより左側の立場からアフガン戦争容認のムーアを批判しているだけだな」と誤読されたら嫌だし。 Read the rest of this entry »