バラック・オバマ議員及び米大統領選挙関連エントリ
2007年1月21日 - 11:01 PM | |最近日本でも大統領候補の一人とされるバラック・オバマ上院議員についての報道が多くなり、それはそれでいいんだけれど、日本語で「オバマ」を検索するとわたしが2年以上も前に書いた記事がかなり上位に来るということに気付いた。それが古い記事と気付かずにコメントする人もいるようだし、オバマについて書いたもっと新しい記事が上位にヒットしないのも癪なので、以下に関連記事を全部トラックしておきます。また、オバマ関連記事にはトラックバックをしておくので、それらからこっちにも来られるはず。将来関連記事を書いたら、またここに付け足す予定。
バラック・オバマ議員及び ’08 大統領選挙関連エントリ
2004/07/30 民主党党大会でのバラック・オバマ州議員演説
2004/10/29 はじめて効率的に機能している米「左派連合」と、ケリーが語る「希望」
2004/12/23 オバマ議員への過剰な期待はやめよう
2005/08/05 歓迎すべき米労組全国組織 AFL-CIO の大分裂
2005/11/25 NM州知事の経歴詐称暴露で2008年大統領選挙はスタート
2006/07/01 アメリカ大統領選挙がわかるようになる「10の地域」マップ
2006/12/23 2008年米大統領選挙に向けて、当たらない予測(というか希望)
さて、せっかくエントリを立てたので最近の米国政治状況についていくつかコメント。以下はすぐに古くなるので、コメントする前に記事の日付をご確認ください。
まず、女性として史上初めて下院議長となったナンシー・ペロシ以下の下院民主党は予想を上回る快調なスタート。これまで議会共和党が拒否していた議案のうち「最初の100時間(実時間ではなく、議会内の時間)で通す」と公約した法案を、その半分の50時間も取らずに、しかも共和党側からかなりの賛成も取り付けて成立させた。内容は、昨年大物議員のスキャンダルで問題となったような倫理基準の厳格化、連邦法定最低賃金の上昇、公的健康保険が医薬品に払う価格を医薬品会社の言い値ではなく規模を生かして交渉できるするようにする法律、胚幹細胞研究への資金提供、学生ローンの利子削減、石油産業への優遇措置廃止、海外から輸送されるカーゴの臨検など911委員会の勧告実現化、など。いまの時期、誰が大統領選挙に出るとかどうでもいいんだから(どうせ本格化する前には、いま立候補すると言われているうちの半分は脱落してるんだから)、こういう具体的な政策の実現についてきちんと報道して欲しいんだけれどな。
そのどうでもいい大統領選挙の話題だけれど、いまの時期それがどうでもいいというのは、誰が人気だと言ってもいまの段階じゃ要するに知名度の争いでしかないからなのね。民主党側ではヒラリー・クリントン議員が一番で、その次がオバマ議員というのも、もともとクリントンの知名度が抜群で、最近メディアでオバマが騒がれたからその次にきたというだけ。実績重視ならリチャードソン知事(元国連大使・エネルギー庁長官)がトップ争いをして良さそうなものなのに、知名度がないから支持率1%程度に留まっている。共和党側でジュリアーニ元市長が一番というのもおかしな話で、妊娠中絶容認・同性愛者の権利支持という立場に立つジュリアーニは本来なら共和党内でそんなに人気を集めるはずがないのに、やっぱり911の時の市長だったという知名度だけで1位になっている。でも選挙戦が本格化すれば、知名度だけじゃ話にならないわけで。
その共和党の大統領候補、ジュリアーニの次はマケイン議員、ロムニー知事、ギングリッチ元下院議長あたりまでが辛うじて知名度でそこそこ支持を集めていて、わたしが評価しているハカビー前アーカンソー知事の支持率は1%にも満たないのだけれど、先週 The Daily Show にハカビーが出ているのを見てますます気に入った。ユーモアがあるし(ちょっと暴走気味だったけど)、バプティスト派の牧師出身で宗教右派的な価値観の持ち主でありながら、医療や教育や環境問題においてリベラルにもアピールできるレトリックを持ち、さらにそのレトリックをその場しのぎのリップサービスではなく真摯な姿勢として見せる人間的魅力がある。対立の政治はもうたくさんだ、と訴える点ではオバマ議員と同じだけれど、レトリックに実績が伴わない一年生議員のオバマに比べ、知事として行政を動かしてきた経験が長いハカビーの方に説得力を感じる。これでリベラルな価値観の持ち主なら理想の大統領候補なんだけどなぁ。やっぱりわたしは2008年は民主党候補に勝って欲しいのだけれど、地方の知事(の任期は昨年末で終わったけど)で埋もれさせておくのは惜しいので、民主党政権ができたら党派を越えて閣僚として迎え入れるべき。
で、最後にそのオバマ議員について最新情報。ここのところ FOX News など保守系メディアでは「オバマは隠れイスラム過激派」と言わんばかりの情報が流れていて、オバマはキリスト教徒だし馬鹿げたデマなんだけれど、それを FOX News の責任として報道するのではなく、「ヒラリー・クリントンと関係の深い民主党コンサルタントが、オバマについてこういう情報を探っている」という形で報道しているのが卑怯。邪魔な「女性」と「黒人」をぶつけ合って両方潰してやるという、非常に分かりやすい図式。
このデマのソースはというと、オバマは子供の頃、母親が再婚したインドネシア人の実業家とともにインドネシアに移り住んだことがあり、当地で一般の学校に通ったことがあるというだけの話。ところがインドネシアの普通の学校が、FOX News の報道ではまるでタリバンを生み出したパキスタンの神学校みたいな話になっている。虚報もいいところだけれど、FOX News はそれが事実だと言っているわけではなくて、誰だか名指しすらされていない「クリントン議員に近い民主党のコンサルタント」がそう言っている、というだけなのだからと逃げられる仕組み。クリントン議員に近いコンサルタントなんて大勢いるだろうし、事実かどうか調べようがない。
前回の大統領選挙からも分かる通り、誰が民主党候補になろうと保守系メディアによる無茶苦茶なでっち上げ攻撃があるのは分かり切ったこと。その点、既に過去を完全に調査し尽くされていて新たなスキャンダルが持ち上がる可能性の低いクリントン議員より(ホワイトウォーター事件では絶対怪しいと思うけどなー)、これまで過去があまり詮索されなかったオバマ議員の方が攻撃には弱いかもしれない。いずれにせよ、今後も「女性 vs. 黒人」という構図(さらにエドワーズ=貧困層出身、リチャードソン=ラティーノ系を含めるか)でいろいろ言われそうなのがうんざりするところ。
2007/01/22 - 05:40:24 -
2008米大統領選挙関連エントリ…
バラック・オバマ議員及び米大統領選挙関連エントリ – mascka dot orgブログ 2007/01/22
Yahoo! News Full Coverage (more…)
2007/02/20 - 16:15:56 -
[…] と、知ったようなコメントですが・・・ 僕は、アメリカ大統領選挙ってものがどのようなものか全然分かりません。が、以下のBlogで詳しく解説されているので参考に。 macska dot org ? Blog Archive ? バラック・オバマ議員及び米大統領選挙関連エントリ macska dot org ? Blog Archive ? オバマ議員への過剰な期待はやめよう […]
2007/10/06 - 02:43:57 -
今まで、米大統領選には殆ど興味は無かった。ただ、イラクへの武力行使には反対だったので、ブッシュはヒラリーに負ければ良い.と思っていた。
が、10/4のNPで、オバマ上院議員が「クリントン氏がイラクへの武力行使を容認した。自分は段階的撤退を開始する。また、クリントン氏が核抑止力の重要性を強調した。自分は核兵器の無い世界を追求、核軍縮に取り組む」と10/2に述べた。
この記事を見て、私は断然、今度の選挙には、オバマ氏に勝って欲しい。彼が米国の次期大統領になって、核兵器廃絶への長い道のりを歩み出して欲しい.と思う。
しかし、日本国民の私には、何も出来ることが無い。何か無いかと思うこの頃だ。
核兵器の削減に努める。無い
2008/01/04 - 03:35:11 -
リベラルは大きな政府を作り、管理主義を実行し、私有財産を侵害する。
リベラルはいらない。
民主党はかつて下院を40年制した。
次は共和党の50年を望む。
2008/01/04 - 08:00:33 -
共和党支配は既に12年で終わりましたがなにか。
2008/02/21 - 18:37:41 -
黒人保守論客シェルビー・スティールが語る「それでもオバマが勝…
米国大統領選挙の民主党指名獲得競争ではこのところバラック・オバマ候補が好調。ほんの数ヶ月前には組織のしっかりしたクリントン候補には到底かなわないという声も聞かれていただ (more…)