「コンドームなしの売買春増加」を抑止する政策的介入、解決編

7/31/2006 - 1:28 am | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

先日、「売買春合法化論者に問う:『コンドームなしの売買春』増加にどう対処するか?」というエントリにおいてフェミニズムによる売買春非処罰化/合法化論を説明したうえで、米国の一部の都市などではネット上の売春者品評サイトなどの影響によりコンドームを使用する売春者への風圧が強まっていることを紹介した。そして、そういった現状を元に、政策的にどうすれば売春者の健康を守ることができるのかいいアイディアを考えてもらいたい、また「合法化すれば問題はすべて解決」というような単純な考え方をしている人には考えを改めてもらいたいと思い、わたし自身の考えは本文中には書かずに「政策立案コンクール」という形で意見を募集した。中にはわたしも考えていなかったような解決策を提案された方もいて、非常に有意義だったと思うのだけれど、議論が煮詰まってきたようなので、ここでこれまでの流れをまとめつつ、わたしの考えを提示したいと思う。(設題及びそのコメント欄未読の方はそちらから先にどうぞ。)

まず、政策的介入の目的は「売買春を通した性感染への感染を減らすこと」。そのためには(1)売買春そのものを無くす、(2)売買春においてコンドーム着用を徹底させる、(3)綿密な検査により感染者がコンドームを使わない売買春に関与するのを防ぐ、の3つの方法が論理的にあるけれど、1つ目は弊害が多く現実に不可能(地下に潜らせるだけ)なので、とりあえず議論の対象とはしていない。というより、議論が「売買春を禁止するか合法化するか」で議論が止まってしまうのが問題だと思うので、意図的にそこは飛ばしたんだけどね。

1つ目のオプションについて問題となるのは、客の側はコンドームなしでセックスしたがっており、そのために多少のお金を出すのも厭わないのに対し、売春者側がそれを退ける能力もしくはインセンティヴが不足している点。つまりは、人間誰も食べなくちゃ生きて行けないし、養わなければいけない家族もいたりするわけで、「何年もあとになって自分が倒れるかもしれない感染症にかかるかもしれない」危険性よりは、いますぐお金が必要な現実の方がどうしても優先してしまう。「コンドームを使うと何割か収入が減る」程度なら「その分たくさん客を取ればいいや」と思えても、文中の設定にある通り「コンドームを使わない」というだけで客が寄り付かないような傾向が強まると、そうは言っていられない。そこでどうするかというのが今回の問題。

業者が運営する管理売春についてはこの点は簡単。業者にコンドーム使用を義務づけるような操業安全基準を設ければ、あとは業者がなんとかしてくれるもの。もし「あそこの店はコンドームなしでやらせてくれる」「うちの店長がコンドームなしでやれと言ってきた」という話があれば、あるいはそういう話がなくても定期的に、検査して違反が発見されれば経営者を罰すればいい。地下での管理売春もなくならないだろうけれど、そういうところはおそらくトラフィッキングに関与していたり税金をごまかしていたりするだろうから、これからも厳しく取り締まって行くべきだし、いくらでも摘発して刑事責任を問うことができる。

しかしそうするとなおさら「コンドームなし」を希望する顧客は個人売春者に殺到するけれど、かれら個人売春者には先に述べたように客の要求を退ける能力やインセンティヴが欠けている。つまりは抜け駆けーーという言葉のニュアンスはこの場合にあわないと思うのだけれど、このような議論をする時に普通に使う用語なのでそのまま使いますーーが制御できない。その欠如をネガティヴインセンティヴ、すなわち刑罰によって補おうというのが、これまで何人かの方が主張した案であり、確かに取り締まりを厳しくすればそれなりに効果はあるかもしれないけれど、同時にさらに地下潜行を進めることにもなりそう。また、検挙率が低ければその分刑罰を重罰化しなければ抑止力が欠け、かといってあまりに重罰化すると不公平感が高まる。だってそもそも「コンドームなしのセックス」自体は合法というか、違法にすれば人類が滅亡しちゃうわけで(笑)、お金が介在するだけでそんなに差をつけるのはいかにも不公平だもの。

コンドーム着用を徹底するほかに、(3)のようにコンドームを使わなくても安全に売買春が行えるような案を提案した方もいる。たしかに、「自分が感染したくない」というインセンティヴは客の側にもあるわけで、それを利用すれば双方が未感染であることを確認したうえでセックスするという制度もありえるかもしれない(技術的な問題については取りあえず考えないこととします)。しかしそれも、管理売春においてのみ言えること。

個人売春においても、客は「感染したくない」というインセンティヴを持っている。けれど、自分の HIV(やその他の感染症)ステータスを相手に教えたいとはーーとくに自分は感染していると知っているかもしくはそうかもしれないと思っていたらーー思わない。つまり、客の立場からは売春者だけに HIV 感染の有無を開示させて、感染していないと知ったならば自分の感染の有無を提示するインセンティヴは全くないのね。そして、客の側は個別の売春者について品評サイトを通して情報交換ができるのに対し、個人営業の売春者の側から見れば客は常に匿名で、かなり限られた情報交換しかできない。つまり、金銭的・情報的強者の立場に立てる客側は、自分が感染しているかどうかを開示せず、自分の性的欲求だけを満たすよう売春者に要求することができるということ。こうした立場の非対称性と「抜け駆け」の問題が解決できない限り、両者がステータスを確認したうえでセックスということにはならない。

このように、(2)の戦略も(3)の戦略も、どちらも「抜け駆け」を無くすためのインセンティヴ操作が十分ではない。刑法的取り締まりによるネガティヴインセンティヴは既に議論されているけれど、それにも問題がある。というより、もし取り締まりが有効な解決となり得るのであれば、そもそも「売春者の健康と安全を守るための合法化」なんて議論せずに、ストレートに売買春を禁止しておけばいいわけで。

これまでで唯一わたしが「正解のひとつ」と認めたあらいしゅんいちさんのアイディアは、さまざまな施策によって「むしろコンドーム着用を望む客」がいる市場を作ろうというものだった。このアイディアが秀逸なのは、この市場がある程度大きくなれば売春者にとっての短期的な利害と長期的な利害が一致するようになること。もちろん、コンドームなしの市場も存続するだろうけれど、安全に仕事ができる市場が別に用意されているのであればこれまでのように安く買い叩かれることはなくなるはず。そしてコンドームなしでセックスする値段は、その行為が持つリスクを正確に反映した高値で安定すると思う。そうなると、これまでコンドームなしにこだわっていた人の一部が「そんなに高いなら、同じお金でコンドーム使用のセックスを数回やる方がいい」と考えるだろうから、「コンドームなしの売買春」の規模は今より小さくなるわけ。すばらしい。

ここで、今後の議論の発展を願ってポジティヴインセンティヴ、すなわち刑罰の脅しや生命への危険などではなく各自の個人的な利害からコンドームを使うようにしむける施策の例を挙げてみたいと思う。ポジティヴインセンティヴと聞いて多くの人がまず考えるのは、もちろん「お金」。あらいさんの案も、コンドームを使ってもちゃんと儲かるような仕組みを作るという意味ではこの一種と言えるかもしれない。また、公衆衛生上の問題はあれど「使用済みコンドームを売春者から買い取る」案もこの一種と言えるかもしれない(やめてくれー)。けれども、現金で対抗するなら買春客が「コンドームなしでいいならこれだけ出すよ」という額を越える額を永続的に出し続けなければいけない。それがどれだけの額になるのか分からないけれど、かなり難しそうな気がする。

では発想を変えて、売買春をしている人はお金以外の何を必要としているかを考えてみたい。客が提供できるのは現金だけなので、買春者が必要としていて得られていない、現金以外のものを政府が提供できるならば、ポジティヴインセンティブになるかもしれない。そこで思いついたことは、わたしはたくさんの性労働者たちを知っているけれど、かれらの多くがほかの仕事をしている人たちと比べて特に不安を感じているのは、予測不可能な突発的事態に対する備えと、将来の不安。すなわち、政策的に保険と年金を売春者たちにオファーできれば、目の前に現金をちらつかせる買春者に対抗できるのではないか。具体的には、売春者が加入できる保険組合や年金組合を設立し、その規約においてコンドーム使用を義務づけることが、コンドームを使うことへのインセンティヴとして強くはたらくのではないだろうか。

これで残る問題はあと1つ、どうやって規約を執行するのかという点だ。規約を守らせるようなメカニズムがないと、保険や年金の恩恵だけを受けておきながら、規約には従わずにより儲けの多い「コンドームなし」でセックスをする「抜け駆け」行為がでてくるのは必至。それをどう抑止するかという問題を考えなければ回答としては不十分。

そこで保険会社一般がどのようにして規約を徹底しているかを考えてみた。たとえば生命保険には喫煙者と非喫煙者で保険料が違うものがあるけれど、その人が実際に喫煙しているかどうかはどう判断しているのか。調べてみたところ、保険料は契約時の身体検査により医学的に判定され、定期的に行われる追加の検査によって保険料が適正かどうか確認しているらしい。こうした方法が成り立つのは、(1)喫煙者かどうかは検査によって医学的に判定可能、(2)喫煙はライフスタイルとして長期間に渡って続く行為、という2つの前提があるからで、そういえばそれらの前提がなりたたない「飲酒」については、お酒を飲む人も飲まない人も保険料は同じだ。すると、コンドームなしのセックスをしたからといって身体検査でバレることはない売買春においては規約を徹底することはできないのだろうか。

実は、抜け駆けの有無はある程度の精度で判定できる。そのことは、設問をよく読めば分かるはずだし、コメント欄でわたしは実際に「監査の手段は本当にないの?」とヒントとして書いたのだけれど、ついに誰も気付かなかった。みんな、警察による取り締まりみたいなものばかり想像してしまっていたようだ。設問に書いてあることをもう一度読んで欲しい:

インターネットの普及により、性産業は大きく変化しつつあります。その一つの変化は、ネット上において客同士が匿名のまま売春者・性的サービス提供者の情報を交換できるようになったことです。一般の商品においてもインターネットにより商品の質や値段の比較が容易になり売り手間の競争が激しくなったように、売買春においても売り手のあいだの競争が激化し、また市場価格が下落する傾向にあります。

売春者・性的サービス提供者を品評するサイトはいくつもありますが、大手のものは顧客が売春者を100点満点で採点するようになっています。そして困ったことに、この採点基準は「コンドームなしの性交に同意する」など、売春者がより自分の安全や健康に危険なことをすればするほど高い得点をもらえるようになっています。自分の健康を優先してコンドーム使用を要求する売春者や、こうした品評サイトで採点されることを拒む売春者は、収入を失い貧困にあえぐことになります。こうした傾向は米国の一部の都市ですでに生まれつつあります。仮に売買春が合法化されることがあれば、こうした傾向はさらに進むでしょう。

つまり、売春者がコンドームなしのセックスに同意しているかどうかは、品評サイトに書いてあるのだ。もちろん誰かが、売春者をおとしいれるために虚偽で「この人はコンドームなしでやらせてくれる」と書くかもしれない。しかし、その売春者が常にコンドーム使用しているなら、他のユーザから「おれのときはそうじゃなかった」「そんなわけがないだろう」という書き込みがすぐにあるだろう。また逆に、「コンドームなしで売春していると知られたら問題になるから、絶対に書かないでくれ」と売春者がお願いするということもあるかもしれないが、その場合品評サイトでは「コンドーム使用」とみなされるので不当に利益を得ることにはならないし、他の客がそれを見て「コンドームなしのセックスができる」と期待することもないはず。

こうしたネット上の書き込みを元に警察が誰かを逮捕するとしたら問題だけれど、保険組合や年金組合が「どの組合員を調査する必要があるか」見当を付けるために使う分には問題ない。そして調査が適正であると信頼されれば、抜け駆けはできないとみなが思うーーそうみなが思っている、とみなが安心するーーために、規約は大筋において守られるはずだ。

もちろん組合に加入するのは強制ではないから、規約を嫌ってーーあるいは他の理由からーー組合に参加しない売春者も残るだろう。コンドームを使用しないセックスを根絶することは、かなり高圧的な全体主義にでもならない限りありえない。しかし、保険と年金という性労働者にとって切実な二つの問題に対処することで、危険なコンドームなしの売買春を続けるインセンティヴはかなり軽減されると思う。そしてそれは、現実に売春者だけでなくかれらの性的パートナーや子ども、そして客の性的パートナーや子どもなどを感染症から守り、多くの命を救うことになる。

これは蛇足になるけれど、そうした組合に期待されるものは他にもあるかもしれない。たとえば、性労働者の中には「若いうち必死に働いて何らかの資金を作り、そのお金で自分の夢を追求しよう」という人がいるが、性労働という特殊な労働におけるライフサイクルを前提として適切な蓄財・投資アドバイスを行える人はなかなかいない。あるいは税金をおさめるときに、性労働に必要などういう支出ならば経費として控除できるのかといったことも、一般の税理士にはなかなか経験のないことだろう。そこまでいかずとも、性労働者であることを明かしても飛び上がって驚いたりやめさせようとしたり逆に個人的な興味から話を聞き出そうとしないカウンセラーや医者とか、特殊な時間に対応してくれるベビーシッターとか、性労働者に特有のニーズを満たしてくれるようなサービスはほとんどない。性労働者が加入する組合は組合員へのサービスとしてそれらを直接提供するなり、適切な知識や技術を持った人を紹介するサービスを行うなりして、組合員への利益を増やすことができるかもしれない。そうした「お金ではなかなか買えない」サービスを提供することによって、組合の規約を守ろうというインセンティヴは高められる。

以上、これがわたしの出した「解決策」の一例ですが、このアイディアを応用した別の案やまったく別の案など、引き続きアイディアを募集するのでよろしくお願いします。

11 Responses - “「コンドームなしの売買春増加」を抑止する政策的介入、解決編”

  1. melo Says:

    こんにちは。おもしろく拝見していました。以下、お話を読んでて頭に浮かんだことです。

    1)「組合」を売春者の互助団体からさらに進めて、
    国がバックアップする団体にしてみるのはどうでしょうか。この団体は、

    a.売春者に対しては定期的な性病検査を義務づけるかわりに保険・年金・新たな職業訓練等々を提供する、
    b.営業場所は一地域に限定して、感染症検査を経た客のみを受け入れる、
    c.性行為の費用の大半を国が支払う、

    …という特徴をもつ。この場所では、もちろん100%コンドームつき。

    a. は、お話のとおり、多くの売春者に対して団体に加入する強い動機を提供する。
    b. は客にとって負のインセンティブ(売春者に対しては正)になるけれど、
    c. は客に対しても正のインセンティブを提供する。

    リスクより快楽を重視する客層はなくならないのでしょうけど、
    行為自体の費用が実質ゼロに近いこの団体の規模が十分大きくなると、
    全体としてはかなりの客がここに流れて、一方、有償の売春者の数は、
    コンドームを使おうと使うまいと激減しはしないか。

    このアイデア?の問題は、そういう団体ができると、
    潜在的な客を掘り起こしてしまう副作用もあることでしょうか。
    おカネを払ってまではしないけど、タダなら行ってみようとか。

    2)もうひとつすぐに思いつく問題は、「有償の売春者がほんとうに減るか」。
    このような団体があってもなお有償の売春者をえらぶのは、
    たぶん「快楽>リスク」な人々。そういう客が一定層いれば、
    この団体外のフリーマーケット?は残ってしまいます(規模は小さくなるにしても)。

    そこで「快楽」の面でも、この団体が優位に立てるような仕組みは作れないでしょうか。
    たとえば売春者のテクニックの類を向上させる施設のようなものを併設する。
    売春者にランク制を導入して、ランクが高い売春者ほど快楽も大きい、
    快楽の面でも大半の客に対して正のインセンティブを提供できるようにする。
    「コンドームなし=快楽大>コンドームつき=快楽小」…
    という客の側の理屈を逆転させる。

    これは「そういう施設で学ぶと具体的にどのように快楽が向上するか」という
    疑問がすぐ浮かぶのですが、まったく不可能ではないような気も。

    3)まとめると、こういう団体の利点:
    「感染症の防止」(を、どう実現するかという課題は残ります)
    「売買春の透明化」(は、団体が十分に大きくならないと実現できない)
    「職業としての売春者の確立」(を、望ましいと考えるかどうかは課題)

    一方デメリットは:
    「あきらかに相当の費用が必要」(でも不可能な額ではないと思います)
    「潜在的な客層を呼び寄せる危険性」(……)

    以上、寝言みたいな暴論みたいな話ですみません。

  2. みずすまし Says:

    macskaさんの回答をうかがって,質問があります。

    あくまで保険なのだとすると,保険主体の保険料受取りの総額と保険金支払いの総額が,長期的には均衡している状態を想定しているのだと思います。

    そうすると,民間の保険会社なども,資金力,信用,査定能力において政府に劣るとしても,同じようなサービスを提供することができますよね。もし,民間の保険会社などが,コンドームなしの売春者を集めて保険を立ち上げるとすると,コンドームなしの売春者向けの保険とコンドームありの売春者向けの保険が並存する状況が出現する可能性があります。(とりあえず,コンドームなしの売春者向けの保険は合法だとします。)

    そうなった場合,保険のシステムだけ考えれば,被保険者のリスクが高い分,コンドームなしの売春者向けの保険のほうが保険金支払の総額が多くなり,それにともなって保険料が高くなりそうです。

    しかし,コンドームなしの売春者向けの保険のほうが保険料が高くなるというのは,コンドームなしの売春による特別のリスク,主に感染症や妊娠などに関する費用を売春者が保険でまかなうことを前提しています。つまり,少なくともコンドームなしの売春者については,感染症などに関する費用が(税金などを財源とする)公的扶助で手当てされないか,不十分にしか手当てされないことを前提としています。

    逆に言えば,もし仮に如何なる保険にも加入していない如何なる売春者であっても,公的扶助によって感染症などに関する費用がまかなえるなら,コンドームなしの売春者向けの保険とコンドームありの売春者向けの保険の保険料,保険事故の種類,保険金額にさほど差は出てこないだろうと考えられます。

    macskaさんは,

    (1)コンドームなしの売春者向けの保険が成立しないだろうということを想定していらっしゃるのか,
    (2)仮にそのような保険が成立し得ることを前提に,感染症などに対する公的扶助による十分な手当てがないことを想定しているのか,
    (3)やはりそのような保険が成立し得え,かつ感染症などに対する公的扶助による十分な手当てがあることを想定しているのか,

    どれなのか,ちょっと良く分かりません。

    > しかし、保険と年金という性労働者にとって切実な二つの問題に対処することで、危険
    > なコンドームなしの売買春を続けるインセンティヴはかなり軽減されると思う。

    という部分と,コンドームなしの個人売春の非合法化に消極的であるように見えること,macskaさんがいわゆるリベラルよりの方であること(と私は思っているのですが…)からは,(3)の想定のもと,それでもコンドームありの売春者向けの保険が立ち上げれば,コンドームなしの個人売春はかなり抑制されるとのお考えなのかとも思います。

    しかし,そうであるならば,政策的に立ち上げる保険からコンドームなしの個人売春者を排斥する理由がよく分かりません。保険料,保険事故の種類,保険金額がほぼ同等のコンドームなしの個人売春向け保険が成立し得え,それでもコンドームなしの個人売春はかなり抑制されるのならば,政策的に立ち上げる売春者向け保険にコンドームなしの個人売春者も加入させても,結果は同じではないでしょうか。

    macskaさんは,上記(1)〜(3)のどれを想定しているのでしょうか? そして,もし(3)を想定されているとすれば,上記のとおり,政策的に立ち上げる売春者向け保険にコンドームなしの個人売春者も加入させても結果は同じではないかと思うのですが,この点はいかがでしょうか?

  3. 44 Says:

    性労働者が不安を抱えてるのは事実でしょうが、その大部分は数ヶ月か数年単位で
    職を離れて行ってると思いますので、ある程度の長期雇用を前提とした保険年金制度が成立するかどうかは疑問です。またコンドームを付けたとしても病気感染リスクも非情に高いですので
    難しい所だと思います。

    >売春者がコンドームなしのセックスに同意しているかどうかは、品評サイトに書いてあるのだ。

    日本でも風俗情報サイトや2チャンネルなんかが好事家の品評サイト機能を果たしてる面もありますが・・・はっきり言ってとても公的で信用できる調査は無理かと・・・・

  4. 生物学者 Says:

    >「コンドームなしで売春していると知られたら問題になるから、絶対に書かないでくれ」と売春者がお願いするということもあるかもしれないが、その場合品評サイトでは「コンドーム使用」とみなされるので不当に利益を得ることにはならないし、

    今、ヘルスで本番している人は、個人的に余分にお金を払っているのです。品評サイトに関係なく、黙ってチップを払ってコンドームを付けないことが横行するようになりますよ。そのうちに、システムが全く機能しなくなります。

    >他の客がそれを見て「コンドームなしのセックスができる」と期待することもないはず。

    公営の品評サイトを「唯一の」情報手段にするのでしょうか。それは無理だと思います。

    この案の問題点は、やはり確認手段にあります。信頼できる確認手段がないため、コンドームを付ける売春婦が特定できず、差別化が不可能です。

    品評サイトは自由に運営されている時にこそ、信頼できる情報が書き込まれますが、調査対象になった途端により信頼性が無くなります。そんなものを基準にして保険料を決めたりしたら、保険の信頼性はゼロになるどころか、苦情の山になるのがオチです。

  5. xanthippe Says:

    こんばんは

    マイナスのインセンティブはあまり高く評価されないみたいですが、一方でまっとうに公共衛生的な仕事として社会的に認めるのであれば、アメとムチって言うメカニズムが働くんじゃないですか?

    交通違反の罰金のように、違反行為をひるませるほどの高額の罰金を取り、それを原資として売春者の健康を守ったり、買春者への安全なセックスに対する教育促進に当てたりということもできるので、保険と言う考えよりは実効性があるんじゃないですかね?

    あ、この場合おとり捜査はありです。もちろん日本では法改正は必要ですね。麻薬Gメンならぬ、売買春Gメンというような特捜班を設置するとか。

    ちょっとしつこいかなあ・・・。

    アメだけじゃ駄目だと思うのですが、どうなんでしょうね・・・・?

  6. すうす Says:

    こんにちは。はじめまして。面白く拝見させていただきました。
    一つアイデアがあるので、書き込みます。

    これは、組合のサービスの内容になるのですけれど。
    グラミンバンクのコピーですが、組合の組織をグループごとにして、連帯責任を負わせるといった方法はいかがでしょうか。グループはワーカーたちが自分でメンバーを集めて作り、正式に組合員になれる。
    そうすると、組合費を払うかわりに、定期的に健診を受けられ、コンドームの配布、消費者金融より低い金利でローンや、その他サービス(カウンセリング等)など特典がある。また、ミーティングを通して、元気づけられる。
    ただ、健診のときに、グループ内の一人でも性感染症になった場合、グループ全員が責任を負う。感染症になった人は一定期間働くことを許されず、その人の生計はグループメンバーが助ける。そのことは、一定期間その売春者のユーザーは我慢しなければならないので、コンドームを使うセックスをする理由付けになるのでは。あるいは、売春者としても、ユーザーが離れかねないので、リスキーですし、グループメンバーに迷惑をかけるので、抑止力になるのではないでしょうか。

    この方法の問題は、売春者間の不平等な関係や派閥がうまれないかというところだと思います。また、グループに入れなかった人たちをどうするかという問題も解決策が必要です。
    直接的解決ではないですが、グループがinclusiveになるかexclusiveになるかは、組合の運営団体のスタッフの態度・コミットメントによるところが大きいと思います。
    また、運営団体が、あまり組合人数を増やすことに走ると、強制的にグループを作らせることに走りやすい、というのは想像に難しくありません。
    というわけで、運営団体の組織体系と人員の育成が要だと考えます。また、その団体のモニタリングをする組織も必要です。

    その二点はまだまだ詰めてませんが、特に政府としてはその二点に重視し、投資したらよい、と、漠然ですが私は考えます。どうでしょうか。

  7. 建築屋 Says:

    もっとダイレクトなインセンティブを使用者にさしあげませうよ。
    ちょいと技術開発が必要ですが、なに、バイアグラだって出来てしまったのです。そう難しくはないはず。
    使わない時より使った方が何倍もキモチイイーーコンドウさんを世界の各メーカーさんに競ってもらいませう。
    素材形状もありませう。コーティング薬剤の場合は医薬品の認可が必要になるものもあるでせう。
    内外チガウ組合わせで双方共に大吉な組合わせのタイプを選びませう。中は強烈、外はスキンケアタイプはお仕事用。
    その逆が好きなお客さんもあるかもしれませんので、決めつけてはいけません。
    お外での問題だけでなく、内外激感タイプはご家庭内での様々なご不満も即解決してくれます。
    生なんて、ワサビショー油なしの刺身、なもの喰えねえヨ。となる日がきっと来ます。

    お〜しか〜し、それでも生に拘るお方はいらっしゃる。はいはい好きにして。高っかいよ〜お客さん。それに身元証明診断証明保険証明必携、本人サインの契約書いてね〜。好きだね〜お客さん。

  8. 鉄蔵 Says:

    はじめまして、コンドームあり/なし両方のソープ利用経験あり、ソープ利用回数は3回。デリヘルを5回利用、全てナマのヘルスサービス、という東大理科�類中退の33歳男、鉄蔵といいます。

    <ちょっと長い体験談>

    コンドームなしのソープ接客にあった時、それを予期していなかったため、「コンドームつけてほしいなぁ」と思いました。でも、それを言葉にしてしまうと、まるでその女性が性感染症、それも重篤かつ根治不能な病気(代表例はHIV)に感染してるのでは、と疑っていることが明らかになり、それで楽しいはずの(本当は幻想に過ぎないだろうけれども、その場で協力して演技しつつ価値を高めるべき)関係を損なってしまいそうで、そのままナマでやりました。

    その場の感情は「そんなこといったら彼女の気分を害するよな…」です。そんな理由でリスクを許容してしまうなんて、我ながらバカだな〜、と思いますが、結局、性風俗自体が人とのコミュニケーション欲求の充足に端を発する以上、その場の決断としては妥当だったと思います。

    (コミュニケーション欲求が充足されていれば、その相手とセックスかそれに準ずる行為を行うことが可能だし、仮に相手がHIVポジティブだとしても、コンドームをつけて慎重に行為すればよいことだと考えています)

    「リスク回避型男性」でない自分のような人間が「コンドームなしセックスしたい派」でもないというケースもあります。もっと言えば普段はリスク回避型の行動様式を徹底していても、目的が相手とのスムーズな関係、(虚構であることを認識した上で)快楽を交換する信頼関係の醸成、にある以上、相手のいつもの接客スタイルに従うことをよしとする人は多いでしょう。

    自分の場合、コンドームの有無で女性を選ぶことはせず、単純に容姿の好悪、(容姿から類推するあてずっぽうの)性格や人間性の好悪で女性を選ぶことになります。「コンドームなし」の女性を選ぶときには、その場で「つけて」と言えばいいや、と安易な考えでいて、いざその場になると言えずにナマで挿入してしまうわけです。

    こんな消極的なコンドームなし売買春も存在するということをとりあえず報告しておきます。

    以上、長い前置きですみません。

    <macskaさん案への疑問点>

    ここから本題なのですが、macskaさんの案への疑問を投げさせてください。
    (詳しく知っているのは日本だけなので日本の現状に適用するとの仮定のもとの質問です)

    α.現在、売春を職業としている方は、国民健康保険および国民年金に加入できないのでしょうか?

    β.生命保険など各種保険の契約において、性労働者は不利ないしは契約不可能なのでしょうか?

    γ.国民健康保険や国民年金と比較して、macskaさん案の保険と年金は、金銭的に有利なのでしょうか?

    θ.蓄財、投資アドバイスを行う場合、それは他の業種と内容的にはほとんど同じになりませんか?

    自分自身がフリーランスのコピーライターという、多かれ少なかれ「不安定かつ年齢的な旬を売る業」なので、巨視的には不安の質は売春サービス従事者と似ていると思っています。そこに、多少なりと福利厚生の上乗せのある(どっかから金が出ている)保険や年金の仕組みができると、別の不公平なのではないか、それが原因で差別が新たに起こらないか、と思いました。

    自分も「マイナスイオンなどの疑似科学に基づく製品のコピーを書かない」等の職業倫理を満たすことを条件とする保障システムがあり、それに金銭的なインセンティブがあるならば、加入したいと思ったりします。コピーライターという職業が福利厚生の対象になるほどの弱者の条件と考えられていないことを考えると無理だとも思いますが。

    また、性労働者の所得の性質は、スポーツ選手などと「ハイリスク、ハイリターン、若いうち」である点など、かなり似ているため、その蓄財、投資のアドバイスの本質は似通っており、存在の有無よりも利用の有無のほうに問題があるように思いました。

    > これは蛇足になるけれど、そうした組合に期待されるものは
    > 他にもあるかもしれない。

    以降で書かれた、蓄財投資以外の項は、性労働者の特殊性が明らかなだけに、高い可能性を感じました。

    <私の試案>

    私の考えたコンドームなし売買春を減らす政策案は、次の3点です。

    (イ)必ずコンドーム着用でサービスする「Anytime Protected」等のステッカーつきの店および個人を認定する法人や制度をつくり、ブランド化し、そこにリスクを避ける普通の顧客を囲い込む

    (ロ)より高級な「Need No Protection」ブランドも同時につくる。ここでは顧客、従業員ともに精度の高い定期的な検診で(航空機事故程度の)ローリスクを達成する

    (ハ)残る認定外およびブランド詐称を行う、場当たり的な売春、アンダーグラウンドの組織、個人の売春について、改めて調査し、さらなる対処が必要であれば、別途施策を検討する

    以上です。

    PDCAサイクル的ですが、現実に運用してみる価値はあるのではないでしょうか。「商品の購入自体がモラルの逸脱を暗示してしまう環境を整える」というのが基本的な考え方です。そして「コンドームなし派」にも、より高級なブランドを提供して、高額サービスの購入による満足まで与えます。

    これにより、セグメンテーション(ここでは、コンドームの有無ヘの嗜好とリスク回避欲求)によるマーケティングの可能性も生まれ、顧客開発もしやすくなり、より低リスク型の新規市場も生まれやすくなるかもしれません。

    米国産牛肉の輸入再開後は、おそらく、米国産牛肉を仕入れている飲食店へと招待・案内した人物が、モラルの欠如を疑われてしまう状況が日本に見られるでしょう。私は米国産牛および狂牛病リスクの数値の低さを認識から、それに囚われることを愚と断定している立場ですが、政治的キャンペーンやそれに類するイメージコントロールは強力なので、こうなると予想しています。日本人の遺伝子操作大豆への極端な忌避と、日本における表示義務の徹底の様子も、表示によるブランド化がリスク回避のアイコンとして機能しているという観点から見ればクリアに理解できると思います(ちなみに、大豆の件もバカバカしいと私は考えています)。

    上記の2大ブランド外の性風俗がリスク大であることを明確化できれば、ある程度の成果は得られるのではないかと思います。インセンティブ型の施策は(ハ)で挙げた「さらなる対処が必要である場合」に改めて検討しても遅くないのではないでしょうか。

    いわゆる援助交際などの非職業的な場当たり的売春行為は、どういった政策(macskaさん案も含め)でも取りこぼされてしまうと思いますので、再検討を常に行い、隅々まで行き届く政策を検討し続けるほかないと思っています。

    「ウェブにおける情報交換の発達により、コンドームの装着を常に要求する売春が、営業的に落ち込みつつある」というmacskaさんの問題提起には、本質的には答えられていません。私の案は、コンドーム装着のブランド化の効果で様子を見られないだろうか、という妥協案です。それでも「コンドーム絶対装着売春」の価値向上こそ、問題解決の本道だと考えて、コメントさせていただきました。

  9. 3.6km Says:

    HIVより怖い性行為感染症が幾つもあることが業界では常識的に知られている日本では、HIV感染が克服できるようになったからといって盛大に生本番に走るようなことにはなっていませんが、国情それぞれいろいろですね。

    「なにもない」(旧「エイズ風俗嬢の末路」)
    HIVに感染して治療中の元ソープ嬢(高級店)の全身に血斑が生じたのを見た知人が、エイズが不治の病と思い込んだままネットに墓標をと勝手に立ち上げたもの、のような気がします。たぶん症状は薬の副作用によるもので、まだエイズは発病していないんじゃないかな。
    趣味が悪いような気はしつつ、コンドーム装着推進のためには感染者・発症者を晒し者にするのも一興かもしれません。

  10. あっちのよっぺー Says:

    あ、解決編が既にあったのですね。
    そうとは知らずに「お題」編に書き込んでしまいました。すみません。

  11. インセンティブってすげぇ « c+m Says:

    […] わー面白い。前からこういうのって頭いいなあーって思ってて、100ドルパソコンとか StickK.com とか読んでて、あぁーすげぇなあと。「コンドームなしの売買春増加」を抑止する政策的介入、解決編もアツい。 « 私を英訳しないで下さい […]

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