ミルトン・ダイアモンド教授が「ジェンダーフリー支持」を明言

2005年11月24日 - 1:44 AM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

ジョン・マネーによる「双子の症例」実験のその後を追跡調査してその破綻を明らかにした学者と言えば、ハワイ大学のミルトン・ダイアモンド教授。「フェミニストやジェンダーフリー派はマネーの理論に依拠している」という間違った思い込みのもと、「反ジェンダーフリー」派の世界日報や八木秀次氏(「ブレンダ」本解説執筆者)はそのダイアモンドを自分たちに都合の良い論者だと思い込んで利用したのだけれど、わたしが常々指摘してきた通り、世界日報に掲載されたインタビューは誘導質問によるインチキだった。上野千鶴子氏の業績を否定したコメントも記者に間違った情報を吹き込まれて「それが事実ならば」という前提で発したものだったけれど、実際のところダイアモンド氏はジェンダーフリーも混合名簿も支持する立場の学者なのね。で、これまでの議論ではその証拠を要求する人に対してダイアモンド氏が世界日報の山本記者に送ったメールを個人的に見せてきたのだけれど、全文丸ごとであれば公開しても良いという許可を当人から得たので、わたしの手元にある2通を公開することにした。
ただし、英語のメールを全文丸ごと載せるだけじゃ日本の読者には分かりにくいだろうし、わたしとしてもコメントしにくいので、全文は資料として別のページに載せたうえで、以下にはそこから抜粋・引用しながら解説しようと思う。ちなみに、公開の許可を得ているのはダイアモンド氏の出したメールだけであり山本記者から同様の許可は得ていないが、ダイアモンド氏は受け取ったメールに返信する際カットせずに相手のメールをほとんど全部引用する癖があるらしく、ダイアモンド氏のメールの「全文」には山本記者からのメールが含まれているのね。山本記者の承諾を得ずにかれの記述を引用・論評することを非難する向きもあるかと思うけれど、これは山本氏個人のメールではなく世界日報社を代表する立場のメールなのでプライバシーの問題は起きないはずだし、取材において世界日報はダイアモンド氏のメールをいくらでも公開できるのにその逆はできないというのはメディアと個人の関係として不公平なので、公開に問題はないと考える。(まさか世界日報さんが週刊金曜日と同じようなこと言い出したりなんてしないですよねぇ♪)
まずは8月10日にダイアモンド氏から山本氏に送られたメールから。これは8月5日に山本氏が出したメールへの返答であり、時期的には八木秀次氏が「解説」でダイアモンド氏の業績を利用しつつジェンダフリー・バッシングを行った扶桑社版「ブレンダと呼ばれた少年」が出版され、東京新聞と朝日新聞においてダイアモンド氏自身が八木氏の主張に反するようなコメントを発表したあとになる。(なお、簡単な訳をつけるが、山本氏とダイアモンド氏の区別を付けやすくするように前者を「ですます」調で訳し、後者を「映画の邦訳にありがちな不自然な日本語」にする(笑))
まず山本氏が、メールの趣旨を述べている。

(山本氏)
How are you?(お元気ですか?)
Actually I’d like to get your permission so that I can use the interview with you made this January at the Hawaii University for the new book about the gender which will be published next month in our company The Sekai Nippo.(実のところ、今年の1月にハワイ大学で行ったインタビューを当社世界日報が来月に出版するジェンダーに関する書籍に再掲する許可を頂きたいんですよ。)
Because of this article, the topic about Mr. David Reimer became popular in the media society and the book “As Nature Made Him” has been recently translated into Japanese again.(あの記事のおかげで、デイヴィッド・ライマー氏の話題がマスコミ界で広まって、最近「ブレンダと呼ばれた少年」が再び日本で翻訳されました。)

おかしな「解説」をつけて再販されただけで、「再び翻訳」されたわけじゃないだろーが、と言いたいところだけれど、英語の添削をしたいわけじゃないので以下多少おかしいくらいのところは黙っておこうと思う(でも、元ワシントンDC支局長でしょー?)。ここで「来月出版する予定」と言っている本は9月中には出なかったようで、おそらく11月になって出版された「ビューポイント・緊急特集号第3弾 男女共同参画基本法・抜本的見直しを急げ!」がそれなんじゃないかと思うけれど、そちらのページを見れば分かる通りダイアモンド氏のインタビューは掲載されていない。その理由は以下にある。

(ダイアモンド氏)
I would certainly like to help. But I am afraid that what I say might not be accurately translated and was disappointed to understand that I was quoted as saying some unflattering things about Dr. Chizuko Ueno. I don’t think my comments were placed in the context I thought appropriate.(お役に立ちたいとは思っているよ。でも、あのインタビューではわたしの発言が正確に訳されていないように思うな。わたしが何か上野千鶴子教授についてひどいことを言ってしまったかのように引用されているようだけれど、がっかりしているんだ。わたしのコメントが不適切な文脈に入れられてしまったように思うんだ。)

ここで山本記者は東京新聞と朝日新聞に掲載されたダイアモンド氏の発言について、世界日報におけるそれとあまりに違うために読者を混乱させていると泣きつく。

(山本氏)
I’ve recently seen your comments in the articles of two Japanese daily ( the Asahi Shinbun and the Tokyo Shinbun ) .(最近、あなたが朝日新聞と東京新聞という日本の2つの日刊紙で発言しているのを読みました。)
I’m afraid the articles of these papers using your comment made Japanese people confused again about sex and gender ,because the comments were not quoted suitably in the context. They seemed to supprt gender-free idea by the articles.(これらの新聞に載せられたコメントは文脈がはっきりしないためにセックスとジェンダーについてまた読者を混乱させているのではないかと不安です。これらの記事を読むと、まるであなたの発言はジェンダーフリーの考えを支持しているかのようです。)

それに対するダイアモンド氏の答え。

(ダイアモンド氏)
I have not seen their comments but I’m sure I didn’t tell them anything different than I said to you.(それらの新聞に載ったコメントをわたしは確認していないけれど、かれらに対して言ったことはあなたに対して言ったことと全く同じだよ。)
[…]
Basically I do support gender-free ideas. I don’t think there is anything in the book “As Nature Made Him” that goes against that idea. (基本的に、わたしはジェンダーフリーの考えを支持している。「ブレンダと呼ばれた少年」のどこを読んでもそうした考えを否定する要素はないと思うね。)【強調はダイアモンド氏による】
[…]
As I told you, I think that everyone ought to have open opportunities to be educated and develop as they wish and can. I do believe that males and females are somewhat different but there is no way to predict which individuals would benefit the most from any teaching or opportunity thus all should be offered the same opportunities and treated equally. Any individual man or woman might avail themselves differently of the opportunities and might do different things with them but I think each and every person should have the chance to find their own niche in the world. (あなたに話した通り、わたしは人々はみんな可能な限り自分の望む通りに学び成長する広い機会を持つべきだと思っているよ。わたしはたしかに男性と女性は生物学的にやや違っていると思うけれど、どの個人がどういった教育や機会を活用できるかなんて誰にも分からないのだから、全ての人が同等の機会を与えられ、対等に扱われるべきだと信じている。それぞれの男性なり女性が個人として自分にふさわしい居場所を見つけられるチャンスを与えられるべきだ。)

ここでダイアモンド氏はジェンダーフリーを支持していることを明言しているばかりか、それが何を意味するのかかれなりに考えて説明している。ここを読めばどう転んでもダイアモンド氏が保守派が望んでいたような「反ジェンダーフリー」「反フェミニズム」の立場を支持する論者でないのは明々白々だ。そして、こう止めを刺す。

(ダイアモンド氏)
I would like to help as best I can. Please do not publish anything from our last interview. […] If you submit your questions to me in writing I will answer in writing so I can be sure of what is said and you can be sure of my meaning. That way we both will understand each other and there is less chance of misunderstanding. And when you publish do not extract only certain parts but publish everything in the questions and in the answers. (助けになりたいとは思ってるんだ。でも以前のインタビューを掲載するのはやめて欲しい。わたしが何を言っているかはっきりさせ、その意味をきちんときみに理解してもらうためには、文書の形で質問を送ってくれたら文書で回答してもいいよ。そうすれば、お互い理解しあえるし、誤解の危険も減るだろう。そして、インタビューを掲載するときはその一部だけ抜粋せずに、質問と回答の全文を載せてもらえないかな。)

一応「以前のインタビューは相互に誤解があったのかもしれない」という建て前を取っているけれど、これを読むと分かる通りダイアモンド氏は明らかに相手を信用していない。ある関係者の話だと、実はもともと世界日報から最初のインタビューを受ける前にもダイアモンド氏は「あそこは相手にしない方がいい」と助言されていたのだけれど、それを振り切ってインタビューを受けた結果やっぱり搾取的に利用されてしまったというわけで、今度こそはいいように利用されないぞという決意があったのだと思う。
ここまで言われてさすがに堪えたのか、その後1ヶ月以上山本記者からの連絡は途絶えたのだけれど、次は9月13日になってその「文書による質問」がダイアモンド氏に届く。…というところで、次回に続く。今回公開したメールの内容は衝撃的だけど、はっきり言って次のメールはもっと凄いです。
なお今回紹介したメールの全文は、以下の URL にあります。

Diamond Emails Pt. 1

22 Responses - “ミルトン・ダイアモンド教授が「ジェンダーフリー支持」を明言”

  1. xanthippe Says:

    うわうわ! 次が楽しみいい!!!

  2. Anno Job Log Says:

    [サイト]ミルトン・ダイアモンド教授が「ジェンダーフリー支持」を明言
    macska dot org ミルトン・ダイアモンド教授が「ジェンダーフリー支持」を明言 http://macska.org/article/111 >基本的に、わたしはジェンダーフリーの考えを支持している。「ブレンダと呼ばれた少年」のどこを読んでもそうした考えを否定する要素はないと思うね。 >�…

  3. horitate Says:

    6月末に鹿児島の吉野県議の発言について投稿した者ですが、同県議に対して論陣を張った南日本新聞社にこのブログを転送したいのですが、よろしいですか?

  4. Macska Says:

    ブログを転送というのがどういう意味かよく分からないですが、公開された記事なので常識と関連法規の範囲内でご自由にご利用ください。

  5. 牧波昆布郎 Says:

    翻訳&解説のおかげで、すごくわかりやすいです(T▽T)
    > おかしな「解説」をつけて再販されただけで、「再び翻訳」されたわけじゃないだろーが、と言いたいところだけれど、
    という部分に対し、「まぁまぁ、中身を改変しなかっただけ、まだましじゃあありませんか」と突っ込みを入れそうになってしまいました;慣れって怖いです。

  6. Words and Phrases Says:

    [gender]世界日報でまたまた恣意的な引用
     恣意的な引用をしてしまうのは意図的なのか読解力がないのか、はたまた読者やインタビュイーをナメているのか。  macskaさんのブログ記事(その1・その2)で指摘されていることが、世界日報の署名記事で形を変えてまたくりかえされているようです。 記事を書いて�…

  7. dochitebouya_usa Says:

    macskaさまはじめまして。
    はじめに、ミルトン博士のメール公開ありがとうございます。
    また、そこに至るまでのさまざまな活動に頭が下がります。
    自分米国在住のものです。
    はこの問題についていろいろな方のBLOGを拝見させていただいております。
    思ったまま、疑問や意見を書かせていただきます。
    あなた様が私の立場をどのようにお考えになるかはお任せいたします。
    素朴な疑問があります。
    Basically I do support gender-free ideas. I don’t think there is anything in the book “As Nature Made Him” that goes against that idea.
    博士が答えた後なぜ、下記のようなことの発言があったのかです。
    にほんんでこの趣旨に反対すると言う人々はいないと思います。
    As I told you, I think that everyone ought to have open opportunities to be educated and develop as they wish and can. ・・・・
    アンチ・ジェンダーフリーとよばれるグループの方々、特に教育現場でジェンダーフリーを考えなそうと言う人々は、学校で行なわれている、
    ジョンマネー氏が研究室でデッビド兄弟や子供達に施した、性の早期認識を促すための行為と同じようなことに、疑問を呈しているのです。
    ここに掲載されている博士のメールを見るかぎり博士がそのことについて
    どう思っているのかはわかりかねます。
    どうも失礼いたしました。

  8. Macska Says:

    こんにちはです。

    特に教育現場でジェンダーフリーを考えなそうと言う人々は、学校で行なわれている、ジョンマネー氏が研究室でデッビド兄弟や子供達に施した、性の早期認識を促すための行為と同じようなこと

    の実例は何でしょうか?
    かれらにそれを聞くと、あげられるのは決まって事実として存在しないか曲解された例(雛祭り否定等)かジェンダーフリーと無関係の例(男女同室で着替え等)なのです。ブログでそういった批判をしている人はただ単に八木秀次氏その他の著書や世界日報の記事を読んでそれらが事実と思い込んでしまっただけかもしれませんが、本にそういった事を書いている人たちは何度もそれが事実でないことを指摘されているのですね。
     事実でないと知りつつ嘘を宣伝してまでジェンダーフリーを叩くということは、実はダイアモンドが言うようなごく当たり前の機会平等論に仮に口先に同意していても、実質的にそれを否定したがっており、でもそうとはなかなか言えないので(読者が納得しないので)ジェンダーフリーとはこうなのだ、と嘘の宣伝をしているのだと推定できます。また推測を排したとしても、かれらの言動が実際に機会平等の実現を遠くに追いやっているのが事実です。
    なお、「性の早期認識を促すための行為と同じようなこと」という言葉で何を意識していたのか分かりませんが、実際にかれらになされたことはあなたの想像よりかなり深刻なことです。それらと「同じようなこと」が教育現場でなされていたら確実に児童性虐待として扱われるでしょう。保守派が例として挙げているどのような嘘よりはるかに重大な侵害です。マネーが捕まらないのは、かれがそれを医療行為として行い、かれ自身が業界の権威として医療行為のスタンダード形成に強い影響力を持っていたためです(米国の法律上、スタンダードとされる医療行為を行っている限り、仮にスタンダード自体に問題があっても法的責任を問われない)。あまり軽々しくレトリックとして持ち出せる例ではないと思います。

  9. dochitebouya_usa Says:

    Macska 様。早速のコメントありがとうございました。
    >なお、「性の早期認識を促・・という言葉で何を意識していたのか分かりませんが、
    言葉が足らなかったのならお詫びいたします。
    As nature・・・英語版を読みました。
    そして、日本語版を読まれた方、
    Macska 様であればにこの表現で伝わるのではと
    思い込みがあったようです。
    「性の早期認識」というのは「子供がどちらの性にどの性として『興味を示すか』」
    と言う意味で書きました。
    マネー博士は、SEXについてOpenに語られる雰囲気が作られるべきだ、
    と言う考えを持っていたので、性的な言葉を普段から口にしたり、
    子供にsexの擬似体験をさせるために、
    服をまとわない男女の写真などもセラピーに用いていました。
    時には複数の男女だったとありました。
    これには、子供が将来持つ性的役割や性に対する考えかたに
    この「疑似体験」が大きくかかわるという考えが背景にあります。
    ある意味、性に対して「多様な選択氏を示す育て方」と言う見方もできるかもしれません。
    マネー博士の研究目的とは必ずしも一致しませんが、
    この状況は過激な性教育と報告される例と重なります。
    >実際にかれらになされたことはあなたの想像よりかなり深刻なことです。
    ・・・
    >あまり軽々しくレトリックとして持ち出せる例ではないと思います。
    恐れ入りますが、。
    どのように私自身が本から受けたショックや、
    クラスで子供が受ける授業の影響の想像を
    深刻ではないと計られているのでしょう?
    レトリックと言われる意味もわかりません。
    Macska 様が嘘の情報だとご指摘されている中には、
    自民党の調査結果も入っているのでしょうか?
    全国から集められた保護者の声を読みました。
    そこにはMacska 様がご指摘された
    >ジェンダーフリーと無関係の例(男女同室で着替え等)なのです。
    のほかにもここに書き込むにはあまりにも抵抗がある内容もありました。
    感じた不快感はAs nature ・・に通じるものがあります。
    また、その指導教師が男性であれば
    (そうでないことを祈りますが)
    犯罪と言っても言い過ぎではないと思います。
    Macska 様の基準で、
    「リストにあるものはジョン・マネー医療行為と比較すれば、
    問題レベルではない」とお考えでしたらそうなのでしょうが、
    私の感覚からはほど遠いものです。
    ここで、先のコメント、
    ダイアモンド博士に与えられた
    日本でのジェンダー・フリー論争予備知識への疑問
    に戻らせていただきます。
    上記の教育関係のことが、
    大きな問題として国会でもとりあげられた理由です。
    世間が知るところとなった、
    法案の成立をうけて教育界がおこなった
    ジェンダー・フリー社会実現プロセスの具体的な実践例です。
    そして、自民党内に調査委員会が設置され、
    言葉の見直し論なども始まり、
    その後、アンチ・ジェンダフリーバッシングという表現が一般世間にも
    広まっていったと、私は理解しています。
    そして、ダイアモンド博士は、
    As nature ・・のなかで、
    マネー博士のセオリーそのものより
    (セオリーについてはマネー博士に共同研究を呼びかけていたくらいです)、
    マネー博士や他の周囲の専門家が、
    「母親」からの報告、「デービッドが示す不快感」に
    耳をかさなかったことを問題視しました。
    にもかかわらず、
    この論争の始まり
    「保護者や子供が示した不快感」についての原因について
    ダイアモンド博士の意見が、
    東京新聞記事もそうですが、
    掲載されたメールの中で見つけられないことに疑問を感じるのです。
    最後に、
    リベラルでもコンサバテイブでも
    男尊女卑派もフェミニも同じなのですが、
    論争で、
    「やつらは・・・」
    「女なんて・・・」
    「男なんて・・・」
    などと言う口調で、
    単純に人くくりで貶める発言は好みません。
    「嫁が働くなんてみっともない」と言う価値観、
    「主婦なんて三食昼寝付。ワイドショーで時間をつぶすしかない生き物」
    と言うような価値観などもともになくなってほしいと思います。
    長くなり申しわけありませんでした。
    最後まで読んでくださりどうもありがとうございます。
    「ダイアモンド博士メール」の続きを楽しみにしております。

  10. Macska Says:

    説明ありがとうございました。おかげで何を言っているのかわかりました。
    > マネー博士の研究目的とは必ずしも一致しませんが、
    > この状況は過激な性教育と報告される例と重なります。
    あの、まず確認しておきますが、これはジェンダーフリーとは無関係で、いわゆる「過激な性教育」とされるモノについて言っているのですね。よく批判派によってジェンダーフリー批判と性教育批判が同時に行われますが、両者に論理的な繋がりはないので、あなたがジェンダーフリー(雛祭り云々など)と言ったときに性教育の方を問題としているとは思いませんでした。
    > Macska 様が嘘の情報だとご指摘されている中には、
    > 自民党の調査結果も入っているのでしょうか?
    自民党の調査結果と言っても、回答の中には事実もあれば、多分虚偽もあるでしょうし、伝聞やうわさ話や単なる意見に過ぎないもの、あるいは自民党のジェンダー政策に対する反論まで含まれています(想像でなく事実です。嘘だと思ったら最寄りの自民党支部にお問い合わせください)。調査結果全部嘘だとは言いませんが、特定の報告が事実かどうかなんてわたしには確認できません。ただ、もしマネーが行ったのと同等の行為が行われていたのであれば、自民党に言うんじゃなくて警察に即時に電話して欲しいです。
    また、調査票自体、質問項目に「気分が悪くなった子どもたちの声が届いています」とか「全国各地の小学生の父母から悲鳴があがっています」などと一々注意書きがついていて、とても実態が知りたくて行った調査とは思えません。このような質問項目を使った調査は一般論として信頼できないものです。
    > 犯罪と言っても言い過ぎではないと思います。
    もし犯罪行為が学校で行われているなら、警察に通報してください。ジェンダーフリー推進派の誰もがそう思うでしょう。性教育推進派の人たちも、性教育で一番大切なことのひとつは性行為には合意が必要だということなので、かれらが性犯罪を肯定するわけがありません(もちろん、性教育をやる人の中にも性犯罪をおかす人はいるでしょうが、それはかれらが性教育推進派だからではなくて、単にどの集団にも悪い人はいるというだけのことです)。
    いいですか、ジェンダーフリーや性教育を推進している人たちは、誰よりも子どもの性虐待を深刻にとらえ、告発し取り組んで来た人たちと同じ人たちですよ。どうしてかれらが集団として性犯罪者みたいに言われなくちゃいけないんでしょうか。
    ただわたしが疑問に思ったのは、どうして先生が男性の場合のみ犯罪になるのかな、ということです。刑法は基本的に男女平等にできていますから、どうして男性なら違法で女性なら合法なのかという意味で具体的に何のことを言っているのか気になります。「ここに書き込むにはあまりにも抵抗がある」と言いますが、書いていただかないと議論ができなくて困ってしまいます。
    > 上記の教育関係のことが、大きな問題として国会でもとりあげられた理由です。
    だから、とりあげられた中に「大きな問題」の実例があるなら、言ってください。わたしの知る限り、事実誤認やジェンダーフリーとは無関係の例がほとんどです。事実誤認でないと言えば、例えば男女混合名簿は事実ですが、わたしは問題だとは思っていませんし、仮に問題だったとしても教育界で論議すればいい話で国会が出てくる程の「大きな問題」だとは全然思いません。性教育の方については、教室で使用される資料の表面的な「過激さ」ばかり強調されて、それがどういうコンテクストでどのように使用されているのかという点を考えていない批判が多いように思います。
    > 「ダイアモンド博士メール」の続きを楽しみにしております。
    とっくに更新されています。
    http://macska.org/article/112
    よろしければ、ブログのトップページから他の記事もご覧ください。
    また掲示板も用意していますので議論にご利用ください。

  11. xanthippe Says:

    こんばんわ! 私、くそ忙しいのですが、ちょっとだけ
    >As nature・・・英語版を読みました。
    >そして、日本語版を読まれた方、
    >Macska 様であればにこの表現で伝わるのではと
    >思い込みがあったようです。
    英語版、私も読みました。日本語版も読みましたが、Macskaさんのレスのどこに伝わっていないという違和感、あるいは疑問を感じられたのでしょうね?
    >「性の早期認識」というのは「子供がどちらの性にどの性として『興味を示すか』」
    >と言う意味で書きました。
    はああ???!!! 「性の早期認識」ってねえ・・・・。マネー氏だって性自認は1歳ちょっとだろうって訂正しているんですよ?? それがまた「「子供がどちらの性にどの性として『興味を示すか』」
    ですって・・・? それって「性志向」の意味でおっしゃってるとしか思えないんですけど、ぶっとんでます。

  12. Macska Says:

    > それって「性志向」の意味でおっしゃってるとしか思えないんですけど、ぶっとんでます。
    もちろん「性指向」の意味で言っているんだと思います。「ブレンダ」本を読んだならご存知のはずですが、マネーによる「医療行為」はブレンダが1歳の頃に終わったことではないですよ。
    それから、わたしはマネーが行った「性の早期認識を促すための行為」という表現が何のことを言っていたのか分からなかったのではなく、それと「同じようなこと」と呼ぶに値する「ジェンダーフリー教育」の実例が全く思い浮かばなかったので、具体的に何のことを指して言っているのか例をあげて欲しいと言っていたのです。でも、表現の意味が伝わらなかった人もいるでしょうから、説明があって良かったです。

  13. dochitebouya_usa Says:

    xanthippe さま
    >こんばんわ! 私、くそ忙しいのですが、ちょっとだけ
    くそお忙しいところコメントありがとうございました。
    Macska さま
    早速のコメントありがとうございました。
    >> 「ダイアモンド博士メール」の続きを楽しみにしております。
    >とっくに更新されています。
    この後に読むことを楽しみにしていると言う意味のつもりでした。
    言葉足らずですみません。
    解説つきのほうは拝見させていただきました。
    >だから、とりあげられた中に「大きな問題」の実例があるなら、言ってください。わたしの知る限り、事実誤認やジェンダーフリーとは無関係の例がほとんどです。
    そいうお立場でしたか。私はジェンダーフリーを応援している辻本氏のウェッブサイトを拝見して、
    「過激な性教育」というものの発端は、その受け入れが困難な人達の声ではあっても
    それなりに
    理由があったのだなと思っていまいした。マネー氏の研究に理由あったように。
    彼女が過激性教育を理由を説明しているわけではありません。
    性的マイノリテイーの話がありました。
    例えば社会が歴史的に求めてきた「性的役割」「家族の価値観」のなかに、
    性的マイノリテイーは存在しないから、今後もそれをベースとした
    道徳教育とか、家庭教育というものが学校で重要視され続ければ、
    性的マイノリテイーが居場所を見つけられない状況は続きます。
    だから、彼らはまず性的マイノリテイーの存在を当たり前にするため
    男女以外の「性」の存在に触れるために
    「タブー」の打破を早期教育教育・学校で始めたと思っていました。
    >刑法は基本的に男女平等にできていますから、
    >どうして男性なら違法で女性なら合法なのかという意味で具体的に何のことを言っているのか気になります。
    >「ここに書き込むにはあまりにも抵抗がある」と言いますが、書いていただかないと議論ができなくて困ってしまいます。
    言葉が男性に対して差別的でしたか?
    私が読みましたのは、Macska さまガ資料として価値がないとおっしゃる
    自民党のデーターですが、その中に、これはここに書けるレベルのものです。
    「学校で子供が『見知らぬ人だけでなく、親戚のおじさん・お兄さんやお父さんが、子供へ性的いたずらをする可能性もある。そいう人たちはあなたのどこに触れるかでわかる』という授業を受け、父親への態度が変わった」
    というものがありました。
    この内容からは「親戚のおばさんや・お姉さん・お母さんが性的虐待者になる可能性」
    の授業があったとは思えませんから、
    そいう意味では、子供が身を守るというとき「女性は性的犯罪者」として見られないのだ。
    と言う風に認識しています。
    これは学校での「性教育」話ですから、
    問題教師の児童虐待
    育児ノイローゼとかかわる児童虐待や恋愛関係に引きずられた
    児童虐待とは別に考えています。
    >刑法は基本的に男女平等にできていますから、
    >どうして男性なら違法で女性なら合法なのかという意味で具体的に何のことを言っているのか気になります。
    わたしは学者でもありませんし、法を討論できるほど知りません。
    しかし、
    「法」というのは存在するいさかいや問題解決のために、
    あるいは
    社会の秩序を守るために必要として作ったもの、論理・道具であって、
    ある個人を、男性を名指して話をしているのでなければ、
    ある程度共有できる人間の感覚、危険を感じる本能、
    傾向を覆したり、または否定したりすることには「法的根拠」の意味がないと思います。
    >性教育推進派の人たちも、性教育で一番大切なことのひとつは性行為には合意が必要だということなので
    自分の小学校の時の話ですが、身体測定で男性教師が付き添うのをいやがる
    女子児童はいましたが、男子児童はいませんでした。
    また、女性教師が付き添うと言うときに、
    嫌がる女子児童・男子児童はいなかったように記憶しております。
    性行為に合意が必要と言う認識があるというのはわかりますが、
    性教育でどれくらい突っ込んだ性の話をすることに
    子供の合意と言うことではないと思います。
    様子をみながらと言う方もいるようですが、
    それは子供に聞いたかどうかわかりません。
    「話た後」に表情を見たのかもしれません。
    >ジェンダーフリーや性教育を推進している人たちは、誰よりも子どもの性虐待を深刻にとらえ、告発し取り組んで来た人たちと同じ人たちですよ。
    >どうしてかれらが集団として性犯罪者みたいに言われなくちゃいけないんでしょうか。
    内容に信念があっても授業内容に対する声に耳を傾けてもらえなかった、
    異なる方法を求める保護者の
    方々がいたからではないですか?
    マネー博士にしても研究が犯罪呼ばわりされたとは私は思っていません。
    本にもそのように説明があったと思います。
    彼には彼なりに、あいまいな性器のを持って生まれたというだけで
    世間から隠れて生きていた人たちを救うと言う目的がありました。
    マネー博士や専門家が
    デッビっドのような健全な子供の件の問題に関して不正直であったということ、
    問題を抱える子供自身のの意見が性転換手術に反映されてこなかったことが
    ダイアモンド博士が受け入れがたかった問題だったのだと思っています。
    このことは最初に書き込みましたダイアモンド博士のことと重なりますが、
    教育を与える側、治療を施す側がどれほど相手の助けになると信じていても、
    本人のや家族がそれで苦しんでいたら耳を傾ける事が大事だということではないでしょうか。
    これには保守的な考えもリベラルも変わらないと思います。
    みな個々に違いますから。
    長くなりましたがおつきありくださりありがとうございました。
    「過激な性教育に関して示したもの、自民党の調査・発表が根拠にならないから別の例を」と
    言うmacskaさまのお立場がはっきりわかりましましたので質問は申しません。
    論争がかみ合っていないことを感じていたので最初に諮問をさせていただきました。
    今はそれなりに理由がわかったような気がしています。
    このことに関してBlogや日記を書くことがありましたら、やり取りを掲載してもよろしいですか?
    Linkもつけますし、途中削除はしません。
    それでは、失礼しました。

  14. Macska Says:

    こんにちは、dochitebouya_usa さま。

    < だから、とりあげられた中に「大きな問題」の実例があるなら、
    < 言ってください。わたしの知る限り、事実誤認やジェンダーフ
    < リーとは無関係の例がほとんどです。
    そいうお立場でしたか。私はジェンダーフリーを応援している辻本氏のウェッブサイトを拝見して、「過激な性教育」というものの発端は、その受け入れが困難な人達の声ではあってもそれなりに理由があったのだなと思っていまいした

    ほら、またジェンダーフリーと性教育を混同されています。
    ジェンダーフリーというのは、すなわち男女平等のある特定のあり方です(こちら参照)。「過激な性教育」として批判されているものは、ジェンダーフリーの一環として行われているのではなく、全く別のものです。だからこそ、ジェンダーフリーにおいては「男女で違った扱いをしてはいけない」と言っているのに、性教育の場面ではあなたが紹介された通り性暴力の加害者として男性しか想定していない(これは間違いだと思います、こちら参照)、というアンバランスなことが起きるわけです。保守論者からみると、どちらもかれらが考える伝統的なあり方と反するものとして一緒くたにされていますが、これはキリスト教徒から見るとイスラム教もヒンズー教も区別がつかないみたいなものであり、きちんと議論をするのであれば区別すべきです。
    そのうえでわたしの書いたことをもう一度読んで欲しいのですが、わたしはジェンダーフリーといわゆる「過激な」性教育について分けて書いてあります。ジェンダーフリーについて批判を受けていることについては「事実誤認やジェンダーフリーとは無関係の例」がほとんどであり、性教育批判については「教室で使用される資料の表面的な『過激さ』ばかり強調されて、それがどういうコンテクストでどのように使用されているのかという点を考えていない批判が多い」と述べています。わたしのジェンダーフリーについての認識を勝手に性教育に当てはめないようお願いします。
    性教育に使われる資料として、それなりに理由があるにも関わらずコンテクストを無視して曲解されている例をひとつあげましょう。世界日報のサイトをのぞくと、性教育の教材として不適切な例として、はっきりと分かる性器を持つ男女の人形が紹介されています。しかし、こちらのサイトを読むと分かる通り、これは障害児に性についての正しい知識を教えるための教材であり、普段はきちんと服を着ていて授業の時だけ人形に子どもと一緒に「お願いします」と声をかけて服を脱がすなどの丁寧な扱いをしているのに、わざわざ猥褻に見えるように服を脱がせて写真を取られて紹介されています。
    知的障害児のあいだでの性的虐待の被害を受ける危険は障害のない子どもに比べて非常に高いので、それから自分を守る力を付けてもらうためにもきちんとした性教育は絶対に必要であり、またわたしも少しだけ知的障害のある大人を対象とした性についてのワークショップを実施した経験があるので分かるのですが、コンドームのつけかたをバナナで見せようとすると(念のため繰り返しますが、わたしがワークショップをやった対象は大人ですよ)コンドームとはバナナに付けるものだと思ってしまったりするので、知的障害を持つ子どもへの性教育にこの人形のような見て分かる教材が必要なことはとても納得がいきます。そうしたコンテクストを無視して、いきなり「猥褻な人形が使われている」みたいに非難するのが批判派の論法であり、非常に問題であると思います。もし知的障害児への性教育について異論があるのであれば、そうしたコンテクストを包み隠さず説明したうえできちんと議論すべきだと思うのですが、批判社の大半はただ単にセンセーショナルに扱うだけです。性教育を批判する人たちの批判が多くの場合不当であるというのは、そういうことです。ですから、もちろん「それなりに理由があって」性教育は行われています。

    自民党のデーターですが、その中に、これはここに書けるレベルのものです。
    「学校で子供が『見知らぬ人だけでなく、親戚のおじさん・お兄さんやお父さんが、子供へ性的いたずらをする可能性もある。そいう人たちはあなたのどこに触れるかでわかる』という授業を受け、父親への態度が変わった」
    というものがありました。
    この内容からは「親戚のおばさんや・お姉さん・お母さんが性的虐待者になる可能性」の授業があったとは思えませんから、そいう意味では、子供が身を守るというとき「女性は性的犯罪者」として見られないのだ。と言う風に認識しています。

    もしその通りの内容であったのであれば、間違っていると思います。男性だけが性犯罪者になるという認識は事実として間違いであり、そのように教えるべきではないと思います。が、もしかしたら授業では男女の区別なく言っていたのに、「性犯罪者は男性である」という思い込みから子どもが間違って伝えたのかも知れませんし、自民党に回答した親が間違ったという可能性もあります。自民党の調査はいい加減なのでこれだけでは「そういうコメントがあった」という以上のことは言えません。
    また、授業を受けて何もしていない父親への態度が変わったということは、よほど授業が下手だったのだと思います。それはそれで問題であり、教師は何らかの研修を受けるべきかもしれません。家庭内における性的虐待についての授業は必要だと思いますが、子どもの持つ家族への信頼や安定感を壊すような授業はいけないに決まっています。が、もしかしたらその父親が本当に虐待者であり、そのことを子どもが認識したからこそ態度が変わった可能性もあるので、周囲の大人が子どもときちんと話をすべきですね。

    自分の小学校の時の話ですが、身体測定で男性教師が付き添うのをいやがる
    女子児童はいましたが、男子児童はいませんでした。

    嫌がる子どもがいるのであれば、きちんと配慮すべきでしょう。
    しかし身体測定で誰がつきそうかという問題は、ジェンダーフリーとも性教育とも関係ありません。ただ単に学校が子どもの感じることに無神経なだけではないでしょうか。

    彼には彼なりに、あいまいな性器のを持って生まれたというだけで世間から隠れて生きていた人たちを救うと言う目的がありました。

    マネーの博士論文では、そういう人たちは特に何かに苦しんでいることもなく普通に暮らしていると書かれていたわけで、かれ自身の研究によると何かから救う必要ははじめからなかったんですけどね。わたしはその未出版の博士論文読んでます。ま、その話はどうでもいいです。

    教育を与える側、治療を施す側がどれほど相手の助けになると信じていても、本人のや家族がそれで苦しんでいたら耳を傾ける事が大事だということではないでしょうか。

    耳を傾けるべきだということであれば、その通りです。耳くらい傾けるべきでしょう。また、より優れた教育法を確立したり、教師としての能力をあげていこうという努力は必要です。しかしそれは、親の言う事を聞いてその通りにするという意味ではありませんが。

    「過激な性教育に関して示したもの、自民党の調査・発表が根拠にならないから別の例を」と言うmacskaさまのお立場がはっきりわかりましましたので質問は申しません。

    いや、自民党の調査からでもいいんです、具体的な例をあげていただければ。上記のように個別にでしたら議論が可能です。

    このことに関してBlogや日記を書くことがありましたら、やり取りを掲載してもよろしいですか?

    そんなこと聞かずにどんどんやりましょう。他の方にも言いましたが、出版(掲載)された記事やコメントは一般の雑誌や書籍等で出版されたものと同じように勝手に引用・批評・批判などして構いません。というか、そのように扱わないのであれば、それは紙媒体で発表された意見とネットで発表された意見とで違った扱いをするということであり、ネットの書き手をバカにした話だとわたしは思っています。トラックバックは送ってくれると嬉しいです。

  15. dochitebouya_usa Says:

    Macska さま
    お忙しい中、お返事・解説どうもありがとうございます。
    小野様とのやり取り・他Linkを現在よませていただいているところです。
    コメントすべてをまだ読み終えておりませんが、
    社会に学術会の研究成果が還元されるときには、
    医者が患者を治療するのと同じように、
    やはり、専門家ではないわたしたちにわかる言葉はなしてほしいと思います。
    また、あちらのページに感想を書かせていただきます。
    こちらで、いただいたMacska さまのコメントには
    あらたに
    東京都養護学校の件もありますので、
    Link拝見して後日、またコメントさせていただきます。
    基本的に、これは「子供を守る方法」についての見解が
    個人に依るところから発生しているのではないかと思っています。
    それではまた。

  16. Macska Says:

    dochitebouya_usa さま
    「子どもを守る方法」についての見解の相違はあるかもしれません。
    そして、どういう方法が良いのか、さまざまな意見を出し合うことには意義があります。
    しかし、他者の見解を曲解したり、歪曲して宣伝するということは全く無益です。先に挙げた例でしたら、この人形はこういく目的でこのように使われている、という部分を正確に伝えたうえで、しかし我々の見解ではここが問題である、という意見なら大歓迎なのです。
    ところが「過激な性教育に反対」と言っている人たちは、そうはしていません。コンテクストを無視していきなり普段ありえないように脱衣させた人形の写真を見せるだけです。また、性教育を推進する人たちがまるで家族や伝統を破壊しようとしているかのように中傷しています。お互い「子どもを性暴力や性感染症から守る」ことを目的としているのだがその手段について異論がある、という形で議論をしようとはしていません。それをまず問題とすべきです。
    あと、社会学者や教育学者はもっと一般に分かるように説明して欲しい、という要望は理解できます。しかし、それ以前の問題として、わざと性教育の現状を曲解してデマを宣伝している人がいるのです。専門家だって、一応本を出したりして説明する努力を払ってはいるのですが、例えば障害児に対する性教育はどうあるべきかという問題をきちんと説明するにはかなりの労力が必要ですし、それを読む側にも集中して議論の筋を追うという労力がかかります。それに対し、コンテクストを無視して写真を提示し、「過激な性教育が行われている、これは家族や伝統を破壊する共産主義の変種である」と主張するのには(論証が不要なので)労力がほとんどいりませんし、読む側にも負担をかけません。つまり、ちゃんとした知識を伝えたり得たりするのにはそれなりのコストがいるんです。
    何が言いたいかというと、まず専門家が分かりやすく説明するよう努力すべきだというのはその通りなのだけれど、読者の側もちゃんとした知識を得るためには努力が必要だということ。それなくして専門家を「説明不足だ」と非難するだけでは不十分だと思います。

  17. dochitebouya_usa Says:

    macskaさま。
    大変ご無沙汰しております
    こちらでのやり取り、いまさらではありますが、自分のサイトに掲載させていただきました。
    メインはHTML1pageで感想は別にBLOGにつけました。
    感想のほうはまた新たに書き込みがあると思いますが、
    一応やり取りの掲載はひと段落つきましたので連絡させていただきました。
    それでは失礼したします。

  18. 川崎市の教育を考える会 Says:

    ダイアモンド教授に対する世界日報記者の取材メール公開の是非・1
    「macska女史に痛罵されたTransNewsAnnex氏」の後半部から続きます。主題は「ダイアモンド教授に対する世界日報記者の取材メール公開の是非」です。マニアックなテーマですから、興味ない方はスルーされてください。「ネオナチ(?)の面目躍如、上野千鶴子氏のICU講演…

  19. 川崎市の教育を考える会 Says:

    八木秀次氏を陥れようとした南日本新聞の悪質なデマ記事
    極めて重要な情報が飛び込んできました。富士山2000さんのところでアップされたエントリーをご覧下さい。■南日本新聞が、捏造記事(正論3月号で八木氏が反論)やっぱりそうだったのかと納得した次第。南日本新聞のフェミニスト御用達、豊島浩一記者。フェミの手先に成り…

  20. 宗方ただし Says:

    私は、ここの文章を読むまで、「性教育」と「ジェンダーフリー」をごっちゃにしていました。ここの文章をよんで、目から鱗が落ちました。
    私は、「性教育」に関する同人誌を作っています。コミケしか参加していないので、あまり世の中に知られてはいないですが。ここの文章のように、説得力のある文章を書きたいので、ただいま勉強中です。これからもたびたびこのサイトに寄りたいです。
    macskaさん、これからもよろしく。

  21. 川崎市の教育を考える会 Says:

    ミルトン・ダイアモンド博士の最新論考
    「現代性教育研究月報」06年1月号にミルトン・ダイアモンド教授の論考が載っている。http://www.jase.or.jp/kenkyu_zigyo/a6.html#dentouvsfemi松浦賢長氏の論考を載せた同誌ネット版の目次をちらちら見ているうちに気が付いた。紙媒体掲載とネット版公開が同時期だと…

  22. 川崎市の教育を考える会 Says:

    「嘘から始まったジェンダーフリー」をダイアモンド教授が追認!
    ミルトン・ダイアモンド教授が「現代性教育研究月報」06年1月号に発表した「現代日本文化の中の伝統主義者vs.フェミニスト〜『自然vs.相互作用』論争とその社会的意味づけ〜」について。■ミルトン・ダイアモンド博士の最新論考(06.03.17)先日、macska女史に関するエ…

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