「なんでも女性差別」の馬鹿フェミがニューメキシコの砂漠に出没

2005年8月4日 - 1:11 AM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

下書きした順番から言えば、1つ前の記事よりこっちの方が古いんだけど、最終ラップで追い抜かれてしまったのが今回のエントリ。内容は、先週ニューメキシコ州アルバカーキに仕事で行った時の愚痴話。とゆーか、あのあたりって砂漠のくせに高地なのねー。高山病で頭がガンガン痛くなるし、ちょっと歩くだけで息切れしてしまいました。夜は口がパリパリに乾いて30分毎くらいに起きてしまうし… そのように健康状態が悪かった時に起きたのが今回の事件。
今回のお仕事は、New Mexico Coalition Against Domestic Violence (要するに、ニューメキシコ州の反DV産業の業界団体ですな)の総会でワークショップをやるコトだったんですが、無事にワークショップを終えていつものようにブースを貰って自作の冊子やらバッジを売ってたら、NMCADVの事務局長さんがやってきて、バッジの内容がけしからんから店を畳めって言い出すのね。
まー主催者のトップにそう言われたら弱いわけで、じゃああなたが問題があるというバッジはどけるからどれがダメなのか教えてって言ったら、あれもこれもダメみたいな形で、半分以上のバッジが検閲されてしまいました。
検閲されたバッジの内容というのは、例えば「Bad Girl」と書かれたやつ。事務局長さんに言わせると、「女性を非難してDVを正当化するバッジだ」と言うのだけれど、そんな意図のわけがないでしょーが(笑) 女性が自分に与えられた性役割を逸脱すると「bad girl」と呼ばれて差別の対象となるということを元にして、自らそのラベルを名乗ることで性役割や男尊女卑社会への反逆と抵抗を宣言するフェミニズム的なバッジである、みたいに説明したんだけど通じなかった。
「I Love My Cunt」というバッジでは、「cunt」というのはもちろん女性の外性器の蔑称であり、女性自身に対する蔑称でもあるのだけれど、そのように女性を蔑む意味で使われてきた言葉を取り返してポジティヴな意味で使ってしまおう、というのは今時珍しくもない発想で、現にそういう趣旨の「Cunt」という本もあるのだけれど、やっぱりダメ。女性に対する差別的な用語だから絶対に認められないって言うのね。
あと、一見どこが問題か分からなかったのに「Lame is Sexy」とかね。「lame」というのは「つまらない、カッコ悪い、ウザイ」みたいな意味でよく使われる言葉だけれど、もともとの意味は「肢体が自由でない」ことなのね。だから、障害者を指す言葉をそういったネガティヴな意味で使うのはやめようという意味で、「Lame is Good」とか「Lame is Sexy」とかいうポジティヴなメッセージと組み合わせる戦略を取っているのだけれど、事務局長さんに言わせると「セクシー」という言葉は女性の性的対象化を想像させるからダメらしい。どこにも「女性」だなんて書いてないんだけど…
あんたバカじゃない?って言いたくなったけど、講演料を貰うまで我慢。しっかしー、世の中にはこういう変な人がいるんですよねー。文脈を読めないというか、悪い方悪い方に読まないと気が済まない人が。単に「お前の表現は下品だから嫌い」とでも言ってくれれば、まだ納得できなくもないんだけど。
それでね、「不適切」とされたバッジは全部ひっくり返してテーブルの端にまとめて置いて、「これらのバッジは NMCADV の事務局長さんによって検閲されました」という掲示をしたら、10分後くらいにそれに気付いた彼女がまた戻ってきて、そもそもあなたはブースの使用料を払っていないからブースを持ってはいけない、今すぐ撤去しろって言い出すの。確かに使用料は払っていないのだけれど、ワークショップを引き受ける際に条件の1つとして「ブースを無償で提供する」という約束をしていたのだから、後から取り上げるのは契約違反。なんだけど、「他の講師は誰もブースを開いたりしていない、あなただけに認めるわけにはいけない」とか言い出して、無理矢理撤去させられてしまいました。他のコンファレンスで今まで一度も文句言われた事ないんだけどって言ったら、「ニューメキシコでは、わたしのコンファレンスでは絶対に認めない!」と凄まれてしまったんだけど、それってなんだかコンファレンスどころか州全体私物化してません?
こうしたやり方って、汚いなーと思った。わたしのバッジの表現は確かに毒があるし、下品と言われれば下品な表現かも知れないけれど、意図されたメッセージとしてはフェミニストとして真面目なメッセージを込めてやってるわけよ。フェミニズムなりDV反対運動の内部に、そういう異質な表現が多少はあってもいーじゃんかってわたしは思うんだけど。それが不快な人は、どうして不快なのか意見をぶつけてきてくれればまだ対処のしようもあるのだけれど、いきなり「撤去しなさい」と命令したうえに、「検閲が起きてますよ」という事実を周囲に伝えることすら妨害するんだもの。つくづく、ああいう大人にはなりたくないと思った。
今後の予定としては、取りあえず講演料の小切手がちゃんと届くまで待ってから、DV業界に広く NMCADV の恥をさらしてやるつもり。でも、これでまたまたDV業界でお仕事させてもらう機会が減りそうな予感(笑)
あ、ワークショップの内容? DVシェルターがいかに抑圧的かという話と、それを変えるためには制度的変革が必要だという、いつもやってる話の繰り返し。1つ例をあげると、DVシェルターではカウンセリングやサポートを担当するスタッフが、同時にルール違反がないか監視したり警告を与えたりする役割も与えられているため、到底マトモなカウンセリングは成立しないとかね。これは、もっといいカウンセラーがいたら良いとかルールがもっと柔軟であれば良いという次元の問題じゃなくて、構造的に変革しなくちゃどうしようもないでしょ。そういう、一般のスタッフにとっては「どうしようもない」話をさんざんして無力感を煽ったあとで、「あなたたちに今すぐできることは、スタッフとしての自分自身がシェルター制度によって搾取されていることに気付き、声をあげることだ」と煽動しちゃったり。
なぜそんな煽動をするかというと、シェルターという空間における「女たちの麗しき助け合い」的なウソっぽい空気を一掃しなければ「シェルターの構造によってサバイバーたちが傷つけられている」という現状が隠蔽されるばかりだから。サバイバーの側に直接働きかけて「サービス受給者連合」みたいなのが作れたら理想的なんだけれど、それは難しいから取りあえず安い給料で末端の重労働に携わっているスタッフたちに火を付けることから始めるのがわたしの考える第一ステップ。第二のステップとして、自治体に働きかけるなどしてサバイバーからのシェルターに対する苦情を受け付けるオンブズパーソン的な機構を作るという目標があるけれど、それが可能になる前に「シェルターはきれいごとじゃない」ってコトを誰の目から見ても明白にしなくちゃいけない。だから、まずは労働者の煽動からはじめるわけ。
この話は、またいつか別に詳しく書いた方がいいかな。今回書きたかったのは愚痴だけだから。ニューメキシコの名誉のために付け加えておくと、地元の Queer Women’s Project という団体の人たちに歓迎イベントを開いてもらったり、日系人の活動家に食事に誘ってもらったりして、健康状態は悪いなりに楽しかったです。今度来るときは、サンタフェまで足を伸ばしたいな。
ところで、NMCADV のブースでは、DVに関する教育プログラムでよく使われる「力とコントロールの車輪」が印刷されたマウスパッドを配布してたけど、あれは何だったんだろう? あんなのマウスパッドにして何かいい事ありますか? と言いつつ、おもしろがって2つ貰ってきてしまったけど。

4 Responses - “「なんでも女性差別」の馬鹿フェミがニューメキシコの砂漠に出没”

  1. xanthippe Says:

    macskaさん こんにちは 
    お話は少し違うのですが、日本のDVシェルター(?)で暴力団がやっているのがあって、そこに逃げ込んだ人たちが売春をやらされているという事件がありました。日本ではシェルター自体がまだまだ少ないし、私財をなげうつ、見たいな形で皆さん一生懸命されているのだけれど、こんなのが出てきてびっくり。おっしゃるように、そのうちシェルターオンブッドが必要になるかもしれない、と思います。シェルターでの二次被害も時々聞くので、私も一応トレーニングを受けてDV支援のメンバーには入っていますが、直接関わる自信はまだ無いです。

  2. Macska Says:

    えー、そんな事があったんですか? 報道記事とかないでしょうか?
    シェルターオンブズも必要だけれど、それ以前にシェルターというのはあんまり有効な対策ではないと感じています。というのも、シェルターを維持するための膨大なコストと比べて効用の方はかなり怪しいのです。
    例えば、シェルターに来た人の中で、それをきっかけに暴力的な関係から逃れて新しい生活をはじめようとする人もいれば、また暴力的なパートナーの元に帰って行く人もいます。もちろん、どちらの選択も当事者が自分の意志で決めたものであり尊重されるべきですが、仮に「シェルターがあってもなくても、逃げる人と戻る人の割合は変わらない」のだとすると、シェルターの存在意義は何なんだろうって事になります。だって、虐待の件数は変わらないまま、ただシェルターに滞在していた分だけタイミングをずらしているだけって事になっちゃうでしょ。
    もちろん、毎日虐待を受けていたであろう人に、ほんの数日でも安全に暮らせる期間を与えることができたならそれで良いという考えかただってあるでしょう。でも、シェルターの維持にかかるコストは膨大です。もし他に、より効率良く虐待を減らしたり被害者が逃げるのを助ける事ができるプログラムがあれば、そちらにもっと資金を投入するべきですよね。そういう感じに、さまざまなDV対策の費用/効果分析をやっているフェミニスト経済学者がいるんです。
    その話は、別の機会にまた詳しく書こうと思いますが、とりあえず「DV対策と言えばシェルター」といった短絡的な連想はやめるべきだと言っておきます。米国みたいに何千カ所ものシェルターができてしまうと、数万人の雇用を抱える産業となってしまって資金を別の分野に転換しにくくなってしまうので、それほどシェルターがない今の時点から日本のフェミニストや施策者は、コスト意識を持ってアメリカの猿真似でないDV対策を考えて欲しいです。

  3. 世界からの代弁者 Says:

    なんでもかんでもDV
    国に騙されているだけです。
    シングルマザーにさせて、雇用を増やそうとしてるだけです。
    女性の雇用が少ない国は、他国から信用を失い男女平等じゃない国だと批判されるからです。
    国としてもGDPが上がれば、それに越した事はないのです。
    いわゆるフェミニスト達と利害が一致したと言う事なのです。
    憲法は最高法規なのにも関わらず憲法も国際条約も守らないこの国はもうすでに、国として破綻しているとしか思えません。
    世界中が日本に対して思っている事と、日本人が世界にこう思われてると言うニュアンスは全く違います。
    もうそろそろ日本人も気付かなければいけない時がそこまで来ています。
    世界の声を聞いてください!!
    ニュースでは絶対にわかりませんよ!!
    世界からは中国や北朝鮮と変わらないと思われています。
    今の事実より真実を皆さんは見ていただく事をお願いします。

  4. 弱杉 Says:

    同じ言葉であっても、誰がどんな文脈で言うかで
    ニュアンスが全然違ってきますよねー。

    なんせただのバッジですから、
    「Bad Girl」なんかはmacskaさんの意図とは逆に
    女性を非難する意図で使う事も
    簡単にできてしまいます。

    そんな使われ方をした時に
    「誰がこんなバッジ作ったのか」とか
    「誰が販売を許可したのか」
    みたいな話になる可能性もあるので、
    これに関しては主催者の懸念はわからなくもないです。
    まあ私が主催者なら許可しますけど。

    しかし「Sexy」という言葉がダメというのは
    すごいですね。
    ラジカルフェミニズム的には普通の発想なんですかね(??)

    申し遅れましたが、自分の記事で
    macskaさんのサイトを紹介させていただきました。
    もちろん肯定的な意味での紹介です。
    もし不本意ということであれば削除・訂正しますので
    ご連絡ください。
    全然読者もいなくて影響力皆無の記事です。

    https://note.com/yowasugi/n/n9728ecd0fe56

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