労働争議でグダグダになってるWANを再生させる5つのアイディア

2010年3月3日 - 10:05 PM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

NPO法人WAN(ウィメンズ・アクション・ネットワーク)における労働争議(労働者に対する労働条件の不利益変更の一方的通告からはじまり、それに労働者が組合を作って抵抗したところ、組合員二名に解雇勧奨通知)に関連して、普段あんまり署名活動とか参加しないわたしも労働争議を支援する署名の呼びかけ人にまでなってしまっているのはご存知の方も多いと思う。てか呼びかけ人なのにこれまで全然自分のブログで呼びかけてなかった、ごめんなさい。
ちなみに、普段わたしが署名活動にあんまり参加しないのは、署名を集めることが自己目的化してしまって、何の効果もないのにたくさん署名を集めただけで満足してしまっている例や、できるだけ多くの人の支持を集めようと、物事をあまりに単純化してしまったり、当たり障りのないことしか言えなくなってしまっている例が多いと思うから。それは別にしても、わたしの運動のスタイルとして、大勢の人に賛同してもらって何かに動員するとか支持を誇示するのではなく、大勢の人が当たり前に思っていることを揺さぶって一瞬立ち止まって物事を考え直してくれるように働きかけるような行動をよく採用しているので、署名やデモ行進みたいなスタイルと相性が悪いのも確か。
そんなわたしがなんで今回は署名の呼びかけなんてやっているかというと、WANの理事をつとめているフェミ学者さんやその取り巻きたちが、署名が大好きな人たちだから。上野千鶴子さんが保守派の抗議によって講演を中止させられたときや、公共施設から「ジェンダー」関連の書籍が撤去されたときなど、もうそれは見るからにいきいきと、わいわいがやがや声明の内容を議論し(もちろん某秘密主義MLで)、署名集めに没頭していた。あれだけ署名に熱くなれる人たちなら、普段あんまり効果があるとは思えない署名にも、少しは効果があるかもしれないと思ったのね。まあ実際のところ大して影響なかったみたいだけど、少なくとも支持者に向けて一応の言い訳じみた説明文書を引き出せたのは良かったかも。
それはともかく、最近のWANの「プチリニューアル」を見ても、なんか背景に変な模様が付いたな、以外に特にどう変わったかが分からないし、内容もあいかわらずフェミな学者による旅行記や映画の感想のような、そんなのわざわざ読みたくねーよとしか思えないような記事ばかり。「労働争議は応援するが、WANのような活動は必要」という人も多くいるけれども、本当にいまのWANみたいなのが必要なのかちょっと怪しく感じる。そこで、WANを閉鎖に追い込むのではなく生かすために、今後どうすればよくなるか、案をいくつか考えてみた。
【WAN 2.0】
一般的には、もう「web 2.0」なんて既に死語だけど、WAN界隈は世間より3年くらい流れが遅れているので、いまがちょうど旬かもしれない。いまWANでは個人がアカウントを作ることができるけれども、それでできることは、団体の登録とか活動報告の投稿などのみ。登録された団体はただ登録された情報と一緒にリストアップされているだけで、詳細もたいしたことがない。一方「読み物」として提供されているコンテンツは、前述の通り偉い学者センセイらの素朴な旅行記や映画感想文みたいなものばかりで、よほど上野千鶴子さんやその周辺の人たちのファンでなければ、読んでも面白いものではない。
そもそも、著名な学者らにエッセイを書かせることで集客しようという考え方が古いのではないか。せっかく個人アカウントが作れるようになっているのだから、ソーシャルネットワークサイトのようにしてユーザがエッセイや書評や活動報告などユーザ生成コンテンツをアップロードしたり、気になる他のユーザの記事をフォローしたり、感想や意見を交わすことができるようにしてはどうか。もともとWANでは掲示板のようなものが作られると予告されていたのだけれど、さすがに管理の困難さを考えたのか、いつの間にかその企画自体が「なかったこと」にされてしまったのだけれど、SNSに付属させるかたちであればユーザ同士の交流も可能なはず。もし本当にWANを使えるサイトにするなら、この路線が本命だと思う。基本的な機能は無料で使えるようにして、より深く使いこなすには有料アカウントを取得してください、みたいな形で資金も調達できると思う。
【「女たちの便利帳」後継】
女性に役立つさまざまな情報を大量に掲載した「女たちの便利帳」という書籍は、ジョジョ企画という団体が20年前から発行してきたものだけれど、昨年発売された第6版をもって終刊となった。この「便利帳」には、全国各地のさまざまな運動や取り組みやサービスについて、ネットをどう検索しても出てこない情報がたくさん集まっていて、とても貴重だと思うのだけれど、あれだけの情報をメンテナンスするのは想像を絶する作業が必要なはず。そうした作業を引き継いで継続していけるのは、WANのように資金や規模のある団体しかない。現状では掲載を希望する団体が手動で登録しているだけで、地域や人脈的に限られた情報しか掲載されていない。
この路線を進むなら、まずジョジョ企画からデータベースをすべて譲り受けて、その一件一件に「ネットで公開していいですか」と問い合せることから作業がはじまる。もちろん既に解散した団体や、住所や電話番号が変わった団体もあるだろうから、そうした情報のアップデートも必要。考えるだけでも膨大な作業になるけれども、従業員を解雇せずに継続して雇用しておけばなんとかなるのでは。とにかく、「女たちの便利帳」のデータがメインテナンスされないのは困るので、これは是非やってもらいたい。「女たちの便利帳」は一冊2500円だったけれども、「便利帳」後継を運営するための資金として、年間同額くらいの協賛費なら払ってもいい。
【書評サイトへ転換】
書評というか、書籍紹介サイト。偉い学者の変なエッセイとか全然読む気しないけれども、興味のある分野の書籍紹介ならまぁ読んでみる価値があるとおもう。と同時に、サイト経由で本が売れればアフィリエイト料金としてWANにお金も入ってくるので、運営もなんとかなるかもしれない。まあ要するに、いまのサイトからくだらない「読み物」をばっさり削って、なにか一つに集中しろということ。
【ガチ学問サイト】
学者のエッセイがくだらないくだらないと何度も書いているけれども、一線の学者が自分の研究についてガチで書いてくれたら、そこそこ面白いものになるんじゃないかとわたしは思っている。映画の感想とか旅行記とか書くからつまらないわけで。実際に学術誌に投稿するようなレベルの論文を、専門家というほどではなくても同じ分野に強く興味をいだいていて本も読んでいるような読者に分かるようにガチで解説してくれたら、それは面白いはず。わざわざ面白おかしく書かなくても、自分が面白いと思って何かを研究している人が書けば、それは伝わるでしょ。まあ自分がそういうコンテンツに興味があるというだけで、そういうのを読みたい読者がどれだけいるかは保証できない。
【上野千鶴子ファンクラブ】
このあいだWANでは、東大ジェンダーコロキアムと共催で「新春爆笑トーク 上野千鶴子vs澁谷知美「男(の子)に生きる道はあるか?」というのをネット中継していて、爆笑どころか失笑すらできなくてただただそれをネットで見ている自分が情けなくなってきたのだけれど、上野千鶴子さんのファンたちはそれなりに楽しく鑑賞していた様子。もうこうなったら、「女性をつなぐ総合情報サイト」だなんて言ってないで、上野千鶴子さんの個人メディアとして、上野さんのファンを対象に定期的に上野動画や上野ポッドキャストなんかを流すサイトにしてしまえばいいような気が。もちろん上野さんだけじゃなくて、上野さんと仲の良いゲストを呼んできてもOK。とにかく、不当労働行為とかするなら、せめて「女性をつなぐ」という看板だけは下ろしてください。
…と、あんまり深く考えないでいくつかアイディアをあげてみたけれども、みなさんはどう思いますか? 他にいい案があったら教えてください。

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