「Fahrenheit 9/11」のTVCMは選挙資金規制法違反?

6/24/2004 - 12:02 am | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

連邦議会専門紙 The Hill に載った記事 (06/24/2004) によると、マケイン=ファインゴールド選挙資金規制法の規定により、マイケル・ムーア監督の話題作「Fahrenheit 9/11」のTVCMが7月30日から禁止される見込み。選挙資金規制法では、民主・共和両党の大統領候補指名が行われる直前の30日間と大統領選挙の直前の60日のあいだ、「名前やニックネーム、映像や似顔絵などを含む候補者に対する何らかの言及するTVCMを企業がスポンサーすること」が禁止されている。

一応選挙資金規制法には「メディア例外規定」というのがあって、メディア関係者は禁止期間中でも候補者について言及することが認められている。「企業によってスポンサーされた」という部分を拡大解釈するとテレビのニュース番組までもが候補者に触れてはいけない事になりかねないので、報道の自由は守りますよ、という趣旨だと思うけれど、この「メディア」に映画の宣伝が含まれているかどうかが問題になっている。連邦選挙委員会の顧問弁護士の見解では、昨年の最高裁判決に基づいてここで言う「メディア」に含まれるのは普段から報道に関わる企業だけであり、今回のケースは含まれないと判断している様子。

こうした規定の趣旨は良くわかる。今でさえ選挙の前になるとたくさんの選挙CMが流れていて毎年選挙の度にうんざりするわけだけど、企業が直接お金を出してそうしたCMを無制限に投入して特定の候補を当選(あるいは落選)させるようなことがあっては困るから。でも、「Fahrenheit 9/11」の広告は選挙戦を左右する目的のものではなくて、あくまで映画の宣伝のはず。もちろん、映画そのものはブッシュの落選を狙っているわけで、間接的には反ブッシュの効果があるかも知れないけれど、一律に禁止されてしまっては政治的なドキュメンタリ映画というのが商業的に成り立たなくなってしまう。

かといって、ドキュメンタリ映画の宣伝であれば良いのかと言われると、やっぱりそれも問題かも知れない。企業が候補者支援のCMを流す代わりにテキトーにドキュメンタリ映画を作って、それの宣伝という口実なら何をやっても良いという事になってもまた困る。そうすると、無制限な抜け穴を作らないためにも、ムーアの映画のCMが規制を受けるのは仕方がないかな、とも思う。

Fahrenheit 9/11 のサイトに掲載されたTVCMを観たところ、ブッシュ大統領が登場するカットは2カ所だけで、セリフも1度だけ。ドキュメンタリの主題が広告に出せないというのはややこしいけれど、期限の7月末までになんとかうまく編集しなおして法律に触れないCMを作って欲しいな。こんな事でごちゃごちゃ法廷闘争したって意味ないんだし、保守派につけ込まれる要素は少ない方がいいでしょ。ムーアほど有名でないドキュメンタリ作家の作品の宣伝をどうするかという問題は残る(ムーアの映画については既に広く知られている)けど、そういう人たちの見本にもなるような斬新なCMをお願い。

*追記* 後から知ったけれど、6月16日付けのThe New York Times の記事によれば、ムーアが前作「Bowling for Columbine」で対決した保守系団体全米ライフル協会 (NRA) は、なんと堂々と「NRAニュース」なるラジオ番組を毎日「報道」の建て前で(すなわち、選挙資金規制法に制限されずに)流すらしい。さすがNRAはやる事が違うと唖然。これが許されるなら、マケイン=ファインゴールド法は骨抜き同然。

One Response - “「Fahrenheit 9/11」のTVCMは選挙資金規制法違反?”

  1. Yoko Says:

    Mooreさんが、28日のカナダの総選挙で、ハーパー党首率いる保守党には投票するな!と言ってるらしい。

    Fahrenheit 9/11 filmmaker burns Harper
    http://www.cbc.ca/stories/2004/06/24/world/moore040624

    カナダの総選挙、マーチン首相の自由党が大苦戦して政権交代の噂もちらほらだったけど、ここへきて挽回しつつあるらしい…

    ま、保守党は京都プロトコルの破棄を明言しているし、それ以前に同性婚の行方を左右するこの選挙、目が放せません。

    どうでもいいが、宝石万引きするなよ(^_^;)>ロビンソン