ごめんなさい、言い過ぎました

2004年6月21日 - 11:51 PM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

「世界キリスト教情報」が「米市民的自由連合(ACLU)のメンバーがロサンゼルス市の市章シールに十字架があるのを発見した。[…]ACLUは違憲だとして、十字架の消去を求め訴えている」と報じた件について、「そもそもロスアンヘレス(英語読みでロスアンゼルス)市章に十字架なんて描かれていない!」としてウソと断じたけれど、わたしの間違いでした。というか、「世界キリスト教情報」の記事に間違いがあるのは事実だけれど、全くのウソでもなかったの。「いくらなんでも、そこまでわざとらしいウソつくかなぁ」と思って再度チェックしたところ、ロスアンヘレスのシンボルから十字架の削除を巡る騒動は確かに起きているんだけれど、問題となっているのはロスアンヘレス市の市章じゃなくて、ロスアンヘレス郡の郡章だったのね。
County of Los Angeles Seal
郡というのは市と州の中間にある行政単位で、わたしの住むポートランドだとマルトノマ郡に含まれる。ロスアンヘレスは同じ名前で市と郡の両方があるから、「世界キリスト教情報」は間違って報じてしまった様子。キリスト教保守派のChristianity Today誌の記事などを総合すると、ACLU による抗議を受けて開かれた今月1日の郡行政官の会合においてしばらく郡章の歴史的意義について議論した後、郡顧問弁護士と相談するために非公開でこの問題を審議することが決議された(裁判に訴えられる可能性があるので、弁護士と相談する際は非公開にする)。
早速ロスアンヘレス郡のウェブサイトからそのミーティングの記録をダウンロードして読んでみたところ(6月1日のファイルで、35〜82ページ)、思ったより理性的な議論が行われていることに感心した。もちろん「ACLU はなんだかんだ言って宗教撲滅を狙っているんだ」的なヘンな主張も聞かれるけれど、十字架の歴史的意義を認める人の中にも、ロスアンヘレスの歴史におけるスペイン人ミッショナリーの役割を残す事が重要なのであって、十字架そのものが重要なのではない、という点には合意していて、十字架を消す代わりにミッショナリーの歴史的影響を表す別のシンボルを含めるならそれでも良いという妥協案も出ている。また、行政官の中からは「歴史的経緯を表すと言うが、ミッショナリーより先にこの地に住み着いた先住民族の文化の象徴が含まれていない」ことや、「ミッショナリーの貢献と言うが、植民地主義や奴隷制と結びついたものだった」という指摘もあった。
上で挙げた Christianity Today の記事では「キリスト教のシンボルだけをことさら問題にするのはキリスト教徒に対する差別である」という主張が載っていて、まぁ物事は言おうと思えば何とでも言えるものだと呆れる。あの十字架が郡の歴史を示すものであって特定の宗教を奨励したものではないと言うなら、それが削除されたってキリスト教徒が傷つく事はないじゃないの。ま、わたしもエラそうに間違った情報に基づいて他人をウソ付き呼ばわりしたくらいだから(そもそも相手が市と郡を間違ってレポートしたのが悪いのだが)、あんまり大きな事言えないけど。

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