クリントン自叙伝にNYT名物書評者の洗礼、というハナシ

2004年6月22日 - 11:18 午後 | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

CNET Japanの記事「クリントン前大統領の自叙伝、ウェブ上でも人気が過熱」から:

だが、ほかの評者はここまで甘くない。The New York Times紙のレビューでは同書を「感傷的で独り善がり、そして眠くなるほど切れ味が悪い」と評している。「A Pastiche of a Presidency(大統領のモノマネ)」というタイトルのこのコラムは、米国時間20日に掲載された後、ウェブ全体に幅広く転載された。

「Pastiche」というのは単なる「モノマネ」じゃなくて「いろいろな所から借りてきたモノを混ぜ合わせたモノ」だから、レッシグ的にはOKじゃないの?、という感想はさておき、このNew York Timesの書評 (06/10/2004) は確かにムチャクチャ厳しい。評者のミチコ・カクタニという人はピュリツァー賞も受賞した有名書評者なんだけど、わたしの知る限り罵倒書評ばかりたくさん書いているような気がする(まぁ彼女に絶賛された本だってあるんだろうけど)。
さらにカクタニ氏はクリントン前大統領自叙伝の書評が載った10日後に掲載されたヒラリー・ロダム・クリントン上院議員の自叙伝「Living History」の書評 (06/20/2004) も書いていて、これまた同じく罵倒調の内容。一応カクタニさんの名誉のために言っておくと、彼女はリベラル派の著書も保守派の著書もまとめてぶった切る辛口書評で知られていて、「カクタニは頭が良すぎる」と恐れられていたりするわけで、政治的に偏向しているというわけではないと思う。とはいえ、リベラルの立場からメディアの偏向を監視する団体 Media Matters For America の分析を見ると両書評にはほとんど同じ内容の批判がリサイクルされているようで、ちょっと手抜きな感じはする。
もう1つ Media Matters が主張しているのは、実はクリントン夫妻が本の中でホワイトウォーター事件に関連した New York Times の報道姿勢を批判しており、その事を明らかにせずに辛口の書評を載せるのは卑怯ではないかという指摘。ホワイトウォーター事件では複数の特別検察官による厳しい捜査でもクリントンによる違法行為は見つからなかったのに、カクタニ氏は New York Times に載った(間違っているとクリントンが批判している)記事を根拠に「クリントンは嘘をついている」と指摘しており、その辺りも疑問。
まぁ、書評される本の中で New York Times 批判が再三展開されていた事くらいはちゃんと開示すべきだと思うけど、コラムニストだけでなく書評者に至るまでそういう個性のあるライターがいるというのが New York Times の魅力であるわけで、いーんじゃないの。かのポール・クルーグマン教授も最強の反ジョージ・ブッシュ・コラムを書いているし、日曜版(というか New York Times Magazine)にはランディ・コーエンのスバラシイ倫理相談もあるし。もちろんわたしの嫌いなコラムニストもいるけど、右から左まで全部ちゃんと揃えてしまうところがマードック系の右派メディアとの違い。右派メディアだと、1つの視点しか載せてないからね。

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