ウソだらけの「世界キリスト教情報」記事

6/21/2004 - 5:44 am | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

12日に載せた「ブッシュ大統領が法王に『お願い』だとか」の記事くれに関連して Yoko さんが面白いコメントを寄せてくれたので、それに便乗。

政教分離といえば、最新の「世界キリスト教情報」6/21号に載ってた
http://cjcskj.exblog.jp/m2004-06-01/#488943
「米国で都市のシンボル「市章」のキリスト教色が問題化」には大笑いしました。
たしかに、シンボルはともかく、地名はどうしようもないわなあ。。。

見ました。面白いですねぇ。

で、一応一方の当事者である ACLU のサイトでそういう内容の活動を探してみたところ、こんなのが見つかりました:

The Fish Must Go: Court Rules Missouri Must Remove Religious Symbol from City Logo
http://www.aclu.org/ReligiousLiberty/ReligiousLiberty.cfm?ID=8611&c=29

1999年の裁判ですが、ミズーリ州のレパブリックという小さな街(あ、昔住んでたところのすぐ近くだ)のシンボルの中にキリスト教のシンボルが含まれていた件で、連邦判事によって政教分離に反するので30日以内に削除せよという命令が出された、というものです。紹介していただいた記事だけ読むと「町側は勝訴するとしても裁判に税金を使いたくないとして、要求に屈してしまう」と書かれていますが、現実にはちゃんと係争して敗訴しているようです。裁判で争わずに要求に屈する街があるとすると、それは既に前例があって敗訴が目に見えているから屈するわけであって、「勝訴するとしても裁判に税金を使いたくない」なんていう見苦しい言い訳はよして欲しいな >世界キリスト教情報さん

それはいいとして、そのレパブリックという街、こちらにレパブリック市公式ページがあるのですが、そこに載せてある市のシンボルを見てみると、なんだか不思議な白い空白が… こんなのです:

City Seal

あのー、裁判に負けてキリスト教のシンボルを削除しなくちゃいけなかったからって、その部分を白くくり抜いてそのまま5年間も放置しておくって、いくら何でもヘンじゃないですか? 円を3つに割る形にするなり、新しいシンボルを公募するなりしてみてはいかがでしょーか? それとも、あえて白いまま残す事で判決に抗議でもしているのかな? もしわたしが住民なら、恥ずかしいです。まだキリスト教のシンボルが入ってた方がマシかもしれない…って、そりゃダメか。

しかし、5年も前の話が突然キリスト教系のサイトで話題になるのはおかしいぞ、と引き続き調べてみたところ、おそらく今回の件のネタ元と見られる2004年6月7日付けの記事を発見。

Federal Appeals Court Upholds ACLU Charge That Cross in Mojave Federal Preserve Violates Constitution
http://www.aclu.org/ReligiousLiberty/ReligiousLiberty.cfm?ID=15916&c=29

記事を要約すると、連邦控訴裁は、モハベ砂漠保護区(国立公園)のシンボルに十字架が含まれていたのは憲法違反であるとする一審の判決を全員一致で支持した、というのがこのニュース。一方の当事者のプレスリリースなので間違いがないように一応 Washington Post の記事も挙げておくけど、判決の内容は ACLU の言う通り。

記事を読むとこの論争はもうちょっと入り組んでいる。そもそもこの場所には1934年に退役軍人の団体によって第1次世界大戦で死亡した仲間を追悼するための大きな白い十字架が設置されており、国立公園になったのはそれよりずっと後の1994年。1999年には市民による「仏教徒の戦死者を弔うために十字架のすぐ側に仏教的なシンボルを設置したい」という要望を国立公園側が拒絶したため、戦死者追悼というよりは公共の場所で特定の宗教を政府が支援しているのではないかという疑いが強まった。その後 ACLU が国立公園及びそのシンボルからの十字架の撤去を問う裁判を起こしていて、今回判決が出たのはシンボルの方。十字架そのものの物理的な撤去については現在係争中との事。

seal of LA, CAここまで事実関係を調べてみると、上で指摘した事実に輪をかけて「世界キリスト教情報」のレポートには間違いや印象操作が多い。まず第一に、問題となっているのは国立公園のシンボルであってロスアンヘレス(英語読みだと「ロスアンゼルス」)の市章シールではないし、今回の論争自体、国立公園の中に特定の宗教のシンボルを設置すること(そして、他の宗教のシンボルを設置させないこと)の是非を問う中でロゴの中の十字架が問題となったわけで、他にやる事のない ACLU のメンバーがたまたまシンボルの中に十字架を発見した、という呑気な話でもない。

さらに「世界キリスト教情報」では、「市章は市の歴史的遺産を示していることから、スペイン人によるキリスト教布教にまでさかのぼって取り入れられたもののようだ」という解説まで書いてあるけれど、全くの作り話。だって、そもそもロスアンヘレスの市章に十字架なんて描かれていないんだもの(ただし、カトリックと関係の深いロザリー…というか数珠みたいなんだけど…は描かれている)。ここまで詳しく書いておいて単なる「勘違い」という事はないだろうから、多分意図的なんだろう。

キリスト教ってのは、こんなウソだらけの扇動記事を流しても天国に行けちゃうわけですか?

One Response - “ウソだらけの「世界キリスト教情報」記事”

  1. Yoko Says:

    スンマソ。シンボルまでは見てなかった。。。(^_^;)
    地名についての話が面白かったので…

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