はじめに

ミーガン法の基礎知識

 歴史的経緯
 ミーガン法の仕組み
 おもな論点

ミーガン法の現在

 ミーガン法の効用
 ミーガン法の弊害

性犯罪と再犯率

 再犯率とは何か
 米国における再犯率
 日本における再犯率

性犯罪者更生プログラム

 刑罰
 カウンセリング
 条件付け
 化学的・外科的去勢
 認知行動療法

参考文献

macska.org 関連記事

  1. いわゆるミーガン法について
  2. ミーガン法ふたたび
  3. ミーガン法にトドメをさす
  4. ネオリベラリスティックな衝動に抗して
  5. 性犯罪者更生プログラムの是非、および小児性愛者との共生の可能性
  6. 同性間DVの取り組みから学んだ「公共的想像力」

ご意見・ご感想など

ご意見・ご感想や追加の情報などは、macska@macska.org に送ってください。また、macska.org の関連記事にコメントやトラックバックをつけることもできます。

はじめに

ミーガン法とは、米国および他の一部の国で、性犯罪者による再犯を防ぐ目的で制定された法律である。この法律により、執行猶予になった加害者や刑期を残して保釈された囚人だけでなく、刑期を満了して釈放された者も含めた「性犯罪の加害者」は、住所やその他の個人情報を登録することが義務づけられ、また警察はそうした情報を加害者の住むコミュニティに告知するよう定められている。

日本でも悲惨な性暴力事件が起きるたびに一部からミーガン法の導入を求める声が聞かれたが、2004年末に奈良で起きた小学生の少女誘拐・殺害事件においては特に、逮捕された容疑者が過去に子どもに対する性的搾取の複数の前科を持つ人物であったことが分かり、マスコミや政治を通してミーガン法を求める世論が噴出するのが間違いない。

わたしはリベラリズムの立場から、かねてからミーガン法的なものに懐疑的であったが、ここ2週間ほどのあいだメーリングリストやブログで様々な主張・立場の方々と議論するなかでさまざまな資料を読み漁った結果、ミーガン法は有害無益であり再犯予防には別の手法がより有効であることをますます確信するようになった。このサイトは、そうやって様々な場所でバラバラに紹介した資料を一カ所にまとめたものである。

資料を紹介するにあたっては、特に自分の主張に都合のいい資料だけ選別して掲載しているつもりはないが、無意識のバイアスというのは当然あるだろう。もしここに掲載していない重要資料をあなたが知っているならば、このサイト内に掲載するために、是非それをわたしに紹介して欲しい。

ミーガン法を支持する方がこのサイトを読むと、内容が一方的で不当であるように感じられるかも知れない。そこで提案なのだが、そう感じるあなた自身が、ミーガン法を肯定する資料を集めた「まとめサイト」を作ってみてはいかがだろうか。もしそういったものが完成したら、相互リンクをお願いしたいと思っている。わたし一人が中立の立場に立って資料を紹介しようにも無意識によるバイアスという限度があるが、意見の違う者がお互いに資料を紹介すれば、まだ意見を決めかねている第三者にとって最も有益であるとわたしは考えている。

いずれにせよ、このサイトにおいて紹介した資料がより有意義かつ建設的な議論のために利用されることをねがってやまない。

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このサイトに対する意見や感想は、わたしまで直接 メールで送ってくださっても構わないですし、表ページ(ブログ)のコメント欄でもコメント及びトラックバックを受け付けています。

なお、再犯率の議論においては、なんばりょうすけさん、deadletter さん、山咲梅太郎さんの各氏のブログエントリを参考にさせてもらいました(各エントリへのリンクは参考文献に含めてあります)。すばらしい情報をありがとうございます。

更新履歴

【2005年1月7日】 サイト一般公開。同日、ほつまさんの指摘を受け、用語がいい加減だったことに気付き修正。あー恥ずかし。

【2005年1月8日】 ひびのまことさんの指摘を受け、条件付け療法についての文脈で「同性愛者たちを対象に」という部分を「同性愛者とされた人たちを対象に」と修正。また、「小児性愛者」を「子どもを性愛の対象として求める人」に修正。

【2005年1月9日】 なんばりょうすけさんの指摘を受けて、犯罪白書における「保護観察中の再入所率」を見ると性犯罪の再犯率が他の犯罪に飛び抜けて高いかどうかを「判断する程度は可能であると思われる」という部分を「ある程度の示唆を得ることは可能であると思われる」に修正。確実な判断は不可能との指摘を受けて。