お手軽に公選法違反ができるサイト、作ってみようかなぁ

2005年8月15日 - 1:05 PM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

以前書いた AFL-CIO 分裂劇についてのエントリのコメント欄で「どうして日本ではグラスルーツもネットルーツも機能しないんだろう」という人がいて、そんなデカい話をいきなり振られても答えようがないよーと思ったんだけど、その時わたしがど忘れしていた具体的な障害として、日本の場合は公職選挙法上の「文書図画の頒布」規制があったわけだよね。
具体的には、多分公選法146条のこれ:

第146条 何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第142条(文書図画の頒布)又は第143条(文書図画の掲示)の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。

で、わたしとしてはかなり納得がいかないんだけれど総務省のエラいお役人さんによるとウェブサイトも「文書図画」の一種とみなされるから、公選法によって規制されるらしい。
でも、そもそもこの規定は、選挙資金の量によって使用できる葉書やパンフレット等の量にあまりの差ができたら不公平だという意味で生まれたもののはず。宮台サンに言われるまでもなく、たいした資金をかけずとも個人にも作れてしまうウェブサイトを規制する理由にはならない。むしろ逆に、選挙資金の格差を埋め合わせることでより公平な選挙をもたらす道具として歓迎されるべきだ。
とはいえそういう解釈が裁判で確定すらしないまま、選挙期間中に候補のサイトは更新しない、選挙についての意見は書かない、というのが(少なくとも候補や政治団体のあいだでは)スタンダードになりつつある。肝心な選挙期間中に候補を応援したり反対したりできないんだから、ネットルーツが盛り上がるわけがない。それって、とってももったいない話だと思う。
こういった現状をどうすればブチ破れるか。こういった不可解な規制については「赤信号みんなで渡れば怖くない」的にたくさんの人が一斉に違反することで有名無実化することが有効だと思うのだけれど、主流の候補者にそれは期待できない。そこで、一般の人たちが簡単に公選法違反を犯すことができるウェブサイトを作れないか考えてみる。
そのサイトは無党派で、ただ単に公選法に違反してウェブサイトで文書図画を頒布もしくは掲示するためだけに存在する。そこでは、自分の名前と住んでいる選挙区、支持する候補者や政党とその理由を入力することができ、クリックするとその人だけの公選法違反ページが作成され、トップページからリンクされる。と同時に、総務省宛に「わたし、公選法に違反しました」という、その人のページの URL を明記したメールが送られる。ページにはその人の IP アドレスと作成時間も表示されるので、総務省がその気になれば摘発は可能。誰だか分からないから摘発できない、なんて結論にはさせたくないからね。
で、もし現実に摘発されたら、最高裁まで闘う。そのための資金は寄付を呼びかければなんとかなると思う。1万人くらい賛同する人が出てくれば面白いことになると思うんだけど、どうでしょう?

10 Responses - “お手軽に公選法違反ができるサイト、作ってみようかなぁ”

  1. rna Says:

    音声なら図画じゃないからいいって話があるので PodCast で政見放送とかやる人出てくるかも。

  2. macska Says:

    それは可能だろうけれど、理不尽な規制に正直に適応しちゃ意味ないわけですよ。
    候補者がポッドキャストで意見を発表するのはいい。でも、問題は一般のブロガーや市民団体なんかが「公選法に触れるおそれがあるので」という理由で選挙期間中に自由に意見を発表することを避けるようになってしまっている現状で、それをなんとかしないと米国や韓国であるようなネットルーツの広がりというのは有り得ないでしょ。
    ポッドキャストはバスに乗る時などに便利なのでニュース系の番組をいくつか購読してますけど、個人の意見発表という点では文字のブログの方がかなり優れていると思います。コメント欄のやりとりのようなモノを音声でできるかというとやっぱり不可能ですし。

  3. トニオ Says:

    その話を振った当人ですが、そんな大きいところの障害があったんですね。
    やっぱり、現実のちまちました争点ですら絵に描いたもちになるのは問題ですよね。
    もっと、現実的ででかい所を動かすためには、ネットルーツやグラスルーツの声が必要にあると思うんですよ。
    個人的には、資本主義嫌いだからw社民党をどうにかしたい。おたかさんを生贄にしてどうこうやら、辻元うんぬんじゃ、いつまでたっても(価値判断は別として)社民主義とロシア(中国)マルクス主義は違うんだって話にならないし。フーコー曰く、自分の本の難しさも資本主義下の抑圧だ、とw

  4. rna Says:

    PodCastがOKでなんでWebはダメなんだ!? みたいな形で問題が認知されていけばなぁと。あるいは守旧派がPodCastも禁止にしようとしてヤブヘビになる展開を希望。
    ところで僕は基本的にネット選挙運動解禁賛成なんですが、昨今のようにリッチコンテンツが普及してくるとデザインに金かけられる所が有利になったりしないかなーと思ったりもします。そういうのはしかたがないのかなぁ。

  5. Macska Says:

    > あるいは守旧派がPodCastも禁止にしようとしてヤブヘビになる展開を希望。
    いいですね、それは。でも、守旧派が気付くほどポッドキャスティングって広まるでしょうか?
    > 昨今のようにリッチコンテンツが普及してくるとデザインに金かけられる所が
    > 有利になったりしないかなーと思ったりもします。
    えっと、米国の例を見る限り、リッチコンテンツとかデザインでは人は集まらないと思います。
    人が集まるのは、ブログが面白いくてコメント欄で議論ができるところですね。
    システム自体は、GNU で提供されていて MySQL+PHP で動く簡単な CMS で十分。
    また、主役は候補や政党のサイトではなく、個人や小規模なグループが運営する政治議論サイトになるはず。
    資金の差が出るとすると、ネット広告(有償)ですね。
    でも、それが解禁されるのはネット選挙運動よりずっと先の話でしょう。

  6. rna Says:

    なるほど。日本では個人が作った政治的なflashコンテンツが結構人気あるんですよね。右寄りの内容が多いようですが。「flash見ろ5分でわかるから」みたいにして口コミっぽく広がるようです。

  7. Macska Says:

    ああ、なるほど。
    でも、候補者や政党がたくさんお金かけてマジメくさったflash作っても見向きされないのでは。
    flash作成者ではなく、ここを読んでおけば面白いflashの情報が分かる、みたいな情報ハブが発展する見込みはあると思います。

  8. arai Says:

    現実問題として日本の警察はなにをしでかすかわからないので怖いですね。
    逮捕されてしばらくぶち込まれるくらいならともかく、
    起訴されて有罪になった日には海外移住もできなくなってしまいますし。

  9. うぇぶのほそみち Says:

    更新しちゃ駄目なのか。
    取り敢えずはこちらをご参照。 (以下、テストも兼ねて改行無し) ホームページじゃなくウェブサイトだ、なんてツッコミはもう「ホームページ」が浸透してしまったからあまり説得力…

  10. つぶ庵 Says:

    はじめまして
    ポッドキャストで政見放送をした者です
    本当の候補がやるとしたら、もっとまじめ版なんでしょうか
    お笑い政見放送としてご笑聴いただければ幸いです
    総務省にも来ていただきたいのですが、平均アクセス7件ですので、影響もへったくれもないサイトです。
    以上宣伝で失礼しました

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