ケリー政権閣僚予想(というか大半は個人的な希望だったり)
2004年10月29日 - 4:35 PM | |ちょっと気が早いけれど、10月24日付けのロイター通信に同種の記事があったので、さまざまな噂や個人的な憶測をまとめてジョン・ケリー上院議員が大統領に当選した場合の閣僚を予想してみたい。ただし、わたしの場合「予想」というより「希望」の部分も大きいかもしれないけど。
政権に参加する人材を考える上で、まずはクリントン・ブッシュ両政権の閣僚名簿の傾向をおさらいしてみる。クリントンが特に1期目に重用したのは、学生時代にクリントンと共にローズ奨学金で英国留学を果たしたエリート集団と、アーカンソー時代からの側近集団だった。もともと田舎の州知事だったクリントンにワシントンDCでの信頼できる友人などいるわけがなかったから、当たり前の話だ。それでも一応クリントンは若い頃からホワイトハウスを目指してキャリアを積んできた政治家。次のブッシュは州知事として1期半務めた他に政治経験はなく、大統領に当選…はしなかったけど、とにかく就任したとき彼が頼ったのは過去の共和党政権で主要な地位を占めていたベテランたちだった。
そのどちらと比べても、ケリーは遥かにワシントンDCの議会における政治経験が長い。とすると、ケリー政権では、過去にケリーが共に働いて信頼関係を築いた議員・元議員たちが閣僚の中心となるのは間違いない。それと同時に、党内でクリントン政権高官が持つ影響力を考えると、クリントン時代の人脈もある程度採用せねばならないし(ただし、あんまりケリー政権が成功してしまうと2008年・2012年の大統領選挙でヒラリー・クリントンがエドワーズに勝てなくなってしまうので、クリントン派からの全面的協力はない)、ベトナム戦争従軍体験のある政治家とは党派を超えて結び付きがある。ちなみに現職の議員を閣僚に指名するにあたっては、欠員が生じることになるので、確実に後任に民主党員が任命されるか選出されるという保証がない人物は指名できない(例えば、カリフォルニア州選出の上院議員に欠員が出た場合、共和党のシュワルツェネッガー知事が後任を任命することになるため、同州の上院議員を閣僚に指名することは有り得ない)。それらを考慮して、自分の希望も入れつつ以下のリストを作成した。
国務長官 ジョージ・ミッチェル元上院院内総務(メイン州選出)。クリントンの第2期にも国務長官就任が噂されたけれど、同じメイン州出身の元上院議員であるウィリアム・コーエンが国防長官に指名されたためか見送られた。北アイルランド和平交渉を仲介するなどの外交経験。メディアではリチャード・ホルブルック元国連大使が有力視されているけれど、クリントン色が強過ぎるしケリーのスタイルには合わないと思う。他に名前が挙がっている人では、上院外交委員会で民主党議員のトップに立つジョセフ・バイデン議員(デラウェア州選出)がいるけど、彼には議会に残って欲しいので個人的にはダメ。同じく有力と見られていたビル・リチャードソン元エネルギー庁長官(現ニューメキシコ州知事)はわたしの好きな政治家なんだけど、既に閣僚就任を断ったとか。
国防長官 チャック・ヘーゲル上院議員(ネブラスカ州選出)、ただし当人が民主党政権への参加を納得すれば。ヘーゲル議員は共和党員でありながらブッシュ大統領の一国主義路線を厳しく批判したばかりでなく、ケリーのベトナム従軍時代についての批判に対し同じベトナム従軍経験者としてケリーを擁護するような発言を繰り返している。ヘーゲル議員の後任を任命することになるネブラスカ州知事は共和党員なので、ヘーゲル議員が政権に加わっても議会における民主党と共和党のバランスは崩れず、党を裏切ることにはならない。一部にはアーミテージ現国防副長官を推す声もあるけれど、ブッシュ・ドクトリンからの明確な転換を示すと同時に共和党内の中道派にカツを入れるためにも、同盟国重視の外交専門家であるヘーゲル議員を是非推したい。
国家安全保障担当補佐官 マックス・クレランド元上院議員(ジョージア州選出)。前回の選挙では共和党の悪質なネガティブ・キャンペーンを受けて落選したけれど、911事件以前からテロリズム対策の省庁を作るべきだと提言して法案まで提出していた安全保障のエキスパート。ベトナム戦争で両足と片手を失った英雄としても知られており、ケリーは彼に政治的な復活の機会を与えようとするはず。クリントン一派が肩入れするウェスリー・クラーク元 NATO 総司令官(ケリーとともに大統領候補指名を争った)は、一部で名前が出されているけれど発言にブレがありすぎるので、あんまり重要な地位は与えるのは危険。ゲリー・ハート元上院議員(コロラド州選出)もこの地位を狙って売り込んでいるようだけれど、個人的な希望でクレランド議員を本命とします(国家安全保障補佐官が駄目なら退役軍人省長官が有力だけど、陽の当たる場所じゃないし。)
国土安全保障長官 ボブ・グラム上院議員(フロリダ州選出)。今度の選挙で上院から引退する民主党の長老議員で、外交・軍事・諜報の全ての分野に渡って詳しいエキスパート。テロリズムからの防衛を主目的とする(というか、それ以外はあんまりやらないで欲しい)国土安全保障長官に最も相応しい人材。ただし高齢による健康問題が懸念される場合、ハート元議員や911調査委員会で名を売ったリー・ハミルトン下院議員(インディアナ州選出)にチャンスが回ってくる。共和党のヘーゲル議員を国防長官として引き抜けなかった場合、最低でも一人は共和党員を内閣に入れたいケリーが彼と同じく共和党中道派のスーザン・コリンズ上院議員(メイン州)を国土安全保障長官のポストに選ぶ可能性も噂されている。
国家経済担当補佐官&財務長官 ブッシュ政権の経済政策からの脱却を目に見える形で宣言するためにも、是非経済補佐官にはジョセフ・スティグリッツ(ノーベル経済学賞受賞者・元世界銀行チーフエコノミスト)を指名してほしいところだけれど、コネの点でケリーにもっと近いエコノミストがわんさかいるのが難点。ケリーの経済政策アドバイザーを務めるロジャー・アルトマン元財務省副長官は確実にどちらかの地位を得ると言われており、場合によってはクリントン時代の財務長官だったロバート・ルービンが復帰することもあるかもしれない。いずれにせよ、クリントンの経済政策チームはクリントン時代ずっと続いた好景気のおかげで無傷で残っており、その中からの指名になるはず。
司法長官 パトリシア・シュローダー元下院議員(コロラド州選出)。ごめんなさい、ウソです。アシュクロフト現司法長官によってズタズタに切り裂かれた司法への信頼を回復するためには26年に渡って議会随一のフェミニストとして知られたシュローダー元議員を復活させるくらいのドラスティックな人選が必要だと思ってあえて名前を出したけれど、現実には「犯罪に厳しい」「テロに厳しい」というイメージがある人物が選ばれるはず。報道ではデトロイト元市長のデニス・アーチャー(現アメリカ法曹協会会長)が有力視されている様子だけれど、ちょうど任期を終えて退任する予定のワシントン州のゲリー・ロック知事あたりも可能性がある。
厚生長官 メディアではジーン・シャヒーン元ニューハンプシャー州知事が有力とされているけれど、個人的にはわがオレゴン州のキッツハバー元知事を推奨。医者出身の政治家で、健康行政では実績がある人だから。医者出身と言えば民主党の予備選で当初最有力だったハワード・ディーン元バーモント州知事もいるけれど、ディーン元知事は左派的イメージが強過ぎるのでよほど民主党が議会選挙で大勝しなければ無理でしょう。
内務長官&環境保護局長 わたしなら、こっちにシャヒーン元知事を持ってくる。民主党が議会選挙で大勝した場合は元下院議員(ニューヨーク州選出)で現在は環境団体代表のロバート・ケネディ・ジュニア(ジョン・ケネディ大統領の甥で、ロバート・ケネディ司法長官の息子)を環境保護局長に入れたいところ。
商務長官 穏当に民主党系の企業人。ブラック・エンターテインメント・テレビジョン創始者のロバート・ジョンソンとゲートウェイのテッド・ウェイトの名前が挙がっているけれど、個人的には前者を希望。
農務長官 農業がさかんな州の民主党の知事で全国的に評判のいい人物という条件で探すなら、アイオワ州のトム・ヴィルサック知事が該当。
労働長官 ケリーは再三ディック・ゲッパート元下院院内総務(ミズーリ州選出)に入閣を求めたいと発言しており、実現するとしたら労働長官しか有り得ない。ゲッパートが下院の議席にこだわって受け付けない場合、労働組合の指導者が有力。
その他、何も人名が浮かばない省庁についてはコメントしない(笑)
あと、無茶は承知だけど以下に挙げる人事をケリーにはお願いしたいです。
ローレンス・レッシグ教授(最高裁に空きができたらお願い)
ビル・クリントン元大統領(この人ヒマそうなので、仕事あげてください)
アルバート・ゴア元副大統領(こっちも同じく)
ラルフ・ネイダー(邪魔なので運輸長官あたりの適当な地位に付けて黙らせてください)
ちなみに、今度の地方選挙でマルトノマ郡の投票用紙を見ていると(オレゴン州では、郵便で投票が行われる)、「土壌・水質管理局長」の地位に立候補している人が誰もいなかったので、周囲にお願いして10人くらいの知り合いにわたしの名前を書き入れてもらいました(笑) わたしは別に転職するつもりはないですが、もし10票で当選したら笑えるなと思って。あはは。
でも、おそらく世間には「わたしと同じくらいアホなことを思いつき」「わたしよりもっと多くの人に記入を呼びかける」人がいるはずなので、10票程度で当選したりはしないですよね。というか、当選したくはないので、最低でも3票差くらいで誰かに勝って欲しいです(その時、「票を再集計しろ!」と要求したら、そりゃもう冗談じゃすまないですね、はい)。
2004/11/02 - 16:46:09 -
(London) Timesによると、Ohio, Penn, Floridaのexit pollはKerryリードとか。
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,3-1342074,00.html
この3つとも勝てば決まりなんですがね。。。
2004/11/03 - 16:33:23 -
Kerryがconcedeしちゃいましたね。
振り返ってみると、
Oregonも含む11州全部でのamendment成立など、ほぼ最悪の結果です。
救いはObamaさんが当選したことくらいかな。
LGBTの結果についてはこちら
http://www.365gay.com/newscon04/11/110304gayWins.htm