メモ:『日之丸街宣女子』作者の富田安紀子氏が「日本人いじめはフィクション」と明言

2015年9月3日 - 1:28 AM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

数日前、ツイッターでヘイト漫画『日之丸街宣女子』の作者・富田安紀子氏と少しだけやり取りをする機会があった。その詳細は別の方によってTogetterにまとめられているが、今後のための資料としてブログにも記録を残しておく。

Togetterのまとめを見ても分かると思うが、発端は、現在サンフランシスコ市議会で提案されている「慰安婦メモリアルの設置を促す決議」に関連して、日本総領事館が現地の日系人団体に圧力をかけているという話をわたしがツイッターに書いたこと。そうした圧力についてはいずれ機会があれば書こうと思っているのだが、それに対して富田氏は次のように言ってきた。

ここで「慰安婦像建立で苛められている日本人はいない」と彼女がいうのは、わたしが以前書いた「『グレンデール市に慰安婦像が設置されたことによって日本人の子どもがいじめられている』というデマについて」という記事のことを指すようだが、この記事には実際には「苛められている日本人はいない」とは書かれていない。いじめられた子どもが全くいないという証明は不可能だが、保守系メディアや政治家が言うようないじめの蔓延は存在しない、というのがその趣旨だ。

それはともあれ、日本総領事館がサンフランシスコの日系人コミュニティのリーダーたちに圧力をかけている、というのは、わたしが現地でサンフランシスコ市議をはじめさまざまな人に聞いてきたことだ。現在進行中の事態であり、相手に迷惑をかけてはいけないから、安易に具体的な人名などを出すことはできない。いずれきちんとした記事にまとめて発表することはあるかもしれないが、今の時点でツイッターに気楽に書けるような話ではない。そこでこう書いた。

それに対する、富田氏の反応。

「本当かよ!」と言われること自体は、別に構わない。わたしは自分が知り得たことをただツイッターでつぶやいているだけなので、「お前のいうことなんて信用できない!」と言われても、「あなたに信用しろと言った覚えはない」と言い返すだけ。ただ、富田氏は実際に街頭に繰り出し、自分の目で見た在特会などのデモとそれに対する反レイシズムグループのカウンターデモなどを題材にしている作家なのだから、他人の取材に文句をつけるくらいなら、自分で調べろよ、とは思う。まあいいんだけど。

で、このように話は進む。

「ネットのデマを元に作品を描いているあなたと違い」と言ってみたところ、予想通り食いついてきた。そこで、準備してあった富田氏の漫画の一部を引用。

この画像は、雑誌『ジャパニズム』2015年6月号に掲載された「日之丸街宣女子」第6話(「グレンデールの真実編」と呼ばれる新章の一話目)からの引用だが、ここに描かれているのは明らかに保守系メディアの宣伝する「いじめの蔓延」だ。現に、この数ページ後には、「似た事件はグレンデールで何件も起きてる」「これは日本人差別だ」とも書かれている。

この内容について、富田氏は次のように釈明する。

「日之丸街宣女子」がフィクションであることは誰の目にも明らかだ。しかし同時に、事実を元にしたフィクションとして描かれているのもまた明らか。グレンデールの「日本人いじめ」に関しては、その「元となった事実」の部分が完全にデマなのだ。漫画に描かれた通りでなくても、それに類するいじめが実際に「何件も」起きているなら、かりに本人が誰にも相談しなかったり、相談してもまともに応対してもらえなかったりしたとしても、目撃者が多数いることになる。話がまったく漏れないはずがないし、そのような事件が蔓延しているならば日系人団体も黙ってはいない。

すこしまえに、グルメ漫画「美味しんぼ」の「福島の真実編」と題されたシリーズに対して、放射能による健康について人々の不安を煽るような間違った描写があるのではないかという批判が巻き起こった。その批判が妥当だったかどうかここでは論じないが、「日之丸街宣女子」と同じくフィクション作品である「美味しんぼ」に対してそのような批判が起こったのは、それが「ストーリーの前提となる重要な部分において、事実を元として創作されたフィクション」だと認識されているからだ。そして「美味しんぼ」の作者は、批判に対して「自分の作品はフィクションだから」と言い逃れようとはしなかった。

しかし富田氏は、「日之丸街宣女子」の「グレンデールの真実編」について、「フィクションです。明記してあります。ちゃんとチェックしてくれないと。」と誤魔化した。つまり、「日之丸街宣女子」で描写された「日本人いじめ」はまったくの創作であり、実際にそのようないじめがあると言いたいわけではないらしい。ネットのデマと似てしまったのは、たまたまだとでも言うのだろうか。いずれにせよ、ただでさえそういうデマが広まっていて迷惑しているのに、そのデマそっくりの「フィクション」を描いて民族間の憎悪や不信を増幅させるとは、無責任極まりない。

ここまできて、これではさすがにまずいと思ったのか、富田氏はこのようなことを付け加える。

つまり、ここで内容を語る気も義理もないけれど、自分は作品のために取材を行っているのだと言いたいのだろう。しかし、もしこれが、自分は取材によって「日本人いじめ」の実態を調べたうえで、それを元に創作活動を行っている、という意味なら、それまで再三「フィクションだ」と言っていたのはどう説明するのだろう。不誠実な創作活動を行っていると、批判に対する応答まで不誠実になってしまうのだろうか。

11 Responses - “メモ:『日之丸街宣女子』作者の富田安紀子氏が「日本人いじめはフィクション」と明言”

  1. 堀家康弘 (@kounodanwawoma1) Says:

    デマに基ずく扇動マンガが多くある。こっち側の意見を拡散してくれる漫画家が少ないのがちと痛いね。

  2. 重度精神障碍者じゅじゅちゃん Says:

     初めて投稿します(このHNではですが(笑))
     左派にも酷いのがいるのだろうけど、右派ほど酷くはないのだろうな(苦笑)
     左派は、理論的に甘いところがあるのだが、そこは、修正していけばいい話ですよね。
     しかし、右派は頭が悪いからな、カバは死ぬまで治らないでしょう?
     思い込みが激しい上に、独善的だから、全く、手の施しようがありません。
     自分が頭が悪いことに気が付かない愚か者ですね。
     今は、右派が「ブーム」になっているようですが、そんな上辺の「ブーム」なんて、すぐに終わりますよ。
     今のうちに、かりそめの栄華を誇らせてやればいいのではないでしょうか?(本当は、ただのブームなのだが)
     やがて、ブームも下火となり、「あの時の俺たちって輝いていたよな?」という思い出話をすることしかできないでしょうね。

  3. Katumi Oota Says:

    あくまで一人の少女がそういう名目で性暴行を受けたという漫画の描写なのに”作者は日本人への性暴行が多数蔓延していると描写している!一人の人がそういうことをされたのはともかくとして、多数の人が性暴行受けたなんて事実は実際は確認されてない!だから作者は誤った描写をしている!”とほざくなんて、管理人さんは頭は大丈夫でしょうか?

  4. Katumi Oota Says:

    南京大虐殺は数が問題ではない!一人でも十万人でも大虐殺は大虐殺だ!うけた心の傷が問題なのだ!わめいていたサヨクが、アメリカでの日本人いじめは数が問題だ!とほざく・・・バカバカしいにもほどがある

  5. Katumi Oota Says:

    この漫画では一人の女性が性暴行をうけるさまを描写し、解説にも被害者が数人だとしか書いていないにもかかわらず、たくさんの日本人女性たちが被害を受けているかのような印象操作はやめろ!とほざき、それと同じ口で、日本兵に銃剣で刺された痕をみせる陳さんとか、単数の被害者しか中国側は出していないにもかかわらず、南京三十万人殺害説を否定する日本の保守派は奇妙だ!とほざく・・・こんなひどいダブルスタンダードは見たことがないですわな。もし管理人氏の理屈が通るのならば、南京で三十万人が殺されたんだ!という中国側の理屈はいくらでも否定したって構わんでしょ。

  6. Katumi Oota Says:

    南京で三十万人などといった多数の犠牲者が出たなんていう理屈を中国側が出している!我々保守は否定するゾ!
    アメリカで多数の性暴行犠牲者がでているかのような理屈を日本の保守が出している!我々左翼はこれを否定するぞ!
    アメリカでの日本人女性暴行が大げさであるのなら、南京三十万人説も同様に眉唾になりますわな・・・

  7. Katumi Oota Says:

    あなた方左翼が”アメリカで日本女性が性暴行を受けている”という説を否定したくば、同じ理屈で構成されている”南京三十万人殺害説”も一緒に否定されるべきだ。逆にもしあなた方が南京三十万人殺害説を真実なんだと人々に説得させたければ、アメリカで日本女性が性暴行を受けているのだという保守派やこの漫画家の主張も同時に認めなくてはならない。
    両者は、”一つか2つの実例を元にして、多数の被害があったのだろうと推測する”という、同じ理論的手段を用いているからだ

  8. Katumi Oota Says:

    このバカ作家の書いた日本女性の暴行には根拠が無いからダメだけど、私が主張する”日本領事館が年金を盾に在外邦人を脅している”という説はいっさい根拠がなくてもOK!
    こんなバカははじめて見たわい

  9. Katumi Oota Says:

    もし「日之丸街宣女子」で描写されているような(そのままでなくても同種の)いじめが実際に起きているなら、仮に被害者が誰にも相談せず泣き寝入りしたとしても、目撃者は多数いるはず。日系人団体だって黙っていないし、現地で大問題になる~某ツイートより
    おいおいじゃあ戦時中の韓国慰安婦だって同じ理屈通るだろうって
             ↓
    もし映画「帰郷」で描写されているような(そのままでなくても同種の)強制連行が実際に起きていたなら、仮に被害者が誰にも相談せず泣き寝入りしたとしても、目撃者は多数いるはず。地元の韓国人仲間だって黙っていないし、現地で大問題になる
    どうして左翼はアメリカの日本人被害者にはこの理屈をつかって、戦中の韓国人慰安婦とされる人たち対してはこの理屈をいっさいつかわないのだろう?

  10. macska Says:

    Katsumi Ootaさんから大量のコメントが来ています。普段はこれほどバカなコメントは放置しておくのですが、その熱心さに免じてひとまとめにお答えしちゃいます。てかヒマだし。

    あくまで一人の少女がそういう名目で性暴行を受けたという漫画の描写なのに”作者は日本人への性暴行が多数蔓延していると描写している!一人の人がそういうことをされたのはともかくとして、多数の人が性暴行受けたなんて事実は実際は確認されてない!だから作者は誤った描写をしている!”とほざくなんて、管理人さんは頭は大丈夫でしょうか?

    この時点で「そもそも何の話ししてんの?」って感じだけど、漫画が描写しているのはどう見ても「性暴行」ではなくて普通の「暴力やいじめ」だよね。富田さんもわたしも、「性暴行」の有無なんて話していない。全然内容も読まずに(あるいは理解せずに)文句だけ言ってるということが明らか。
    で、じゃあ富田さんは「あくまで一人の少女が」暴力やいじめの被害を受けた話を書いているのか、というと、そうじゃなくて、わたしは「『似た事件はグレンデールで何件も起きてる』『これは日本人差別だ』とも書かれている」と富田さんの記述を引用して説明していますね。これも読まずに決めつけて文句をつけているパターン。あとで気づいて微調整したみたいだけどw
    続いて、この人のもう1つのパターンがわかるのが次のコメント。

    南京大虐殺は数が問題ではない!一人でも十万人でも大虐殺は大虐殺だ!うけた心の傷が問題なのだ!わめいていたサヨクが、アメリカでの日本人いじめは数が問題だ!とほざく・・・バカバカしいにもほどがある
    それと同じ口で、日本兵に銃剣で刺された痕をみせる陳さんとか、単数の被害者しか中国側は出していないにもかかわらず、南京三十万人殺害説を否定する日本の保守派は奇妙だ!とほざく・・・こんなひどいダブルスタンダードは見たことがないですわな。

    わたしに対して「〜とほざく」と繰り返し批判するけど、わたしはそんなことどこにも書いていない。いったい何と戦ってるの?中国政府?わたしは中国政府じゃないので、中国政府に文句があるならそちらにどーぞ。
    最後にこちら。

    このバカ作家の書いた日本女性の暴行には根拠が無いからダメだけど、私が主張する”日本領事館が年金を盾に在外邦人を脅している”という説はいっさい根拠がなくてもOK!

    富田さんが描写した「蔓延する日本人いじめ」に関しては、ただ根拠がないどころの話じゃなくて、日本と米国の様々なメディア、公的機関、市民団体などが徹底的に検証したけれども、まったく何の根拠も見つからなかった件。それに対して「日本領事館が日系人団体を脅している」というのはわたしが自分で取材して知った話なので、嘘だと思うならあなたが検証すればいいだけ。
    ちなみに、ここでもこの人は「日本領事館が日系人団体を脅している」というわたしの主張を、「日本領事館が年金を盾に在外邦人を脅している」という、わたしが一切言っていないまったく別の話にすり替えている。在外邦人が脅されたなんて話は一度もしたことがないし、「年金を盾に」ってそんなのありえないでしょ。これもやっぱり最初のパターンの一例。
    二つのパターンに共通するのは、この人は他人に対して「バカ」「ダブルスタンダード」と罵倒するわりに、わたしが何を書いているのか読んでいないからトンチンカンなことを言い出したり、実在するかもわからないどこかの「左翼」や中国政府の主張とわたしの主張を混同したりする。批判的なコメントを書いてもいいから、せめてわたしが何を言っているかきちんと理解した上で、それに対して批判してよ。

  11. みくも Says:

    随分前の文章にコメントしてすみません。
    ちょっと気になったんですが、別の記事のコメント欄での発言がこちら
    >「弾除けのために移動時にドラム缶に入れた」証拠を示してください。わたしの知る限り、「女性をドラム缶に入れた」と主張している本は存在しますが、その理由は「弾除け」ではありませんよ。
    この記事でのコメント欄での発言がこちら
    >それに対して「日本領事館が日系人団体を脅している」というのはわたしが自分で取材して知った話なので、嘘だと思うならあなたが検証すればいいだけ。
    ダブルスタンダードじゃないのと疑問に思いました。
    知識もある種の教養もあるのかもしれないのだけれど、自分が議論に勝つために例外を作るのは、幼さを感じさせてもったいなという気がしました。せっかくの知性も選民意識を産むなら、教養もなにもあったものじゃないと、ふと頭に浮かびました。
    随分前だから、きっと今はそんなことないんじゃないかとは思いますが。

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