「性産業の需要を減らすアプローチ」に関する記事へのコメントに、いっせいお応え

2012年8月6日 - 8:32 PM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

前エントリ「『性産業の需要を減らす』アプローチが、性労働に従事している人にとって有害でしかない理由」への反響にお応えする、恒例の「はてなブックマークコメント(やツイートやその他のコメント)にコメント」のお時間です。ちなみにこのブログは、ふだんの一日の閲覧数がだいたい100〜200程度しかないサイトなのに、この記事が発表された途端に大量のアクセスが集中し、半日のうちに1万ヒットを大きく超える反応がありました。ソーシャルメディアってこわいです、はい。
とはいえ、ツイッターやはてなブックマークで記事についての感想や意見を書いている人は、いつもとそれほど変わらない人数でしかなく、よく見たらいつもコメントをくださっている人が多かったりするので、アクセスが増えただけで、最後までちゃんと読んで、考えてくれた人は、ふだんとそれほど変わっていない気もする。でも、せっかくコメントをいただいたので、いろいろお応えしつつ、わたしの意見や関連情報を追加していきたいと思います。

yuri_donovic
均衡理論のほぼ全てに成り立つことだけど、論理は可逆なんだよね。すなわち需要抑制が社会的に望ましくないなら、需要喚起はここで論じられている理路に沿って、社会的に望ましくなるはず。
torrysGalley
基本的には納得なのだが、このロジックが妥当するなら「需要を増やす」アプローチが性労働従事者の厚生水準を改善するはずで、本当にそうなのかしらん、とうまく腑に落ちない自分の頭の程度がもどかしい。
the_sun_also_rises
人類最古の職業で人類の歴史上なくなることがなかった職業をなくそうという取組。でも価格の下落は提供する女性が被る。発想は逆だよ。価格を上げ第三者に搾取されない仕組みを作るべきだ。価格が上がれば需要は減る 2012/08/06

おそらくありえないことですが、「需要を増やす」政策を政府が実施したとして、それが成功した場合、短期的にはおそらく性労働に従事している人たちに良い効果があるでしょう。とくに、もしその需要喚起策が、いまいる客と同じ層の人を増やす(あるいはいまいる客の消費量を増やす)ことではなく、リスク回避的であるために、これまで買春を避けてきたような人を買い手にすることに成功することができれば、その効用は高いでしょう。
しかしそうした効果が持続するかどうかは、わたしも自信を持てません。需要が増え、価格が上昇すれば、供給側の新規参入も増えるでしょうし、もしかすると新規に参入する売り手たちは、平均するといま売春している売り手たちより若かったり、社会的資本を多く持っていたりするため、増えた分の需要の、とくに良質な客となる層を、ごっそり持って行ってしまうかもしれません。普通の労働市場であれば、条件がよくなったからと参入したばかりの新人よりベテランのほうが能力が高く、労働市場における価値が高いのが普通ですが、性的サービスの市場はそのあたりが特殊です。かりに、性的サービス市場が好況に湧いて、性労働に従事する人全体の平均的な厚生水準が上昇したとしても、いま現に困っている人にとって事態が改善するかどうかは、よく分からないと思います。
性労働者たちによる運動は、性労働に対する法的な制限や、社会的なスティグマ・偏見をなくすよう呼びかけています。それは、性労働者たちがいままさに警察による取り締まりや暴力や嫌がらせの被害を受けていたり、スティグマや偏見によって被害を受けているから、ごく当たり前の主張です。しかし実際には、性労働が全面的に合法化され、より「普通の労働」として社会に受け入れられるようになれば、これまで法的トラブルやスティグマを恐れて性労働をためらっていた層が供給側に大挙参入し、おそらく性労働の市場は暴落するでしょう。(法的リスクやスティグマの解消により、需要も同時に同じだけ増えれば、もちろん暴落はしませんが、すでに法的リスクやスティグマの大部分は供給側が負っていることを考えると、合法化・社会的公認が進んでも、需要側の動機は供給側ほどには変化しないでしょう。)
売買春の非処罰化やスティグマの軽減は、大きな意義のある、必要なことだとわたしは思います。長期的には、それによって多くの人が救われるでしょう。でも、現実にさまざまな社会的・経済的要因の微妙なバランスの上になんとか生活を成り立たせている人にとっては、たとえ長期的・全体的には良い方向の変化であっても、いまの自分の生活の基盤となっているそれらの要因を変化させることは、自分の生活への脅威になり得ます。変化によって最も利益を得るはずの人たちこそが、その変化を最も恐れる理由も持っているのです。
わたしは、性労働に従事している人たちの中でも、とくに生活に不安を感じていたり、困難な事情を抱えている人たちの多くが感じる、こうした「生活保守」的な心情を、軽視すべきではないと思います。性労働者運動の中でも、リーダー的立場にある人たちは、比較的社会的・関係性資本に恵まれていて、だからこそ法改正やスティグマ解消に向けて邁進しがちですが、「非処罰化されたら困る、スティグマ解消されたら困る」という人たちだっているというのは、忘れてはいけない。それは、非処罰化すべきでないとか、スティグマを解消すべきでないということではなくて、もしそれらの目標が価値のあるものであるなら(わたしはそう思います)、そうした施策や運動によって生じる弊害を何らかの方法で手当てしつつ、推進していかなければいけない、ということです。
生活保守的な心情をベースに考えると、「需要喚起」政策は現状からの変化が急激すぎて、どのような影響が出るのか未知数なところが多く、あまりに冒険主義的な社会エンジニアリングだと思います。それだけのリスクに見合った救済手段や手当ても準備したうえでのことであれば一考の価値があると思いますが、単純に需要を喚起するだけで良い結果が起きると考えるのは、危険過ぎると思います。(誤解を受けるのですが、このあたり、わたしはかなり保守主義寄りです。)
合法化については、次のコメントでも触れられています。

rti7743
面倒なことしないで、売春を合法化して管理して税金をちゃんと取ればいいのに。どんなにやってもこの手の産業はなくならないよ。
gettoblaster
性産業は独身者が増えているので成長のポテンシャルがある。売春合法化して規制緩和して需要も供給も増やせば、失業率も減り、税収も増え、反社の資金源が減り、国民の厚生が高まる。最高じゃね。
qittu
生きるために自分の意志で売春してるんならそれは責められるものでも救わなければならないものでもないし.人身売買とか無くしたいんなら合法化してちゃんと管理すればいいだけなのにね

わたしは、売買春の法的禁止が、性労働者に対する搾取や暴力や人身取引を悪化させていると思うので、非処罰化≒合法化には賛成。しかし、合法化すれば解決するという考え方には、違法化すれば解決するとか、需要を抑制すれば、あるいは喚起すれば解決するというような考え方と同じく、短絡的で不十分だと思います。性差別や貧困や国際的経済格差などさまざまな問題の影響が重なりあって集約されている性産業という分野において、「性的サービスの取り引き」というたった一つのパズルのピースを政策的にどうにか動かせば問題が解決する、という発想が、そもそもわたしには理解できません。もし仮にそうした政策が最大限に良い効果を発揮したとしても、性産業はその他の底辺労働の現場と同じような、圧倒的に絶望的で、平凡な、いま以上に洗練された搾取産業の一つになってしまうだけです。
古典的経済学の考えでは、自由意志に基づく市場取り引きは、双方の効用を増大させるので、自由に行わせるべきだと考えます。ある金額と引き換えに性的サービスを提供するという取り引きは、買う側が「性的サービスを受けることの効用は、少なくともその金額と同じくらいかそれ以上の価値がある」と考え、売る側が「受け取るお金の効用は、少なくとも自分が行う性労働のめんどくささやつらさと同じくらいかそれ以上の価値がある」と考えるからこそ、両者の意思によって成立するわけです。もし仮に、「性的サービスにはそんなにお金を払う価値はない」と買う側が考えていたり、あるいは「その程度のお金をもらったとしても性的サービスなんて提供したくない」と売る側が考えていたら、取り引きは成立しない。自由意志において取り引きが成立している以上、それは両者に利益(効用の増大)をもたらしているはずで、だからこそ政府が介入して取り引きを止めさせることは有害である、というわけです。
このことからは、政府は(少なくとも、取り引き当事者を保護することを口実として)取り引きを止めさせることを目的に市場介入すべきではない、という結論を導き出せますが、それは取り引き自体に問題がまったくないことを意味しません。取り引きを止めさせようとするのではなく、弱者が足元を見られて(まったく取り引きしないよりはわずかにマシでしかない、程度の)客観的に不利な取り引きに追い込まれないように、すべての人に最低限の生活を保証する社会的セーフティネットを整備することは、いまの世界ではまともな政府の義務であるとされています。
また、性産業をその他の産業とまったく同じものとして社会的規範を変化させることは、少なくとも性差別や国際的な経済格差が根強く残る社会においては、性的サービスの供給側と需要側を社会的集団によって固定化し、差別や格差を常態化させることにもなります。フェミニストの多くが性産業に反対するのは、性労働者に対する直接の搾取や侵害への懸念とともに、女性の社会的地位を下位で固定化させると考えるからです。上では、取り引き当事者の保護を口実として自発的な取り引きを「止めさせる」介入は認められないと書きましたが、取り引き当事者以外に損害が生じるなら――負の外部性といいます――場合によっては政策的介入の正当な理由となり得ます。
もちろん、性差別や経済格差のない世の中になれば、性産業のそうした性質はなくなるのでしょう。問題は、性産業の存在そのものが、そうした差別や格差を解消するよりも温存する方向に働いているのではないか、という指摘があることです。売買春においては、おもに男性から女性へ、お金のある人からない人へ、お金が移動するので、それだけ見れば格差がわずかに是正されているように見えますが、それが個々の女性やお金のない人にとっては生活の足しになるからこそ、かえって供給側/需要側という関係が、その個人だけでなく、社会集団として、固定されるおそれがあるわけです。性産業をなくしたところで性差別や経済格差が解消されるわけでもないですが、性産業が(少なくともいまの世の中では)性差別や経済格差によって駆動していて、また性差別や経済格差を常態化させている、という批判は真摯に受け止めるべきだと思います。

1Q89reader
売買春の需要規制の不完全さは納得。でも売買春を認めるという事は「仕事がないなら買春すればいいじゃん」という理屈がまかり通る事になりかねないと思う。韓国ではそこそこの地位に居る輩が堂々そんな事言う時あるし。

このコメント主が言わんとしていることも、女性の就労機会の拡充や、生活保護制度の整備ではなく、性産業が実質的な女性のセーフティネットとして機能してしまうことへの懸念だと思います。このことについては、ツイッターのわたしの今年の6月25日の発言を参照してください(crpwserpentさんがtogetterでツイートをまとめてくださいました)。
ただ、唐突に韓国バッシングに繋げるあたりが、非常に疑問。バカな政治家はどこにでもいますしね。
というわけで、「強権的に政府が性的サービスの市場を潰そうとしても、本来救済しようとした人が困るだけであり、ほんとうに搾取や人権侵害や不本意な性労働を減らすためには、もっとまともな対策が必要ですよ」という、ごく当たり前の結論です。以下のコメントを書いている人たちも、それを理解していると思います。

magi00
性産業より楽して儲けられる仕事を個人と業者の両方に与えればいいというのはわかりきってるよね。
terazzo
そうなるとやっぱり、売り手の経済的なオプションを増やすのが一番いいのかなー
TakamoriTarou
本論は全くもって同感だが、逆方向で合法化等した場合供給も同時に増えて「転職は困難」と言う仮定を適用すると新市場発生だけで底辺問題は結局残るという説もあったりとか。「転職は困難」という所を何とかしないと
yason
「性労働に従事している人の多くは、ほかに性労働と同等の収入を得られる経済的なオプションをあまり持たない」オプション提供と共に労働者としての保護を手徹底し買春者,売春管理者の余剰利益を根刮ぎ奪うしか。
okra2
貧困関係なしにそれを職業として選んでる人の自由意思は?とは言え、どうやったら減らせるのかって言ったら貧困のためにやってる人には教育と就労の選択肢くらいしか思いつかない・・・。でないと貧困の連鎖が。
h.sorakuma
供給側のインセンティブをなくすしかないっていうのはその通りだと。なぜそれをしなければならないのかって現実に目を向ける勇気を持つべきだと
filinion
これ、「弱者保護のためにブラック企業を温存しよう」理論(http://goo.gl/nyvrQ)の変形のような。「売春するより福祉に頼る方がマシ」な状況を作れれば有効じゃね?性産業の需要減だけでなく、福祉の拡充も必要だけど。
D_Amon
貧困ゆえに売春せざるをえない状況を救うのは売春しないでも生きていけるようにする社会保障であるべきだし、売春における搾取をなくすには性産業の健全化が必要だと思う。人は小手先の対応で状況を悪くしがちと思う
raf00
なるほど、キャバ界隈で見られた流れね。性産業そのものを叩くのではなく、性産業に従事せざるを得ない女性に別の選択肢を与えて「結果として」性産業を細らせる方向でないとダメ、ということなのかな?

細かいポイントだけすこし応答していきます。magi00さんが言うように、「楽して儲けられる仕事」がほんとうにたくさんできたなら、確かに問題は解消しますが、そういう仕事にはすぐに求職者が殺到して、給料が下がり、そんなに楽に儲けられなくなってしまいます。必要なのは、仕事がなくても生活していけるだけのセーフティネットと、それをきちんと利用できるだけの社会的な受け入れ態勢やケイパビリティの保証です。それがきちんと整備される限りにおいて、そしてどんな職場でも最低限の権利と安全が確保される限りにおいて、「楽だけれどそれほど稼げない仕事」と「辛く苦しいけどたくさん稼げる仕事」があったとしても、それは問題ないでしょう。
yasonさんは「買春者、買春管理者の余剰利益を根刮ぎ奪う」ことを主張されていますが、そうすると当然市場自体が成立しなくなります。管理者の余剰利益については、性労働者自身が経営権を取得し、労働者による組合として風俗業者を運営すれば「根刮ぎ奪う」ことになると思いますが、自分は経営なんてしたくない、ただ仕事として性労働ができればいいんだ、という人だっています。また、買春者の余剰利益を根刮ぎ奪うということは、すなわち性的サービスの効用とそれにかける費用がイコールになってしまうので、わざわざ取り引きをする理由がなくなって、やっぱり市場が消滅してしまいます。「根刮ぎ」というのを文字通り受け取り過ぎでしょうか。より交渉力(バーゲニングパワー)をつけて、余剰利益のより有利な分配を勝ち取ろう、程度のことですかね。
okra2さんの「貧困関係なしにそれを職業として選んでいる人の自由意志は?」との質問ですが、自由意志を侵害するようなことをわたしは一つも提案していないので、そういう人がいても別に問題ないんじゃないでしょうか。もし貧困や選択肢の欠如など、やむを得ない事情によって性労働を強いられている人たちがみんな他の経済的オプションを得たら、供給が減って、価格が暴騰するので、「貧困関係なしにそれを職業として選んでいる人」にとっても、とてもオイシイ話だと思います。
filinionさんの言う「弱者保護のためにブラック企業を温存しよう」理論は、おそらく本当に弱者保護を目的とした主張ではなく、ブラック企業を温存することによって利益を得ている人たちの主張だと思いますが(念のため言っておくと、わたしは人身取引や管理売春から何ら直接の利益を得ていませんw)、まったくの間違いだとまでは思いません。仕事をしなければ生きていけないいまの世の中では、劣悪な労働環境や条件であっても、仕事がないよりはあったほうがいい。ただ、本当に弱者保護するのであれば、ブラック企業を温存することではなく、仕事がなくても生活していけるような制度的保証を整備することが必要であり、もしそれがきちんと整備されれば、ブラック企業は自然に淘汰されていくはずです。filinionさんも分かっていると思いますが。
raf00さんの言うように、性労働に従事している人たちが別の選択肢を得た場合、結果として「性産業を細らせる」ことになるとは限らないと思います。健全化することによって新たな顧客層を掘り起こし、より繁栄するかもしれません。がしかし、filinionさんへの応答で書いたとおり、労働者の弱みに付けこんで搾取するようなビジネスモデルは立ちいかなくなって、淘汰されることになるでしょう。
以下は、一言ずつだけで。

kuborie
1.で需要をコントロールできると仮定しているのに、2.また需要が増えるという矛盾。/あんんだーぐらうんど化すると思うので、よろしくないとは思うけどね。

分かっていると思いますけれど、「需要を一時的に抑制したとしても、継続的にコントロールすることはできない」と指摘しています。

enemyoffreedom
庶民感情的には需要側への処罰・規制の方が感情を逆なでされずに済むのだろうけれど

それが問題ですよね。需要側への介入だから、供給側に従事している人たちには何の弊害もない、と思いがちで、「そうじゃないよ、いま苦しい状況に置かれている人たちが、さらに困ることになるよ」と指摘し続けなければいけないと思います。

hisawooo
「性労働に従事している人にとって有害」なのは性産業の需要を減らすアプローチを好んでとる人にとって狙いどおりで当たり前の話じゃないのん?バカでごめんね。

もともとそういう狙いの人が、そうではなくて、本当に性労働に従事している人たちを助けたいと思っている人たちを騙して同調させるから、「需要をへらす」アプローチは危険なんだと思います。

eo64air
1)売り手の数が同じ 2)買い手が減る 3)買い手市場になって市場が破壊される、を長々と言い換えただけ

それ言われたら、まあその通りです、と認めるしかないのですが、その単純な論理が分からない人が大勢いるので、長々と言い換えてみました。これまでツイッターで何度か同じことを言ってきましたが、今回まとめて長々書いたのは、次からはもうURLを示すだけで良くなると思ったからです。そもそもツイッターは長々とした説明に向いていないし。

m-matsuoka
まずは、ダンピングで市場価格を下落させている朝鮮人売春婦を追い出せということ。
uduki_45
日本の場合はむしろ何もやってないほうじゃ この方面はある程度強引にでも外国人排斥しないと余計面倒な話になる
EX-2
需要を減らすアプローチって具体的にどんなことが行われているのでしょうか? 個人的には、米国で問題になっている韓国人売春婦は減ってもいいと思いますがね……。

なんでも朝鮮人・韓国人差別、外国人排斥に結びつけてしまうこの特殊なスキルは、そしてそれをこうして公言できる無恥さは、いったいどういう環境で育てば身につくのか、不思議です。

2 Responses - “「性産業の需要を減らすアプローチ」に関する記事へのコメントに、いっせいお応え”

  1. 矢作慎治 Says:

    本題にあまり関係しないコメントかも知れません。不適切と思われたら削除下さい。
    “性産業が性差別(と経済格差)に基づいて成り立っている” という趣旨の発言についてです。
    それはその通りだろうと思います。
    が、性差別が必ずしも女性に不利に働くとも言えないのではないでしょうか?
    この場合の性差別とは、私なりの言葉で言えば、”男はスケベであり、女はスケベな男の獲物である”ということだろうと思います。
    売春もそれ故に成り立ち、性犯罪もそれ故に起こると言えます。
    けれど、アッシー、メッシー、貢ぐクンなどのように、女性が男を奴隷化・道具化できるのも、性差別のお陰です。
    なので性差別は返って女の武器ともなり得るもので、これを利用して生きていこうという女性がいても良いじゃないかと思いました。

  2. macska Says:

    矢作慎治さん、

    が、性差別が必ずしも女性に不利に働くとも言えないのではないでしょうか?

    不利有利というのは、本質的な話じゃないんです。ここで懸念されているのは、集団としての男性と女性の社会的関係が、男性を上位に置くかたちで固定してしまうことですから。もちろん、社会的地位が上位にあることは、上位にある人にとって有利であることが多いでしょうけどね。
    なぜ売春をする側のほうが、買春をする側よりも、地位が低いと言えるか。これは、男女だけでなくて、ほかのさまざまな格差を比べてみれば分かります。たとえば、先進国の人が途上国に移住して売春をするというのは、ほとんどない(が、逆は膨大にあります)。高い学歴や収入を持つなど社会的地位の高い人がそのキャリアを捨てて売春婦(夫)に転職することも、めったにない(が、売春している人にそうした社会的地位につく機会があれば、ほとんどの人はそれを望みます)。
    これらのことから、わたしたちが住む社会においては、売春する側のほうが、買春する側より、社会的に低い地位にいることが明らかです。これは必ずしも必然ではなく、さまざまな条件が異なっていれば、売春する人たちが極めて高い地位についており、その他の人たちから広く尊敬される社会というのも、少なくとも想定は可能です。しかしいまの世の中においては、売春する側のほうが明らかに低い社会的地位におかれており、したがって「売買春の大部分は、女性が売る側で男性が買う側である」という事実は、「いまの社会では女性が社会的に下位に置かれている」という認識と整合的です。
    そうした、整合性のある常識的な見解に異論を唱えるのであれば、男性と女性の関係について同じことをただ違った視点から言い換えるだけでは意味がありません。たとえば国際的な経済格差であるとか、学歴や収入などさまざまな側面もふくめて、より整合性のある論理を提示する必要があります。わたしには、それが可能であるようには思えません。

    なので性差別は返って女の武器ともなり得るもので、これを利用して生きていこうという女性がいても良いじゃないかと思いました。

    あなたに言われるまでもなく、良いに決まってます。しかし、そうやって生きていこうとしている人もいるのだからといって、そういう生き方を強いているような社会的地位の格差を放置して良いことにはなりません。

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