レーガン「小さな政府」はウソ

2004年6月8日 - 8:14 AM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

先週死去したレーガン元大統領について、「小さな政府」を作ったとか「大幅な減税をした」という言説が報道に溢れていますが、勘違いが多いので指摘しておきます。ネタ元はWashington Monthly 2003年1月号。
※レーガンの在任中、米政府予算は大幅に拡大した。レーガンはエネルギー省と教育省の廃止を公約していたにも関わらずこれを実現せず、逆に退役軍人省という新たな省を作り、政府職員の人数を6万人増やした。これに対してクリントンは8年間で37万人もの役人を削減している。また、レーガンは社会福祉をカットする代わりに軍事費を爆発的に増額したため、政府予算は拡大を続け、史上空前の財政赤字を生み出した。
※レーガンは当初破綻間際にあった社会保障制度について、大幅に保障をカットすることで維持しようとしたが、結局1650億ドルという巨額の税金投入を行った。その資金を出すために戦後最大の社会保障税増税を行った。企業や裕福層を対象に減税する代わりに賃金労働者が払う社会保障税を増税することで、レーガン政権を通して米国では貧富の格差が一気に拡大した。
要するに、「小さな政府」と呼ばれているものも、「大幅な減税」と呼ばれているものも、「政府の予算がどう使われているか」「誰がどれだけ税金を払っているか」という割合を変更しただけであって、実際には政府は小さくなっていないし、税金は減っていないというコト。
その点、今のブッシュ政権はレーガンと比べてももっとヒドい。イラク戦争の費用が国庫を脅かしているだけでなく、国土安全保障省を通した国家権力の拡大(市民の権利の縮小)を見ても、到底「小さな政府」ではないにも関わらず、減税だけはレーガンより真面目に本当にガンガン減らしている。ポール・クルーグマン教授(プリンストン大学)が「戦時中に大規模な減税を行うことは、米国史上はじめてであるばかりか、世界のどの文明にも例が1つもない」と言うほどの無謀な政策。マジ、この人が再選されたら(とゆーか、そもそも前回の選挙でちゃんと選ばれてないから、再選という言葉は間違いですね)カナダに逃げたいです。
# クルーグマン教授、レーガンの事を追悼コラムで「The Great Taxer」(偉大な徴税者)とまで呼んで誉め殺ししてます。
# Great Taxerというのは、もちろんレーガン大統領の「グレート・コミュニケーター」というあだ名のもじりですね。
今後、ブッシュが大統領選挙でレーガンを利用するんじゃないかという噂もありますが、あんまり利用できないでしょう。ブッシュは、レーガン大統領がアルツハイマー症として診断されて以来、ナンシー・レーガン夫人の「アルツハイマー研究のために実験室での胚細胞研究を支援してくれ」という懇願を拒絶し続けてきたという要素もありますし、そもそもカリスマ度が違いすぎて、レーガンと比べて見劣りし過ぎるから。

One Response - “レーガン「小さな政府」はウソ”

  1. カナディアン Says:

    http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/241b.htmこれをみればわかるように、レーガン政権発足後は国民負担率および租税負担率が下がっています。最後の2年くらいは民主党議会に迎合して多少あげましたが、それでも政権発足時より低いですね。

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