米大統領選:ジョン・ケリー候補、実は意外に優勢?

2004年8月16日 - 11:17 AM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

今年の米国大統領選挙も投票まであと3ヶ月を切り、ブッシュとケリーの支持率はともに40%代後半と再び接戦のように見えるけれど、総得票数ではなく各州から選出された選挙人の票数で勝敗を決するアメリカの制度では、実は全国的な支持率の推移は勝敗にあんまり関係ない。新たなテロ事件だとかビンラディン逮捕のような大きなイベントの影響を考えないとすると、既に大半の州において決着は付いており、残る十数州のうちどちらがどれだけ取るかで勝負が決まる。
具体的な話の前に、アメリカの選挙制度についておさらい。全国50州と首都のコロンビア特別区にそれぞれが選出する上院・下院議員と同数の選挙人が配分されており(連邦議員を選出できないコロンビア特別区は3名)、過半数を獲得した候補が大統領に当選する。それぞれの州が選挙人をどう選ぶか州政府が自由に決められる仕組みになっているけれど、ほとんどの州においては州内で最多の票を集めた候補がその州の全ての選挙人を指名できる(実際には、事前に各候補が選挙人名簿を提出しておき、選挙に勝った候補の名簿に載っている人が選挙人として認定される)。
各州ごとの支持率をまとめているサイト、Electoral Vote Predictor 2004 を見ると、両候補のあいだで既に10%を超える支持率の差が出ている州が27(26州とコロンビア特別区)もある。これらの州では既に勝敗は決しているとみなされているので、どちらの候補も今さら選挙資金や人的資源を注ぎ込んだりしない(から、なおさら現状のまま固定する)。ここまでで両者の選挙人数を比べると、ケリー149票に対しブッシュ134票。
さらに、5〜9%の差がついている州は10あるけれど、この中で変化する可能性がありそうなのは(現在ケリーに傾いているけれど、何があるか分からない)フロリダ州だけ。フロリダを除いたこれらの州を加えると、ケリー226票対ブッシュ151票と俄然ケリーが有利になる。
当選に必要なのが270票なので、ケリーが勝つにはあとフロリダ(27票)とオハイオ(20票)の2つ取れば十分。フロリダが取れなくても、オハイオに加えてもともと民主党の優勢なミネソタ(10票)・オレゴン(7票)・メイン(4票)の各州とあと小さな州を1つ取れば勝てる。民主党の副大統領候補であるエドワーズ議員が地元のノースカロライナ州(15票)をケリーの側に引き寄せる事ができればかなり楽になりそう。
逆にブッシュが勝つには、現在僅差で優勢の州を全て取った上でさらにフロリダとオハイオを取ってもまだ12票足りないので、ミズーリ州(11票)ともう1つ奪い返す必要がありそう。この3州のうちどれか1つでも欠けたらブッシュの当選は危うい。というわけで、支持率の推移を気にかけるなら、全国的な支持率ではなくてフロリダ・オハイオ・ミズーリの3州に注目。もちろん上記は、最初に書いたとおり新たなテロ事件だとかビンラディン逮捕のような大事件が起こる事を考えに入れていないのだけれど、数字だけを見る限り、今のところ意外にもケリーが健闘している様子。

2 Responses - “米大統領選:ジョン・ケリー候補、実は意外に優勢?”

  1. Yoko Says:

    今日見たら、カリフォルニアがケリー3ポイントリードに迫られてる…。まさかとは思うけど、55人のカリフォルニアがブッシュに落ちたらやば過ぎます。

  2. macska Says:

    何かの間違いでしょ。カリフォルニアでブッシュが勝つなんて事は絶対にあり得ないはず。

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