第二次大戦中の日系人強制収容を正当化する本を書いたフィリピン系米国人

8/6/2004 - 11:27 am | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

名前を挙げて宣伝に加担するのもイヤなので本のタイトルは伏せるけど、レッシグ氏によると「第二次大戦中の日系人強制収容と、現在起きている(犯罪に何ら関わっていない)アラブ系市民の拘束」を正面から肯定する本が出ているらしい。本の内容を紹介しているページを読んでみたところ、日系人たちは収容される以前に他の地域に引っ越す事もできたのに好んで収容されたのだとか(人種差別の激しかった当時のアメリカで、そんな急に日系人コミュニティを離れて引っ越せるかって)、現在の教科書では日系人の収容に関して自虐的に偏った記述がしてあるとか書かれてあって、歴史修正主義というのはどの国も同じなのねと感じる。

しかも、気が重くなることに、この本の著者は保守系論客として知られるフィリピン系アメリカ人の女性ジャーナリスト。フィリピン人が当時の日本を非難するなら仕方がないんだけど、アメリカでは同じアジア人として差別を受ける側の中からこういう本が書かれたのは悲しい。だけど、世の中そんなモノなのね。白人が書けば間違いなく「人種差別的な本」として非難を受けるところを、フィリピン系の彼女が書くことでうまく回避している感じ。著者のスケジュールを見たところ、この本の出版と合わせて講演会があるみたいなのだけれど、わざわざ原爆記念日の今日8月6日に合わせて行うあたりは、アメリカによる戦争犯罪や市民権侵害から目を逸らさせようという目的なんだろうか。

さらに最近起きているアラブ系市民の拘束に関連して、現在の日系人指導者たちがアラブ人やイスラム教徒と連帯して「アメリカの安全を脅かしている」と彼女は主張しているらしいのだけれど、これもわたしから見て非常に疑問。確かに日系人の中でアラブ人やイスラム教徒の人権を守るために立ち上がった人もいるけれど、そういう人たちはもともと少数民族の権利について運動をしていた人たちであって、日系人社会の主流はほとんど反応を見せていないというのがわたしの印象。かつての日系人収容以来、日系人の多くはアメリカの白人社会に同化することで自分たちの安全を図ってきたわけで、自らの強制収容と現代のアラブ系市民・イスラム教徒迫害を結びつけて語ったりはしない。

わたしにとっては、911事件以降の状況を見てはじめて「なるほど、日系人収容というのはこういう具合に起きたんだな」と理解できたし、それと同時に「表面的には日系人収容は間違いだったと言っているけれど、結局アメリカ社会の主流はそれを少しも教訓とはしていないじゃないか」とも気づいたのだけれど、日系人社会のほとんどは何も言わなかった。そういう印象があったので、もし多くの日系人たちがアラブ人やイスラム教徒と連帯して発言しているということをこの本が明らかにしているなら、その部分だけ読みたい気がするんだけどね。

なんかオチがないような気がするけれど、それはまだ本が発売されておらず、読んでいないから。読んでみて思うところがあればまた何か書くかも知れません。

2 Responses - “第二次大戦中の日系人強制収容を正当化する本を書いたフィリピン系米国人”

  1. matzaka Says:

    レッシグのブログと書いてあるから見間違えたのだろうけど、それ書いたのレッシグじゃなくてゲストのTim Wu教授です。

  2. 匿名 Says:

    アラブ系市民の拘束といっても、テロリストとの関連が疑われた被疑者だけでしょ。アラブ系全体から見ればほんの一部であって、アメリカでの論調はそうした被疑者の母集団をアラブ系に絞っているのが問題ということであって、この前の戦争で「人種で区分した日系人を全て収容した」のとはまったく違う。

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