ケリー、エドワーズ上院議員を副大統領候補に指名

7/7/2004 - 4:56 am | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

今日は民主党の副大統領候補に選ばれたエドワーズ議員について。この人は民主党の予備選挙でケリーと最後まで大統領候補の座を争った事になっているけど、最初から大統領候補になる見込みがなかったのははっきりしてた。だって、上院議員になって一期目でしかなくて、ほとんど政治経験がないんだもの。あの明らかに経験不足だったブッシュだって、2000年の時点で州知事として8年目だった事を考えると、政治歴6年目のエドワーズがいきなり大統領の座を目指すというのは明らかに無謀。他の候補に対する攻撃や辛辣な批判を一切しない超クリーンな選挙戦略を取っていたのも、はじめから副大統領候補狙いだった証拠。よく「わたしはネガティヴ・キャンペーンはやらない」とか言うのは普通ウソなんだけど、エドワーズに限っては本当にやらなかった。そりゃ、自分を副大統領候補として売り込むつもりであれば、大統領を目指す他候補に対してあんまり厳しくは批判できない。

打算丸出しだけど、彼が中心となってポジティヴな選挙運動を繰り広げたおかげで民主党予備選が比較的円満に終わったのは評価できる。前回の大統領選挙では、共和党の大統領候補指名をマケイン上院議員と争っていたブッシュ知事の関係者が南部で「マケインには黒人の隠し子がいる」という噂を広めたりという無茶苦茶な選挙戦略を取って党内の亀裂を深めたから(マケインには実際バングラデシュ人の肌の黒い養子がいるから、噂がある程度信憑性のある話として伝わった)、それに比べて民主党が比較的団結したままブッシュとの選挙戦に入れるのはエドワーズのおかげかも知れない。

米国の大統領選挙では、大統領に欠けている側面を補うような副大統領候補を選択するのが常道。1992年のクリントン/ゴアは「南部・中道派」の組み合わせという意味で特殊だったり、2000年のブッシュ/チェイニーの場合ブッシュに「親しみやすさ」以外の全てが欠けまくり過ぎていたため内政も外交も知り尽くした同じテキサス州(書類上、ウィスコンシンに住居を移した)のチェイニーを副大統領候補に据える事になったけれど、歴史的に言って地理的あるいは経歴上のバランスを取るのが普通。その点で、エドワーズの選択は教科書通り。東部リベラルのケリーに南部中道派のエドワーズ、上流階級出身のケリーに労働階級出身のエドワーズといった感じ。実際の所、両者にそれほど政治的なスタンスの違いはないのだけれど、イメージ的にはバランスが取れた感じ。ケリーは上院での実績は十分りだし、ヴェトナム戦争に従軍して受け取ったメダルもあるので、経験の面ではエドワーズに特に頼る必要はない。ケリーにとって一番の問題は陰気な顔とカリスマのなさだから、若くハンサムでカリスマのあるエドワーズを加えるのは理にかなっている。

エドワーズについて、メディアでは仮に当選後ケリーが大統領職を離れた場合、大統領を継ぐだけの器量があるのかという点が疑問視されているけれど、そんな事一般市民は気にしないでしょう。というか、(ブッシュ父の副大統領だったクエールのように)どうしても絶対に大統領にしたくないような人物でない限り、ほとんど影響はないと思う。だいたい、ブッシュに核のボタンを預けるくらいならエドワーズの方がよっぽど安心。どこから見ても悪人にしか見えないチェイニー現副大統領と比べれば圧倒的に印象は良いから、いいんじゃないかと思う。

わたしはもともと、副大統領候補にはリチャードソン州知事(ニューメキシコ州)を要望していたの。史上初のラティーノ系副大統領候補になるというだけじゃなくて、クリントン政権での経験(エネルギー省長官、国連大使など)もあるし、ニューメキシコ州のセクシュアル・マイノリティの権利関係の政策は、比較的保守的な土地なのに全国でもかなり進んでいる。例えば、トランスジェンダーや性同一性障害の当事者だけに限らず広範に「ジェンダー表現の自由」を認めた差別禁止法を成立させたり、クロスドレッサー(異性装者)の男性を州の人権委員会に任命して、委員会が開かれる度にその人は男装してたり女装してたりで一貫性すらないのにいつの間にかみんなそれに慣れてしまっていたりする。東部のリベラルな州ならともかく、南西部でそこまでやっているのはかなり凄いわけで、そういう難しい問題についてうまくまとめた経験のある人にこそ連邦政府に入って欲しいと思ったのね。ケリー政権で司法長官にならないかなーと思ったり。

話が逸れた、エドワーズの話。貧しい家の出身の彼が成功を掴んだのは、法廷弁護士として消費者の権利を代弁して保険産業や大企業を訴えて大きな勝利を挙げ、一挙に大金を手にした事から。現に、予備選挙でエドワーズに大口の献金をした人の多くが法廷弁護士で。エドワーズが出世すれば消費者の権利を守る法律が作られて、弁護士の仕事が増えると思っている人たち。その意味で、ネーダーと背景は似ている。

日本ではあまり知られていないけれど、法廷弁護士の団体「American Trial Lawyers Association(アメリカ法廷弁護士協会)」は全米でも屈指の政治資金委員会で、消費者保護を口実に民主党系議員を多く支援している。連邦選挙委員会による2000年の選挙における献金額トップ50を見ると、ATLA は不動産業界に次いで2位の献金額。米国のロビー団体と言えば全米ライフル協会とか軍需産業ロビーとかが有名だけれど、全米ライフル協会は19位、軍需最大手のロッキードマーティンが36位だから、かなり突出している。そういう団体を背景に持つエドワーズは、政治新参者の割には資金には恵まれている。

そういうわけで、わたしの感想としては、エドワーズが副大統領候補となった事は「いいんじゃないの」というのが率直な感想。エドワーズの他に考慮されていた他の候補と比べても、ゲッパート下院議員じゃケリーと同じ「政界ベテランコンビ」で面白みがないし、ヴィルサック州知事じゃ名前がややこし過ぎる(ブッシュが彼の名前を発音できるかどうか聞いてみたいところでもあるが)。リチャードソン氏を第一希望としていたわたしから見ても、非白人候補に反発するようなバカな有権者が無視できない人数いる現状ではエドワーズの指名は現実的に言って最善の選択かもしれないと思う。

大統領選挙では、大統領候補が副大統領候補を指名してから正式に党大会で指名するまでのあいだくらいに10〜15%くらい支持率が上がるのが通常。一方、ブッシュの側は今回もチェイニーとのコンビで新鮮さがないから党大会があってもそれほど上がらないはず。今回どの程度ケリーの支持率が上がるのか、気になるところ。一気に差を作ってそのまま11月まで走り続けて欲しいところ。

One Response - “ケリー、エドワーズ上院議員を副大統領候補に指名”

  1. 名無し Says:

    オバマ最高!

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