チャイナタウンで美味しいお昼御飯♪じゃなくて、Creating Change 2005 レポート

2005年11月18日 - 8:12 PM | このエントリーをブックマーク このエントリーを含むはてなブックマーク | Tweet This

このブログ、2ヶ月以上も放置しているうちにクラッキングの被害まで受けちゃったのだけれど(これで2度目だ)、せっかくだから Creating Change 2005 報告。これまでにも何度か話題にしたけれど Creating Change というのは National Gay and Lesbian Task Force が毎年11月に開催しているコンファレンスで、LGBT&クィア活動家業界では米国最大の集会。わたしが参加するのは4年目だけれどそろそろ毎年見慣れた顔が多いのだけれど名前が覚えられなくて「えーとあのー、前会いましたよね、こんにちは」みたいに誤摩化したりして。今年の開催地はカリフォルニア州オークランド。会場がチャイナタウンのすぐそばだったので安くて(1食2〜4ドル程度)美味しい食事にありつけたのが最高によかった。感想おわり。じゃ済まないので以下にいろいろ報告。
まず今回変わっていたのが、参加登録の有無に厳しかったこと。昨年までの経験だと、最低でも150ドルもする参加費を支払って名札を作って貰わなくてもコンファレンスに簡単に出入りできたのだけれど、今年は名札の有無をチェックしていてタダで入場はできないようにしていた。まぁ、これだけ大きなコンファレンスを運営するにはそれだけのお金がかかるわけだし、タダで入ろうというのはムシが良いのかも知れないけれど、旅費や宿泊費に加えて数百ドルもの参加費をポンと個人で払えるようなお金持ちがそれほどいるわけがなく、大抵の人はクィア関係の非営利団体のスタッフで所属している団体が払っていたりとかなんだかで身銭を切っているわけじゃない。お金持ちや団体からたくさんお金を取るのは構わないけれど、それで普通の個人参加者が排除されちゃうのはいけないと思うので、あんまり厳しく名札の有無をチェックしないで欲しいと思った。とはいえ大っぴらに「参加費払わなくてもいいですよ」と宣伝しちゃうと払える人や団体まで払わなくなっちゃうだろうから、建て前として「参加費払え」と言っておいて払わない人も黙認しちゃうというあたりが妥協点かな。全国のクィア活動家たちの集まりで運動の指針を決める場所だというなら、それくらいはしてもらわなくちゃ、と、参加費も払わずに偉そうに言うわたしであった。(ちなみにわたしは顔パスができる相手が見張っている時に入れてもらったり、別の入り口を探したりして入りました。)
毎年選挙の直後に行われるこのコンファレンスだけれど、ブッシュ大統領が再選され各地で同性婚を禁止する住民投票が成立した昨年の選挙に対し、今年の選挙ではメイン州でLGBTの人たちの人権擁護を定めた法律を廃止しようとする住民投票が反対多数で否決されたのをはじめ民主党・リベラル勢力の大勝に終わり、政治的なムードは悪くない。当地カリフォルニア州でも、妊娠中絶に関係するもの、労働組合の政治運動に関するもの、公立学校の教師の地位に関するもの、その他いくつかの保守派が提案した住民投票が軒並み反対多数で否決され、地元の活動家たちは喜んでいた。けれど、いまも連邦議会で主導権を持つのは共和党で、今週に入ってからも貧しい人向けの医療や食料や学費支援の予算を500億ドルも削減する一方その倍の規模の減税を実施する動きがあったりと、中央におけるネオリベラリズムの流れは変わっていない。
そういった問題にLGBT運動がもっと真面目に取り組むべきだとこのコンファレンスで毎年中心となって主張しているのが、これまでにも紹介したようにわたしも尊敬している Amber Hollibaugh 氏だ。フェムとしてセクシュアリティを生々しく語ったために70年代のラディカルフェミニズムから追い出され、講演を妨害までされながら「HIVと女性」の問題に率先して取り組み、最近は「クィアと老後」の問題の第一人者として活躍中。はっきり言ってわたしは彼女のグルーピー状態で、彼女が登場するワークショップに片っ端から顔を出した。たとえば、階級とクィアについて。運動の都合でセクシュアリティを隠すのでなくて、中心に据えることについて。福祉予算を簒奪して金持ちへの減税を行う施策にどう対抗していくかについて。あるいは例えば、貧しく孤立しているLGBTの若者たちが、自立を求めて軍隊に入隊することについて何ができるか。
去年までなら Hollibaugh さんはコンファレンス主催者への最も過激な批判者だったのだけれど、NGLTF は今年の夏ごろに彼女を研究員として迎え入れてしまい世間(というか業界)を驚かせた。彼女にとっても、これまでと同じように自分の好き勝手な事を発言させてもらえて給料まで貰えるということで喜んで受け入れたようなのだけれど、以前紹介した「トランスジェンダーを含まない『性的少数者雇用差別禁止法案』は撤回せよ」の声明にしても Hollibaugh 氏の処遇にしても、最近の NGLTF はやることがスマートになってる気がする。あとで「Amber さん、NGLTF で働くのってどんな感じ?」って聞いたところ、「NGLTF だってわたしがどんな人物が知らずに雇ったわけじゃないだろうから、期待されてると思って自分の好き勝手にやってる」って答えてた。ま、どうしても我慢ならないことがあれば派手に喧嘩して出てくればいいんだし、わたしとしては内部に頼りになる人がいるんだと思っておこう。(というか、他にもスタッフに友人いますけど。)
他に行ったワークショップは、トランス系。まず、「ドメスティック・バイオレンスに関わる運動の中でトランスジェンダーの人たちを支援する」ことについてのセッション。このワークショップと同じ時間に「刑務所内のトランスジェンダーの人たちを支援する」内容のワークショップも行われていて、「DVシェルターと刑務所って似たようなモノじゃないの」って思ってしまったわたしだけれど、このワークショップを担当した人はDVサバイバーでもトランスジェンダーでもない人だから到底そういう認識は無かったようで、とっても不十分。わたし自身、過去にトランスの人たちというか最低限「女性」を自認するMTFの人たちがDVシェルターで受け入れてもらえるようにシェルターのスタッフを訓練したり話し合いを重ねたりしてきた経験があるけれど、結論から言えばDVシェルター自体に問題がありすぎてちっともトランス当事者をより安全にすることには繋がらなかったというのがわたしの認識。
例えば、シェルターでは狭い部屋に2〜3家族分のベッドが押し込まれているなんてのはザラにあるけれど、MTFの人は着替えをしたり髭を剃ったあとを隠すためのメイクをしたりでプライバシーを必要としていることが多いから特別に個室を与えられたりする。そうでなければシェルターになんて来てくれない。だけれど、特別扱いして個室を与えたら、ほかの滞在者が嫉妬してスタッフに理由を問いつめたりして、結局彼女がMTFであることが漏れてしまう。プライバシーを守るために別の部分でプライバシー侵害が起きてしまうということ。さらに、グループカウンセリングに無理矢理出席させられたりするから、隠しておきたいことまでしゃべらされたりすることもある。そういう空間はやっぱり息苦しいから、MTFの女性がシェルターに来ても数日のうちにすぐ逃げ出してしまうのがほとんど。
念のため言っておくけれど、トランスであることによる他の滞在者からの嫌がらせという問題はほとんどない。というか、あるけれど大きな問題にはならない。だって、暴力から逃れてシェルターに入ってきている一般の女性のほとんどは、トランスについてきちんと説明すれば割と簡単に理解してくれるもの。問題なのはスタッフのほうで、「暴力は男性が女性を支配するための道具」だとか「男性の特権」だとかいうフェミニズムのごちゃごちゃした考えが頭にあるからMTFの女性に対して普通に接することができない。「ペニスは男性権力の象徴」みたいに思ってるのはフェミだけだっての。スタッフは「他の滞在者のため」を口実にMTFの女性にあれこれ注文をつけたり文句を言ったりするけれど、実は自分たちがそう思っているだけ。ただ、個室を与えるというような「特別あつかい」については嫉妬が集まるのは確かで、MTFの人にとってはそっちの方がプライバシー侵害よりよほど居心地が悪いことが多い。
わたしが常々言っているように、DVシェルター自体かなり問題が多い。個別の問題を延々と箇条書きすることもできるけれど根本的・構造的な問題を1つ指摘すると、クライアントに対して同一の主体が「カウンセラー」であり「支援者」であると同時に、いつでも退去を命じることができる「宿主」であり、門限やグループなどの行動を管理する「管理者」であり、シェルター内の家事分担においてきちんと掃除したかどうかなどをチェックする「上司」であり、さらに場合によっては子どもの扱いなどについて通報する「監視者」でもあるというような、スタッフに課された役割が問題。自分の上司や大家さんによるカウンセリングを受けたいと思う人がいないように、本来これらの役割は別の人格に分散されているべきであり、そうでなければ「心のケア」と「管理・監視」の境界がぼやけてしまう。「愛情」と「支配」が境界を失って混じり合った状態がドメスティックバイオレンスであるとするなら、DVシェルターは構造的にそれにそっくりな状態を常に生み出していると言える。その中では、どんな女性でも安全ではいられないけれども、MTFの女性は特に弊害の直撃を受ける。
持論はともかく、今回行われたワークショップの担当者は、そんな事について全然考えた事もない人で、既存のDVシェルターの問題に全く気付きもしないままそこにトランスジェンダーの人たちを受け入れてもらうにはどうすればいいかという事ばかり話していた。ま、結婚制度をそのままに同性婚の承認ばかり求めてきた運動もあるわけだから、そうなってしまうのも分からないではないけれどね。とにかくそれじゃ話にもならないんだってことをバシッと言ったら全然反論できなくなって、そのワークショップは思い切り脱線してしまいました。ちょっとだけ悪いと思ったけど、仕方がないじゃん。DVシェルターの問題は、具体的な解決方法も含めてまたいずれちゃんと書きます。
もう1つのトランス系ワークショップは、それとちょっとテーマは似てたけど、「トランス&フェミニズム」について。最終日の朝9時という時間でありながらかなりの人数が参加していて良かったけれど、司会者のミスで参加者の自己紹介が長引きすぎてしまって内容はあまり無かった。面白かったのは、大きな紙の中央に線を引いて左に「トランス」右に「フェミニスト」と書き、それぞれの政治的な課題を思いつくかぎり挙げましょうというエクササイズ。最初のうちは「自分が自認する性別の身分証明書」とか「妊娠中絶の権利」とか個別の課題が出て来るけれど、次第に「自己決定権」「必要な医療を受ける権利」みたいな普遍的な課題に昇華されていって、トランスにとっての課題はフェミニズムの課題でもあり逆もまたしかりなのだ、というあたりに話が落ち着く。そりゃトランスだってフェミニストだって人間なんだから、人間なら誰でも望むような普遍的な課題を挙げれば「みんな一緒」って事になるのは当たり前なのだけれど、集団催眠的なテクニックとして面白いので覚えておこう。
その後、過去のフェミニストの発言からトランスに通用しそうな部分を引用したプリントが何枚か配られたのだけれど、そのうち丸ごと一枚がわたしが書いた論文からの抜粋からなっていて驚いた。小グループに分かれてそれらのプリントについて話し合ったのだけれど、自分の目の前で自分の論文について話しているのはともかくとして、部屋の向こうから時折別の小グループでわたしの論文について誰かが何か言っているのを聞くのはちょっと恥ずかしかったり。一度出版されたモノだから、どんな利用をされても構わないけどね。まぁせめてもの救いは、わたしが恥ずかしい以上にワークショップ主催者の方がわたし本人を目の前にしてやりにくかっただろうという想像だけだ(笑) ちなみにその論文、最近ベオグラードのレズビアン団体によってセルビア語(クロアチア語とも同じで、ボスニア・ヘルツェゴヴィナでも話されている)に翻訳されたのだけれど、このワークショップにたまたまセルビア・クロアチア・ボスニアの三か国からの参加者がいたので「あなたの言語でも読めますよ」って宣伝しといた。
次、インターセックスについて。わたしの団体がやったワークショップはどうでもいいとして、ISNA(北米インターセックス協会)のシェリルさんと久しぶりに会ってお話した。先月40人あまりのインターセックス医療専門家を集めた会議があって、かなり当事者団体側の主張が受け入れられたとの話。子どもの性器手術をやめろ、という肝心な点ではまだ反発が強いのだけれど、診断名を秘匿するのは駄目だとか、親と子どもの両方にカウンセリングやサポートグループを紹介すべきだ、という点では当事者団体側の言う通りになりつつある。また手術についても、少しくらいクリトリスが大きいくらいなら手術しない方が良いだとか(「かなり」大きければまだ切除するということだけど)、10代になった子どもに何の説明もなく勝手に手術しちゃ駄目だとか(当たり前だっての)、そういう点では進歩しつつある。嬉しい。40人の中には日本人の医師も一人だけいたらしく、日本語ペラペラのシェリルがいきなり日本語で挨拶したら飛び上がって驚いていたとか。
それに関連して、これからインターセックスは「DSD」(disorders of sex development and differentiation)という名前になるらしい。インターセックスという呼称は常に「男性と女性の両方の性器がある」だとか「男性と女性の中間」「男でも女でもない」という具合に誤解されてきたけれど、大半のインターセックス当事者が「自分は普通の男(もしくは女)」を自認していて「インターセックス」という呼称を受け入れていないという現実があるわけで、多分ほとんどの当事者にとってはDSDとして知られるようになった方が都合が良いのだろうと思う。個人的に「disorder」(異常)という単語に抵抗はあるけれど、当事者の感覚からいってそれほど外れているとも思えないし、取りあえずトランスジェンダーと混同する人はいなくなるだろうから、受け入れたいと思う。第一、「disorder」という言葉を外すことで正常とみなされることを目指すよりは、「disorder があっても、いわゆる正常でなくても、快適な人間らしいくらし」ができるようになることを目指す方がいいじゃんって気がする。どうせそのうち遺伝子学がもっと発展すると、この世に disorder を持たない人なんて一人もいないんだ、「正常」な人間なんて一人もいないんだ、みたいな事になるだろうしね。
最後、例のゲイ・シェイムの連中について。 NGLTF 会長の演説中にハデに乱入してくれたら楽しくていいなぁと思っていたんだけど、どうやら人員不足らしくて会場の外で2人でビラ配ってた。チャイナタウンで焼き飯と餃子買って会場に戻る途中でビラ配ってる人を見かけたから「あなた、ゲイ・シェイムの人?」って聞いたら「はいそうです、どうぞこれ」って丁寧にビラをくれたんだけど、お前らこのコンファレンスに「直接行動・サボタージュ・改装・演劇・妨害・その他あらゆる想像できる方法」で抵抗するんじゃなかったのかよ?(笑) ビラに目をやると、「あなたが同性で結婚しているうちに何人のパレスティナ人が殺されたか?」って書いてあって、もしかしたらこいつらはゲイ・シェイム本体ではなくてゲイ・シェイムをネタにしたパロディじゃないかと思ったくらい。てゆーか、あんたたちキャラはき違えてませんか? シアトリクスをもっと勉強しなさい。
ゲイ・シェイムの100倍頑張って抵抗行動を起こしたのは、障害のあるクィアたちのグループだった。一応車椅子でも移動可能な建物だとはいえ、部屋に入ってみたら椅子がびっしり詰まっていて車椅子では入れなかったり、ワークショップがかなり広い領域で行われたために移動が困難だったり、ちっちゃな文字が印刷されたプリントがたくさん配られてたり、その他いろいろな不満がたまっていたところ、あるFTMの活動家が中心となってコンファレンスの閉会式で発言させろと主催者に要求し、「90秒だけなら」という条件で発言時間を勝ち取った。当初 NGLTF への要求として6つも7つも項目を箇条書きしていた彼と打ち合わせをして、「90秒いいというなら120秒は大丈夫だ」とか「要求項目は減らして具体的にしろ」とか悪知恵を入れたのはもちろんわたしだったりするけれど、おかげで彼は堂々と2分ちょっとスピーチをして会場から大きな拍手を浴びていた。
わたしが特に入れるべきだと助言したのは、「障害のあるクィアたちの多くは過去にこのコンファレンスに失望して今日この場に来ていないけれど、これらの要求を受け入れてくれるなら来年からまた参加するよう自分たちが呼び戻す」ということ。いつも口先で「ちゃんと呼びかけているのに障害のあるクィアたちがコンファレンスに来てくれない」とばかり言っている主催者を追い込んで要求を受けさせるためにはそれが一番だと思ったから。結果、大成功で、NGLTF の理事会の人が何人か「素晴らしい提案だ、次の理事会で取り上げる」って言ってた。ゲイ・シェイムもわたしらを見習いなさいと言いたい。
とゆーわけで、話があちこち行き過ぎて全体のまとめが思い浮かばないので唐突に終わる。
あー柿食べたい。チャイナタウンの柿安かったなー。
追記。 Judith Halberstam の新著「In A Queer Time And Place: Transgender Bodies, Subcultural Lives」が面白い。トイレに置いてゆっくり読んでいるけれど、読み終わったら何か書くかもしれない。 Halberstam の次の本は「Dude, Where’s My Theory?」というタイトルで、学問的な理論の必要性と有用性を一般社会に見せしめる本になるという噂。そういえば彼女は「Dude, Where’s My Gender?」という論文も書いていたっけ。 Halberstam さんの講演を二度見たことがあってその時はちょっと幻滅しちゃったんだけど、次の本には期待しちゃいます。

7 Responses - “チャイナタウンで美味しいお昼御飯♪じゃなくて、Creating Change 2005 レポート”

  1. Matzmt Maskee Says:

    チャイナタウンでお昼いいなぁああーーーー! って、そうじゃなくって(笑)、シェリルさんって日本語ペラペラなのーーー!? って、そうでもなくって(笑)、150ドルってたっかーーーーい! って、まぁそれはそうだけど、全然そういうイベント(カンファレンスとか、その他もろもろ(唯一映画祭に行って映画観たことが1回だけ))に参加したことがないので、詳細な報告、楽しく読みました。(週末中に、ということだったのに、来たらいきなり更新されててビビった)
    例の「インターセックス医療専門家を集めた会議」というのに一人日本人医師がいたというところが、ちょっと嬉しかったです。インターセックス(あ、 DSD か)が日本(の医学界)でどう扱われているのかってよく分からないのだけれど、1人でもいたということは喜ぶところなのかしら。それとも少ないです?

  2. xanthippe Says:

    こんにちは! 入院されていらしたのですか。 チョッと無理なさったみたいですものね。 でもお元気に復帰されたのでよかったわん。 ここはとても有用な情報が分かりやすく提供されているので、私どもには貴重です。
    えとですね、当地では民間シェルターがほとんど無くて、主体は公的機関です。友人がNPOで主に(表立って)やっているのはストックハウス。 たまに女性議員のグループが協力してバザーなどもやっております。
    masckaさんの情報に接すると、当地は対応が遅れているんだか可能性があるんだか良く分かりませぬ。(~~; スタッフはきっと人材不足だと思うし・・・。 ましてやそれ(DV)以外の要素への配慮が必要となるときっとお手上げだと思います。 シェルター以外で個人の住宅の空き部屋を活用する(空いた隠居所とか)など別の対応をするほうがいいのかもしれないと思うのですが、どうなんでしょう。絶対数は少ないのだと思うし。 ンでもグループでの互助ってのは出来ないかあ。
    ところで、「シアトリスク」ってスペルは? どういう意味ですか? 教えてくだされ。

  3. Macska Says:

    こんにちはです。忘れ去られてないで良かった。
    米国のDV関連の運動は巨大な官僚的組織を抱えて身動きが取れなくなっているので、そこに行く前に米国の例を参考にできるという点では日本には可能性が「残されている」と思いますよ。というか、断固そう思いましょう。どうせ予算をつぎ込むなら事後の対処より予防につぎ込んだ方がずっと効率が良いということは疾患の流行でもテロリズムでもDVでも同じなので、シェルターを増やすことをやたらと目標とするよりは効果的な予防プログラムを研究して小学校の段階から実施していくという方向に運動を展開するのが良いと思います。
    それでも現状から見てシェルターは必要じゃないかってよく言われるんですけど、いくら米国の都市部にはたくさんシェルターがあっても(ポートランド地域だけで5つもあり、合計100人分程度のベッドがあります)助けを求めてシェルターに電話してくる人のうちの1割くらいしか入居はできないのが現実です。キャパシティが絶対的に不足しているから、何やら難しい条件を付けて大半の女性を弾くようなシステムになっている。毎日自分が助けられるよりはるかに多くの女性に「ノー」を言わなければいけないスタッフは、一体自分は何をやってるんだと思いつつ、「learned helplessness」(学習された無力感)に苛まれてシェルターを飛び出すこともできない。シェルターがダメなことを内心知りつつそれを拒絶できないスタッフたちは、「子どもたちに父親が必要だから」と自分を言い聞かせて暴力的な夫から逃れられないDV被害者たちと同じです。いわゆる battered women’s movement syndrome というヤツですね。
    シアトリクス(スクじゃない)というのは、theatrics のことです。劇場的な演出ってコトですね。
    わたしが言わんとしているのは、観客の存在をきちんと見据えて、観客が自分にアイデンティファイできるような劇の主役として振る舞うということなんです。ゲイ・シェイムの活動はよくシアトリカルだと呼ばれるのですけど、それはただ単に派手なコスチュームを着けているだけだったりして観客の存在が眼中にないとわたしは思っているのです。観客なんて無視して自分が言いたい事を言うっていうのがあってもいいけど、それはシアトリカルとは言えない。ものすごく奇抜な恰好で周囲の関心を思わず引き込んでしまう、くらいだったらまあ認めてもいいけど、サンフランシスコ周辺でクィアが変なカッコしてても、チャイナタウンで豚を丸ごと店先に逆さに吊るして売ってるおじさん・おばさん達だって驚かないって。
    わたし、メインストリームの「同性愛者運動」にはやっぱり不満がいろいろあるので、あれこれ言いつつゲイ・シェイムには期待したいのよ。それなのに、あれだけ大々的に Creating Change を批判しておいて、実際にやって来たのが2人だけって何ですかそれ。ニコニコ笑ってビラ配って、そんなに嬉しいですか? 彼らはよく、大きな団体が時々体を動かすわけでもなくニュースリリースを報道機関に送ることを「運動」としてやっていることを皮肉っているんだけど、ウェブサイトとメールで批判するだけで実際に抗議行動を起こさなかった彼らと同じじゃないの。本当は応援したいつもりなのに、書けば書くほど批判ばかりになっちゃうのでこれくらいにしときましょう(笑)

  4. Macska Says:

    こんにちは、Maskee さん。
    何故かコメントが「スパムの可能性アリ」で表示保留になってました。ごめんなさい。
    コンファレンスとか行った事ないんですか。サンフランシスコ周辺ならいくらでも機会はあると思いますけど、来年6月の全米女性学協会@オークランドではわたしもトランスフェミニズム関連の論文(まだ書いてない)を発表するので、興味があれば来てください。
    ちなみにシェリルさんは MIT 出身で、ISNA をはじめる前は日本でコンピュータソフトの会社を経営してたんです。当時は Windows がやっと辛うじて使い物になりはじめた頃で、米国のパッケージソフトを日本語にローカライズする仕事をメインとしていて、あと技術翻訳もやっていたようです。わたしが ISNA で働いていた時でも、シェリルの机の上には日本の某シリコンチップメーカーの分厚い技術資料が置いてあったりして、わたしにとっては日本語でも英語でも訳が分からない内容なんですが、シェリルは平然と翻訳してました。
    シェリルが凄いのは、ただ単に日本語をしゃべるだけじゃなくて、日本の作法やビジネス慣習を心得ていること。おじぎをしながら両手で名刺を渡したり、全然失礼じゃないのに「先日はどうも失礼いたしました」みたいに言ったりという、わたしですら理解しがたい日本的な作法がすらっとできるのね。わたしが観たことないような黒沢明の時代劇とかビデオ持ってて(時代劇の言い回しは難しいのに)字幕無しで観てるし。

  5. Matzmt Maskee Says:

    Macska さん返事ありがとうございます。すべてのコメントは最初保留になるのかと思っていて、何とも思ってませんでした(笑)でも表示してもらってよかったよかった。「ー」(長音記号)が多かったから怪しまれたのかな(ブログシステムに)。
    サンフランシスコ周辺なんですけど、最近ただもう平凡に日々に追われていて、歩き回って美味しい店発掘!とかもまだしてないし、それに大学のクィア関係のサークルにすら顔を出せない有様(毎週木曜日の4時半集合なんだけれど、そのときちょうどミスれない授業があって)・・・。来セメスターには少し落ち着いて、色々出来たらいいなと思ってます。全米女性学協会での発表、見に行けたらいいな。見に行くにはどうしたらいいですか? (そんなことすら知らない)
    シェリルさんにそんな経歴があったなんて・・・ そしてそんな日本式なことができるなんて(笑) 時代劇の日本語が理解出来るっていうのは、本当にすごいと思う。僕はシェークスピアの英語なんて2行以上連続して理解出来ないょ・・・。何の根拠もないけれど、シェリルさんに親近感だ〜(笑)

  6. Macska Says:

    あ、じゃあ今度わたしがサンフランシスコに行くときに日程が会えば(わたしはだいたい2〜3ヶ月に1度は行ってます)、美味しいお店に一緒にいきませんか? ヴェトナム料理・タイ料理(というかあれはタイカレー専門店か)・インドネシア料理あたりでそれぞれ断然お勧めのお店がありますよー。あと、オークランドにも訪れるたびに通っているコリアンの店があります。
    全米女性学協会は6月だからちょっと先ですね。一応ウェブサイトはこちらです。 Rebecca Walker さんが基調講演で、あと Julia Sudbury さんにも注目。会場はつい最近 Creating Change があったのと同じマリオットホテル@オークランドですから、再びチャイナタウンでお昼ご飯が調達できるぞ、ラッキー。場所は BART の Oakland City Center 駅を出てすぐのところです。一応参加費が必要ですが、セッションの場所さえ分かれば(すなわち、誰かにパンフを見せてもらえば)紛れ込めます。

  7. Matzmt Maskee Says:

    えー! ぜひご一緒させて下さい〜。楽しみにします〜。次回いらっしゃる際には matzmt_maskee(あっとまーく)yahoo.co.uk にメール頂けたら嬉しいです。オークランドにいらっしゃる際も教えて下さい、そのコリアンの店に行きたいっ! ニュージーランドにいたときはほとんどコリアンばっかりだったのに、今住んでる町では1回しか食べてないという・・・。ほんとに悲しい。もっと食べ歩きたいのに(どんどん太る一方だけど)。
    基調講演のレベッカさんの Third Wave Foundation で思い出したんですけど、僕実は5年くらい前に (e)merging のサイト見つけてたんですよ(笑) 最近あれが Macska さんだったことに気づいて、オォッと。
    全米女性学協会ですが、ま、紛れ込むのは簡単なんでしょうか・・・? つ、つつつ捕まったり、し、しませんか・・・? あと、ふ、服装とか、ふ、普通のままでいいんですか・・・? (もうなんかほんとド素人)

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