性暴力情報センター

性暴力に関連した書籍
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このコーナーでは、性暴力の問題についてもっと知りたい方のためにスタッフが読んだ本を簡単に紹介します。 追加のコメントや、ここに載っていないお勧めの本などがありましたら、saic@macska.orgまでメールでご連絡ください。

ここに紹介されている本はいずれも重いテーマを扱った物なので、心の準備ができているかよく考えてから読むようにお願いします。 サバイバーの方はフラッシュバックを経験するかもしれません。 心の準備ができてから、自分のペースで読んでください。

それぞれの本の出版社や価格の情報はスタッフが個人的に持っている版のものなので、現在では別の版が出ているかもしれません。 なお、性暴力情報センターは各書籍の著者・出版社と何の関係もありません。

『サバイバーズ・ハンドブック 性暴力被害回復への手がかり』
性暴力を許さない女の会編著 (1999) 新水社 \1,400
サバイバーズ・ハンドブック

この本からは大きく分けて「すぐに必要な知識」「行動のための知識」「心をいやし、回復するために」「その他お役立ち情報」についての情報を得ることが出来ます。

被害にあった直後に助けになる情報は勿論、法的サポートに関する情報、それから特に明記したいのは「周囲の人たちへ」向けられた情報が載せられている点です。恋人が、子供が、友人が……身近な人が性暴力の被害にあってそれを告白されたとき、どういうことを頭に置いて接したら良いのか、どういうサポートが出来るのか、そして動揺してしまった自分自身も含めどうケアしていけば良いのか、少しでも情報を得たいと思っている方には大きな助けとなると思います。海外の情報を翻訳した本で有益なものはいくつかありますが、国内でのサポート活動の体験に基づいて編纂されたこの本は、多くの方に目を通していただいて、少しでも性暴力被害のサポートに役立てていただければと感じました。




『御直披』
板谷利加子著 (1998) 角川書店 \1,200
御直披

「あなただけに読んでいただきたいのです」という意味の言葉が記された手紙が手元に届いたことから、性犯罪の被害者である手紙の主と、刑事である板谷さんの交流が始まります。 本にしようと思ってやりとりをされた書簡ではありませんが、だからこそ、お互いの立場を越えて何の虚飾もなく互いの傷や痛みをさらしながら交わされた書簡といえます。 板谷さんは全国で初めて性犯罪捜査係を任され「轍のないところに放り出された気分」で模索していた頃に、この被害者と書簡を交わすことで方向性を示されたとおっしゃっています。

「被害者対策と大上段に構える必要はない。警察官である前に人間として、相手の立場で考えればいい」と対等な関係で、助けたり助けられたりの関係があたり前なのだ、ということを手紙を交わす中で気付かされたといいます。 被害を受けた人もそうでない人も、また被った人に何をしてあげられるのか、何をしたらいいのか、そもそも何が出来るのか、色んな事を考えてしまっている人へ、「読んでみて下さい」と伝えたいです。




『犯罪被害者の心の傷』
小西聖子著 (1996) 白水社 \1,748

犯罪被害者の心理と、援助を行う上での要点、カウンセリングの方法、その問題点、援助活動を組織することについてなど、具体例をあげながらわかりやすく書かれており、入門書として良書だと思います。 東京医科歯科大の犯罪被害者相談室のカウンセラーである著者の、被害者問題について少しでも一般の人にわかってほしいという切実な思いが伝わってきます。




『心を殺された私 レイプ・トラウマを克服して』
緑河実紗著 (1998) 河出書房新社 \1,500
心を殺された私

サブタイトルに「レイプ・トラウマを克服して」なんて書いてありますけど、実際本人がそこまで救われた話ではないです。 でも、それでも一歩一歩前に行こうとしてるんだよ、でもね…だけど…みたいな、渦巻く思いを抱えながらもがいている著者の気持ちが冷静な文章で書かれています。 書くことで楽になる部分と、それによって反復される痛みと、自分で自分を「癒そう」とする気持ちには色々なことを考えさせられました。 バラバラになった自分をくっつける作業、というより、途中で「元の自分には決して戻れないんだ」ってことを前向きに受け止めて、バラバラの自分をつなぎあわせるんじゃなくって新しい自分に「再生」していこうとする様は、皆様にも触れていただいて何かの糧にしていただけたらと思いました。




『甦る魂 性暴力の後遺症を生きぬいて』
穂積純著 高文研 \2,800

著者は、インセストの被害者です。 でも、性暴力の被害者であるなら読む事をお勧めします。 自分の中の言葉に表せなかった気持ちが理解できる様になります。 周りに求めても自分が傷つくような期待とか、そういうのを経験した事があれば、特に第2章を読んで下さい。 専門家が書いている本では不満があった人、この本で同じ事を言っていても、素直に聞き入れる事ができます。 著者による続編として、『 解き放たれる魂』(1998 高文研 \3,000)も出版されています。




『誰にも言えなかった 子ども時代に性暴力を受けた女性たちの体験記』
エレン・バス&ルイーズ・ソーントン共著/森田ゆり訳 (1991) 築地書簡 \1,700円

翻訳者の森田ゆりさんが本のカバーに書いてある「心理学者より、セラピストより、犯罪学者より、誰よりも性暴力の被害を受けた人こそが、性暴力の本質をもっともよく知っているのです」という言葉は胸につきささります。 「なぜ誰にも言えなかったのか」ということを19人の被害者の声から感じて下さい。 読み進めるのは決して楽ではないですし、憤りや哀しい気持ちのやり場がみつからないもどかしさに困ってしまうかもしれませんが、体験を語り、意識化することで、それが強さの拠り所となりうるのだという希望を与えてくれる本だとも思います。




『沈黙をやぶって 子ども時代に性暴力を受けた女性たちの証言+心を癒す教本』
森田ゆり編著 (1992) 築地書簡 \2,060円

『誰にも言えなかった』の読者から寄せられた体験記から生まれた日本で初めての証言集です。 体験を敢えて見つめることで見えてくる明るさ、のようなもの。どんな方法が「最良」かなんてわからないし、誰もが最初から勇気を持てるものではないかもしれないけれど、でも、決してその勇気と生命の明るさが手の届かないものではないと、この体験集を読んでみるとおもえてくるかもしれません。 でも読むのはやはり辛いです。すらすらと読めるというものではありません。 なお、「甦る魂」「解き放たれる魂」を書かれた穂積純さんも、実はこの体験記に寄せてあります。読んだ方はすぐに気付かれると思いますが、この体験記をきっかけに「甦る魂」を著されたと聞いています。




『子どもの虐待 その権利が侵されるとき 岩波ブックレットNo.385』
森田ゆり著 (1995) 岩波書店 \400

「恐れが伝染しやすいように 勇気もまた伝染する」という、アリス・ミラーという人の冒頭の言葉に惹かれました。 この本は子どもの虐待の概要、最小限の基礎知識、権利、虐待された子に出会ったらということについて、分かりやすく説明してあります。




『子どもの虐待防止マニュアル 虐待への気づきと対応、援助のために』 * 東京都福祉局の刊行物一覧へ
東京都 \300

東京都が発行しているものです。300円です。私は都庁で買いましたが、子どもの虐待防止センターにも紹介されています。 「教科書」みたいな本ですが、手元において参照するぶんには手頃だと思います。




『女たちの便利帳2』
ジョジョ企画編 (1998) 教育史料出版 \2,800
便利帳2

性暴力被害者の支援という視点からだけでなく、女性ための生活全般の情報が載っていす。実際、いろいろな問題が生じた友人たちの相談にのるときは、この本は手放せません。 性暴力に関して言えば、相談窓口や各地の女性センターやシェルターをはじめ、女の弁護士、いろいろな活動体や、心と身体が疲れたときに訪れてみたい針灸師等など、情報の宝庫です。北海道から沖縄まで日本全国および海外までの情報が載っているのもたいへんありがたいことです。 いっぱい情報がつまっているので「自分に合う」ところをチョイスしていけるのもいいな、と思います。




『ドメスティック・バイオレンス』
「夫(恋人)からの暴力」調査研究会著 (1998) ゆうひかく選書 \1,500

日本における性暴力を含むドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力)の実態と、そのドメスティック・バイオレンスを生み出し、支え、助長する構造について、論理的に述べられている本です。現状や問題点、課題などを的確にとらえています。ドメスティック・バイオレンスの渦中にある方だけでなく、いろいろな人に読んで考えてもらいたい一冊です。




『セクハラ110番』
三井マリ子著 (1994) 集英社刊 \1,359円

「セクシャル・ハラスメントは、力の強いものが、弱いものに『このくらいのことをしてもどうってことないはずだ』とたかをくくって行う行為です。卑怯で野蛮な行為です」とはじまる本書は、女性問題研究家であり、都議会議員を2期務めた三井マリ子氏の書き下ろしです。





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