The Dismal Science: How Thinking Like an Economist Undermines Community

Filed under: economics — 04/27/2008

The Dismal Science: How Thinking Like an Economist Undermines Community
著者/訳者:Stephen A. Marglin
出版社:Harvard Univ Pr( 2008-01-15 )
定価:¥ 3,922
ハードカバー
ISBN-10 : 0674026543
ISBN-13 : 9780674026544


かつて伝統社会において共同体にあった相互扶助の機能は、市場によって提供される保険制度に取ってかわられた。共同体の中の顔の見える相手との交易は、グローバルな市場と流通を通した「見えない相手」との即物的なやり取りに席巻された。それは確かにより効率的かもしれないが、相互扶助や交易が制度化されることによってわたしたちはなにか大切なものを失っているのではないかーーそういう著者の訴えには頷くところが多いが、同時にそれがアナクロニスティックな追憶以外の何ものでもないことも明らかだ。しかしインドにて開発援助の現場に関わってきた著者の、開発と市場化が現地の共同体に与える影響への反省もよく分かる。しかしまた、先進国のわたしたちだけ開発の恩恵を受けておきながら、いまだに伝統的な共同体が残る途上国はわたしたちと同じ道を歩むべきではないと言えるのか?
 著者は経済学という学問領域そのものが現象の記述や分析を踏み越えて共同体の解体を招くような政策を推奨していると指摘し、経済学者らが「共同体の解体」を開発のデメリットとすら認識せず(一部の論者はむしろ市場を誤動作させるバイアスを減らすとして歓迎すらしている)、「開発と共同体のトレードオフ」をトレードオフであるとすら認識しないのは問題であると言う。内容的には疑問もあるが、貴重な問題提起。

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